クラシカルなナリでここまで遊べる本格仕様

トライアンフ スクランブラー1200XEインプレ【コレに乗れば007になれるかも!?】


●文:ヤングマシン編集部(谷田貝洋暁) ●写真:真弓悟史

ジェームズ・ボンドがスクリーン狭しと大活躍する大人気スパイ映画『007』シリーズ。その25作目となる最新作に、トライアンフの「スクランブラー1200XE」が登場する! しかも劇用車は外装を変えただけで、中身はXEそのまんまとのこと。乗れば気分はジェームズ・ボンド!?

サスペンションの減衰調整機能でキャラクターが激変!

トライアンフのクラシックシリーズに属する「スクランブラー1200XE」。モダンクラシック系のモデルの足だけ長くしたところで、オフロード走行とかありえないだろ? 筆者は乗るまではそう思っていた。いや、実際乗ってみてからも、「こいつでダートはちょっと手強いなぁ」というのがファーストインプレッションだったのだ。

高速道路でクルーズコントロールも試したし、ワインディングも走ってみたが、やっぱりロードバイクの寄りのキャラクターが強い印象を受ける。むしろ、他のクラシックモデルよりも、高い視点とコントロール性のいいワイドなハンドルのおかげで、ワインディングを攻めてもけっこう楽しい。そんな感触を得たくらいだ。

【TRIUMPH SCRAMBLER 1200XE】レトロなスタイリングは、カジュアルな服装で乗っても違和感がなく、街乗り用の足としても実に使いやすい。※主要諸元 ■全幅905 全高1250 軸距1570 シート高870(各mm) 車重227kg ■水冷4ストSOHC並列2気筒 1200cc 90ps/7400rpm 11.2kg-m/3950rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量16L ブレーキF=Wディスク R=ディスク タイヤサイズF=90/90-21 R=150/70R17 ●青/黒 銀/緑 ●価格:205万6400円

写真はシリーズ最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』で実際に使用された劇用車。外装/タイヤ以外の性能的な部分は1200XEそのまんま。ちなみに007公開を記念した限定250台のスペシャルエディションも登場したが、すでに完売御礼。

しかし、である。227kgの車体でオフロード走行となると話が変わってくる。いくら21インチホイールを履いていたってねぇ…。とりあえず、取扱説明書にオフロード走行時の減衰力セッティングの指標を見つけて(しかもソフトとハードの2種類がある!)、前後のサスペンションセッティングを変えてみる。…と、あら不思議! 途端に足が動き出すじゃない!?

それまでグリップを感じにくかったリヤタイヤが、途端に路面を掴むようになった。今回のステージはフラットダートと林道のみだったが、タイヤをブロックタイプにすれば、さらにハードルの高いステージでも遊べそうな雰囲気。確かに1200ccのパラツインエンジンのドッカンパワーは、すぐに地面をかきむしるが、270度クランクの歯切れのいいパワーはコントロールしやすく、4000回転以下で最大トルクを発揮する特性も、ダートでそのキャラクターを引き出しやすい。ズバッと瞬間的にパワードリフトさせるなら、このくらいのパワフル感が逆にちょうどいいのだ。

実際、重量級のアドベンチャーモデルが相手なら、リヤを右へ左へ派手にスライドさせながら、後ろから突き回せるくらいの走りは十分できそうである。しかもミラーに映るシルエットは丸目のクラシック系マシンなのだから、それはそれは恐ろしいハズだ。

トラクションコントロール&ABSをカットするオフロード・プロモードで走れば、270度パラツインの図太いトルクが地面をかきむしる!

スクランブラー1200XEがダートに強いヒミツ

フロント21インチのチューブレススポークを採用するなど、アドベンチャーモデルに劣らぬ装備が奢られたスクランブラー1200シリーズ。走ってみるとXEはかなり本気でオフロード性能を追求していることがわかった。腕に覚えがあれば、ダートの上でかなり自由自在に操れるハズだ。

野太いトルクを発する270度クランクの1200ccツインは、エキゾーストパイプをサイド回しでさらに最低地上高を確保。試乗車はオプションのアロー製サイレンサーを装着している。

クラス最長の250mmのストロークを確保したフロントフォークはΦ47mmのショーワ製。伸び/圧減衰調整機能を使えば、簡単にロード仕様/オフ仕様の切り替えができる。

ロングタイプのアルミスイングアームに取り付けられたオーリンズサスのトラベル量は250mmで、当然フルアジャスタブル。しかも、なんと専用設計のロングストローク仕様だ。

ブレーキマスターはブレンボ製セミラジアルタイプで、3段階のレバーレシオ変更機能付き。ガツンと効かせたいロードセクション/ソフトタッチのオフセクションと使い分けが可能。

オフロード走行、特にスタンディングでのマシンコントロールはステップ入力に依存するところが大きい。ラバーパッドは取り外し式で、ステップもギザギザで踏ん張りが効くタイプ。

丸目ヘッドライトはモダンクラシックの証。光源はLEDで、撮影車にはLEDウインカー、ライトガード、アップフェンダーがオプションとして取り付けられている。

ライザーによるポジション可変が可能な905mmのワイドなハンドル。スタンディング時の操作も違和感なく行え、3段階切り替えのグリップヒーターも付く。

モダンクラシック系初となる、クルーズコントロールシステムを搭載。作動条件は、3速以上で速度は30~160km/h。増減速機能はないが、あるだけで十分高速走行がラクだ。

TFT液晶メーターは、好みで表示画面を切り替えられ、 表示内容の種類や数も変更可能。ちなみにメーターそのものの角度も、身長ポジションに合わせて調整が可能だ。

レイン/ロード/スポーツ/オフロード/オフロード・プロに加え、設定変更が可能なライダーモードを装備。スロットルレスポンスは4段階で、バタフライバルブ/点火時期/噴射量を包括変更している。

6軸IMUを備え、スマートキーを採用するなど中身は最新。ウインカーの消し忘れ防止に効果的なオートキャンセルウインカーも備えている。ハンドルロックはシリンダー式。

深みのある塗装が施されたクラシカルテイストあふれるティアドロップ形状の鉄タンク。これが意外にスタンディングしても邪魔にならない。容量16Lでハイオク指定。

フラットなシートは快適性もよく、裏側には積載のためのループも装備。シート下にはUSBコネクタも備える。ただしシート高が870mmでちょっと幅広なので足着き性はよくない。


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