二輪車利用環境改善部会レポート#34

三ない運動撤廃後、高校生とバイクの関係はどう変化したのか?【埼玉県の初年度活動を総括】

三ない運動撤廃後、高校生とバイクの関係はどう変化したのか?【埼玉県の初年度活動を総括】

●文/写真:ヤングマシン編集部(田中淳磨/輪)

前回の記事に続いて、’20年10月13日(火)の定例会で行われた埼玉県教育委員会による「高校生の自動二輪車等の交通安全に関する指導について」の報告内容からピックアップして紹介する。’19年4月に三ない運動が撤廃され、交通安全講習が始まった初年度の総括となっている。

運転免許の取得状況

まずは運転免許の取得状況から。県内の公立高校145校(定時制含む)のうち、免許取得者のいた学校は92校と全体の約63%に上った。全体としては797人の高校生が免許を取得した。うち、原付免許の取得者数は572名、自動二輪車の免許取得者数は225名で、その比率はおよそ7:3だった。あと数年我慢して普通自動車免許を取得すれば乗ることができる原付免許を7割もの生徒が取得したということは、それだけ生活の足/日常的な移動手段として必要とされているのかもしれない。

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なお、三ない運動は撤廃されたものの、通学時の移動手段としてのバイク利用は今のところ特に緩和されていない。’19年、通学が許可されていたのは20校のみで、全体のおよそ14%にすぎない。県内の中山間地である秩父地区では数十年も前から原付一種バイクによる通学が許可されてきたが、それ以外には定時制や西部地区の一部などで細々と許可されているだけというのが現状だ。少子高齢化のなか、移動困難者が増えつつある社会情勢等を鑑みれば、バイク通学の必要性については継続的なリサーチが必要と考える。

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県内公立高校でバイク通学をする場合は、統一ステッカーを車体に貼ることがルールだ。通学の許可は各校の校長判断による。

交通事故死傷者数

続いて、’17~’19年度に発生した埼玉県内高校生の交通事故について。’19年度の県内高校生のバイク事故は47件だった。無免許の生徒による事故もあった’18年度の56件、’17年度の78件と比べると明らかに減少したことがわかる。なお、バイク乗車中の事故で亡くなった生徒に関しては、’18年度まで6年連続で1人ずついたが、’19年度はいなかった。

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バイク事故の発生件数は’19年度までは全国的に減少傾向が続いていたので、これが一概に交通安全講習等の成果なのかはわからない。しかし、’20年度は新型コロナ禍での様々な影響(移動の自粛、給付金による免許取得者増、バイク購入者増)もあってか、事故発生件数はもとより、バイク乗車中の死亡者数が増えている。

そうした中、’20年11月には越谷市で高校生2人がバイク乗車中に事故を起こして亡くなっている。このような事故に対して、どのように対応していくのか、埼玉県警とも連携して、モニタリング組織である「高校生の自動二輪車等の交通安全に関する指導検討委員会」にて検証/対策を進める必要があるだろう。

交通安全講習の実施と参加生徒からの評価

最後に交通安全講習の実施状況と、甲州参加生徒へのアンケート結果を紹介する。’19年7月から12月に行われた県内5地区6回にわたる講習会には、59校293人の生徒が参加した。初年度ということもあり、講習会の開催時期と免許取得時期がずれ、’19年度は講習を受けられなかったという生徒もいるので、あくまで参考値だ。参加生徒の評価は上々で、「普通」以上の評価で、座学/実技/救急救命法のすべてで97%以上のスコアとなった。

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普通二輪免許を取って250~400ccクラスに乗る子もチラホラいる。この講習会で車両に不具合が見つかることもあり、違法改造も含めてフィルターの役割も担っている。


県内公立高校の生徒総数は全体で11万6000人ほど。マクロな視点で見れば現在の免許取得者数は微々たるものだ。しかし、近い未来の高校生の日常を考えれば、現在の施策はとても重要な意味を持つ。引き続き注視したい。


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