“オフロードのヤマハ”が満を持して送り込んできたアドベンチャーツアラー「テネレ700」。その実力・真価を確かめるべく、同じ21インチのフロントタイヤを備えたクラス最強・ホンダCR1100Lアフリカツイン<s>との試乗比較を行った。まずは試乗の前にスペック/ディテールの比較から。
ヤマハ テネレ700:”オフロードのヤマハ”復活を期して登場
パリダカール・ラリーのメインステージとなったアフリカ大陸のテネレ砂漠がその由来で、’82年発表のヤマハのXT600テネレ以降のアドベンチャーバイクが冠するペットネーム。ちなみに「テネレ」とは「何もないところ」という意味だ。
【’20 YAMAHA Ténéré700】主要諸元■全長2370 全幅905 全高1455 軸距1595 シート高875(各mm) 車重205kg ■水冷4ストローク並列2気筒 DOHC4バルブ 688cc 72ps/9000rpm 6.8kg-m/6500rpm 変速機6段 燃料タンク容量16L ■タイヤサイズF=90/90-21 R=150/70R18 ●価格:126万5000円 [写真タップで拡大]
ホンダ CRF1100L アフリカツイン<s>:アドベンチャーツアラーの雄・限定脚長版
「アフリカ」とは、当然パリダカール・ラリーのことを指す。「ツイン」はもちろんツインエンジンのことで、旧作にはVツインを採用してきた。だがホイールベースの短縮化による操作性を求めて、最新のアフリカツインはパラレルツイン化。今回比較試乗に用意したのは、フロントサスペンションストロークが+45mmの230mm、 リアアクスルトラベルが++40mmの220mmのロングストロークサスペンションを採用した限定バージョン<s>だ。
【’20 HONDA CRF1100L AFRICA TWIN <s>/DCT】主要諸元 ■全長2330 全幅960 全高1395 軸距1575 シート高870/ローポジションは850(各mm) 車重226kg/236kg(装備)■水冷4ストローク並列2気筒 OHC4バルブ 1082cc 102ps/7500rpm 10.7kg-m/6250rpm 変速機6段 燃料タンク容量18L ■タイヤサイズF=90/90-21M/C R=150/70-18M/C ※限定販売終了 [写真タップで拡大]
テネレ700vsアフリカツイン ディテール比較
エンジン
排気量に414ccの開きはあるものの、同じパラレルツインで270 度クランクなのも一緒。何よりの違いはテネレのエンジンがロードモデルのMT-07に使われるCP2エンジンだということ。かなりハイトが高いエンジンだ。
フロントフォーク
φ43mm・ストローク210mmのテネレに対し、アフリカはφ45mm・220mmを確保。また調整機構はアフリカがプリロード調整も可能なフルアジャスタブルなのに対し、テネレは伸圧の減衰調整のみにとどまる。
ハンドル
跨ってみると、アフリカはフロントまわりのボリューム感の違いがとても大きく、アドベンチャーらしい存在感がある。テネレはクリアスクリーンの影響もありかなりスリム。実際走ってもフロントまわりの軽さが際立つ印象だ。
フロントマスク
横幅にボリューム感のあるアフリカに対し、スリムで面長なラリースタイルのデザインを採用するテネレ。光源はアフリカがフルLEDなのに対し、テネレはヘッドライトとストップランプにLEDを採用している。
フューエルタンク
燃料はどちらもレギュラー。タンク容量はアフリカが18L。対するテネレは16Lで300kmほど走ってメーターに表示された燃費は21.3km/L。つまり340kmは走れる計算になる。燃料ゲージは4.3Lを切ると点滅開始。
仕様比較

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ライディングポジション&足つき性
【アフリカツイン<s>】<s>とはいえ、850/870mmの切り替え式のシートのおかげで低くすればカカト数センチのところまで足つきは良くなる。スタンディングポジションも取りやすい。 [写真タップで拡大]
●文:谷田貝洋暁 ●写真:真弓悟史 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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