ザルコの前輪交信力【もしもし、私の声が聞こえますか?】
ヨハン・ザルコ(ドゥカティ)が第4戦チェコGPでいきなりポールポジションを獲得し、決勝でも3位表彰台に立って見せた。
正直、「予選だけだろうなあ」と思っていた。ザルコ自身もなぜポールを獲得できたのかよく分かっていなかったようだから(笑)、なおさらだ。一発の好タイムをマークすることは、いろいろな条件がうまく重なり合えばあり得ないことじゃない。
でも長丁場の決勝となるとそうはいかない。ドゥカティ乗りが軒並みフロントタイヤに苦しんでいたところ、ザルコは上位をキープできたのは、並外れた前輪交信力を発揮できたからだろう。
前輪からのインフォメーションを余さずキャッチし、走りにフィードバックできるザルコの能力が見事に花開いたワケだ。
やや理不尽なロングラップペナルティを受け、ダスティなレコードライン外を走りながらも順位を落とさなかったのもさすがだった。
KTMを1年で離脱してドゥカへ。新天地での初表彰台に吠える。
前輪へのセンサーが敏感。何が起きているか正確に把握し、走りを調整する。
ロッシ、41歳の表彰台【おじさん期待の星、大殊勲】
クアルタラロやフランコ・モルビデリらペトロナス勢が目立つ一方で、やや精彩を欠いている印象だったヤマハファクトリー。
特にバレンティーノ・ロッシは第2戦スペインGP予選で9番手、決勝はマシントラブルが発生してリタイヤを余儀なくされた。
トラブルがなかったとしても、リヤタイヤのオーバーヒートに苦しんでいたロッシ。すぐ翌週に同じヘレスサーキットで第3戦アンダルシアGPが開催されるので、リカバリーは難しいかと思われたが、見事に問題を解決したばかりか、最高峰クラスでは自身199回目(!)となる表彰台に立った。
「199回目の表彰台」って、もはやドラマか映画のタイトルみたいに現実離れしているが(笑)、苦戦のデータを見直し、キッチリとセッティングを合わせ込んでくるあたりが「ドクター」と呼ばれるロッシの強さだ。
今シーズン中に200回目の最高峰クラス表彰台を見られるかも!
最高峰クラスで199回の表彰台は、2番手ホルヘ・ロレンソの114回に水を空けてブッチギリ。GP全カテゴリーでは235回と凄まじい。まさに生ける伝説!
’20モトGP第2戦〜第4戦の結果
第2戦スペインGP@ヘレスサーキット(7/19):M.マルケス右上腕骨折
- 1位 F.クアルタラロ(ヤマハ)
- 2位 M.ビニャーレス(ヤマハ)
- 3位 A.ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)
- 4位 J.ミラー(ドゥカティ)
- 5位 F.モルビデリ(ヤマハ)
- 6位 P.エスパルガロ(KTM)
第3戦アンダルシアGP@ヘレスサーキット(7/26):F.クアルタラロ2連勝
- 1位 F.クアルタラロ(ヤマハ)
- 2位 M.ビニャーレス(ヤマハ)
- 3位 V.ロッシ(ヤマハ)
- 4位 中上貴晶(ホンダ)
- 5位 J.ミル(スズキ)
- 6位 A.ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)
第4戦チェコGP@ブルノサーキット(8/9):KTM&B.ビンダー初優勝
- 1位 B.ビンダー(KTM)
- 2位 F.モルビデリ(ヤマハ)
- 3位 J.ザルコ(ドゥカティ)
- 4位 A.リンス(スズキ)
- 5位 V.ロッシ(ヤマハ)
- 6位 M.オリベイラ(KTM)
●監修:青木宣篤 ●写真:MotoGP.com/Red Bull ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
子供の頃は、ひたすらポケバイに乗っていた。最初に走った「コース」は、群馬県北群馬郡子持村の村役場駐車場だ。今ではあり得ないが、昭和50年代半ばのグンマは大らかだったのだ。ちなみに子持村は、合併により'[…]
現代のスーパーマンたちが繰り広げる珠玉の戦い ヒマである。新型コロナウイルスのせいで、イベント仕事がほぼすべてフッ飛んでしまった。 ヒマな時、どうするか。考えるのだ。本日のワタシは、モトGPライダーと[…]
ドゥカティがまた企んでいる。とりあえずここでは「ホールショットデバイス2.0」と仮称しよう。長いので「HSD2.0」と省略することにする。 ホールショットデバイスはサスペンションの動きを抑制することで[…]
公式テストにて生き生きとヤマハYZR-M1を走らせていたのは、ホルヘ・ロレンソ。'19年までとは別人のように楽しげに走っていたが、ホンダRC213Vとはよほど相性がよくなかったようだ。 ただ、初乗りか[…]
マレーシア公式テストで注目したのは、各マシンのウイリーの仕方だ。コーナーの立ち上がりでずーっとフロントタイヤを眺めているのだから、我ながらちょっとアブナイ香りがする…(笑)。 加速効率がもっとも良いの[…]
最新の記事
- 「カワサキ初のレーサーレプリカ」ライムグリーンカラーを導入した初の大排気量車:カワサキZ1000R【あの素晴らしい名車をもう一度】
- 変化を一気見! カワサキ「Z900RS」歴代カラー大図鑑【2018~2025年モデル】
- 2025MotoGPヘルメット勢力図は5社がトップを分け合う戦国時代へ突入! 日本の3メーカーに躍進の予感!?
- 【SCOOP!】スズキ「GSX-8」系にネオクラが存在か!? 丸目のGS&クーリーレプリカ復活希望!!
- 「初の100ps超え!! 」全面改革で進化した第二世代のZ:カワサキZ1000J【あの素晴らしい名車をもう一度】