“キュイーン!!”と響き渡る過給音。スーパーチャージドエンジンをネイキッドに搭載するという前代未聞のモンスターマシン・カワサキZ H2が’20年4月に国内リリースされた。本稿ではドイツのバイク専門誌『モトラッド』が行った実測テスト結果をレポートする。
【テストしたのはドイツMOTORAD誌】実測アリのテストを行ったのは、ドイツのバイク専門誌『モトラッド』。試乗はヨハネス・ミューラー氏が担当。既存のネイキッドの枠を超えたその出来栄えに興奮ぎみの様子だ。
キレイなパワーの伸びがスパチャならでは爽快さの源
Z H2の各ギヤにおける最高速。6速全開でレブまで回し切ると、なんと理論上では300km/hに迫らんとする291km/hまで可能だ。実際にはピークパワーの出る10800rpmを超えて12000rpm手前の272km/hというところで頭打ちとなったが、ネイキッドで走行風の影響を考えるとこれが現実的な落とし所の設定と言えるか。
最高速度:理論値6速291km/h! 実際には272km/hがピーク
実測での最高出力は194psで最大トルクが134Nm(13.66kg-m)と、カタログスペックの200ps&14.0kg-mには少々及ばなかった。だが、これはカタログにも「※使用環境により異なる場合がある」とされているとおり、ダイノマシン上と実走行の上ではエアインテークにかかる吸気圧の違いなどでも変化がありそうだ。いずれにせよ、スーパーチャージドエンジンによるパフォーマンスに遜色はなく、100Nmは4000rpmの時点で発揮。ちなみに現在のホンダ・ファイアーブレードでこのトルク値に達するには、ほぼ倍の回転数が必要になってくる。Z H2はパフォーマンスの上昇曲線が非常に均一なのも操縦性に大きなメリットがあって注目すべきポイントだ。
【ちなみに…】同じバランス型スーパーチャージャー搭載のNinjaH2SXとはカウルの有無が影響ありそう。過去最強枠のB-KINGとのモンスターネイキッド対決では1340cc対998ccの排気量ハンデを軽く覆した。
パワー&トルク:一直線にパワーが上昇
加速テストは下のとおり。ちなみに同条件ではないものの、ヤングマシンがテストした’18ニンジャH2の0-100km/h結果は3秒665、’15ニンジャH2Rで3秒630、’17ニンジャZX-10RRで3秒474、最新のCBR1000RR-Rで3秒395と、Z H2はネイキッドながら並み居るフルカウルマシンたちに遜色ないダッシュ力を見せつけるパフォーマンスを叩き出している。
加速性能:フルカウル勢にも遜色なし
IMU連動式の電子制御ABSであるKIBS(カワサキ・インテリジェンス・ブレーキ・システム)は、細かい制御間隔が特徴。リヤの浮き上がりも防止し、しっかりと地面を捉えてくれて非常に安心感が高い。100km/hからの制動には44.3mが必要という結果で、我々MOTORRADにとってはかなり介入度強めの防御的な設計に思え、ちょっと長いという印象がある。もっとも教習所で一般的に100km/hに必要と教えられる制動距離は約84mで、それよりは段違いに止まる。なお、旧ニンジャ1000は42.4mで止まったが、Z H2は車重がそれより重かったためだろう。
●取材/写真:MOTORRAD 鶴身健 ●まとめ:宮田健一 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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