グラフで見ても違いはハッキリ出た
ヤマハ新旧TMAX560vs530スポーツ走行対決〈後編:筑波サーキット激走比較〉
- 2020/7/11
マキシスクーターの雄として欧州&日本を席巻したヤマハTMAXが、+31ccの排気量アップを受けて、560ccとなる7代目に進化。そしてTMAXと言えば、SSも顔負けの高いスポーツ性がウリ。そこでこのマシンの絶対性能を探るべく、サーキットに新旧モデルを持ち込み、テスター丸山浩が激走チェックを行った。
| P1 | P2 |
乗ってすぐに分かる560の爽快加速感
まずは7代目TMAXのスペックからおさらいしておこう。排気量は従来の530ccから561ccへと+31㏄アップし、馬力は2psアップの48ps。新たにユーロ5に対応しており、本来はこれがエンジンが変わった一番の理由だ。この新エンジンで私が注目したのが最大トルク。エンジンは2mmボアアップと吸気バルブの拡大により、発生回転数は同じ5250rpmながら53Nm(5.4kg-m)から56Nm(5.7kg-m)へと、実に約6%のアップとなった。エンジン以外では、見直しが行われたCVTベルトや自動変速タイミングも加速性能向上に貢献しているだろう。車体も2kg増とそんなに重くならず、サスペンション設定も見直されるなど細部まで手が入っている。

’20 YAMAHA TMAX 560 TECH MAX ABS [写真タップで拡大]
それでは走ってみよう。トラクションコントロールはTモードとSモードの2つがあるが、一般的に使うことの多いTモードでテスト。結果はデータログを見るまでもなかった。出だしからして「あぁ、これは新型が段違いで速いな」と思わせるダッシュ力だ。タイムは旧型が45.652秒。これでも十分に速い。そして新型は42秒台に迫らんとする43.058秒。筑波を走っている人なら分かると思うが、これは普通のバイクでも難しいタイム。もうスクーターの出すタイムではないね。最高速に関しても旧型109.32km/hに対して新型121.79km/hと、253mしかない筑波コース1000のホームストレートで随分と大きな差がついた。最高出力は約3.5%くらいしか変わっていないので、どちらかというとこれにはトルクとCVTによる加速性能アップが大きいと走ってて実感。どのコーナー立ち上がりでも、素早く伸びていくのが手に取るように分かる。同時に加速での爽快感も飛躍的に高まっている。
ハンドリング自体に違いは感じられないが、新旧とも驚くほどバンクするのもTMAXらしい。本来はサーキットを走るマシンではないけれど、このポテンシャルの高さは変わらぬ魅力だ。

’20 YAMAHA TMAX 560 TECH MAX ABS [写真タップで拡大]
すべてのコーナーで加速性能が光る
新旧TMAXの速さの違いは、データログを見ると一目瞭然だった。体感どおり、どのコーナーでも加速へのつながりが良いのが分かる。実際にはCVTを引っ張りだす3000rpmくらいから5000rpmくらいにかけてギューンと伸び、ちょっとしたコーナーでもすべてで効いてくる。これが、その後につながるストレートでどんどん差を広げていった大きな理由だ。上で語ったように、これは馬力アップというよりトルクアップと駆動系の改良による影響が大きい。

グラフは筑波サーキット・コース1000を新旧それぞれ6〜7周走り、ベストタイムでの加減速具合をデジスパイス3で記録したもの。コーナー間のストレートが短いこのコースでは、いかに加速で稼ぐかが決め手。新型は限られたコーナーだけでなく、どのコーナーでも満遍なく力強く立ち上がっている。これは速いのも間違いないわけだ。 [写真タップで拡大]
車体もその走りをしっかり支えてくれる。スクーターとは思えないバンク角の深さは感動的だ。寝かせすぎて車体下部を剃ってしまったが、1か所がガツンとヒットするわけでなく全体をキレイに剃っていく。随分と車体を追い込んだ設計だと感じる。ライディングポジションも旧型と違いはないが、こちらは加速が良くなったぶんバックレストが腰を支えてくれるようにもっと近くにあってほしいか。とにかく、ここまで走れる性能を作り込んだ開発者たちに感服。従来の持ち味そのままに、さらに加速感と走りの刺激をアップしたのが新型だと言えるだろう。
さらにパワフルなコンプリートカスタム
RC甲子園が手掛ける「RCKコンプリート」として従来の530でも好評だった「M」が、560でも登場。マフラーはノーマルのままだが、独自のチューニングによってさらなるパワーアップを実現した。ノーマルと比べて、なんと5psアップを果たし、全域での加速をアップ。これで価格はノーマルからチョイ上乗せ程度。YSP大阪箕面をはじめ全国13店舗のYSP「RCKコンプリート」取扱店で販売される。



最大約5psの全域パワーアップ(グラフ上)&加速アップ(グラフ下)を実現。ただでさえ速い560がさらに速くなる。ひと味違うTMAXが欲しいユーザーなら要チェックとなる1台だ。
●テスター:丸山 浩 ●写真:長谷川徹 ●まとめ:宮田健一
※本記事の内容はオリジナルサイト公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
関連する記事
最新の記事
- ヤングマシン2021年3月号は1/22発売!『初夢スクープ×20車』で2022年モデルを語る!
- ホンダ名作MINIリバイバルを止めさせるな!”NEXT125総選挙”実施【民意よ届け!】
- BMW R18試乗インプレッション〈vs ハーレー ローライダーS 独米クルーザー対決〉
- 驚愕115PS! ストリードグライドスペシャルを1966ccにボアアップ〈HSC沼津〉
- 【アエラ×パニガーレV2】ライダーが積極的に動けるポジションを作れる!
ヤマハ TMAX560の価格情報

ヤマハ TMAX560
※ 価格は全国平均値(税込)です。
新車 122台 | 価格種別 | 中古車 0台 |
---|---|---|
本体 132.62万円 価格帯 117.39~141.9万円 |
本体価格 |
本体 ―万円 価格帯 ―万円 |
諸費用 7.54万円 価格帯 6.78~7.22万円 |
諸費用 |
諸費用 ―万円 価格帯 ―万円 |
乗り出し価格 140.17万円 価格帯 124.17~149.12万円 |
乗り出し価格 |
乗り出し価格 ―万円 価格帯 ―万円 |
ヤマハ TMAX530の価格情報

ヤマハ TMAX530
※ 価格は全国平均値(税込)です。
新車 0台 | 価格種別 | 中古車 40台 |
---|---|---|
本体 ―万円 価格帯 ―万円 |
本体価格 |
本体 72.45万円 価格帯 49.75~93.8万円 |
諸費用 ―万円 価格帯 ―万円 |
諸費用 |
諸費用 9.52万円 価格帯 4.25~8.6万円 |
乗り出し価格 ―万円 価格帯 ―万円 |
乗り出し価格 |
乗り出し価格 81.97万円 価格帯 58.35~98.05万円 |