マキシスクーターの雄として欧州&日本を席巻したヤマハTMAXが、+31ccの排気量アップを受けて、560ccとなる7代目に進化。そしてTMAXと言えば、SSも顔負けの高いスポーツ性がウリ。そこでこのマシンの絶対性能を探るべく、サーキットに新旧モデルを持ち込み、テスター丸山浩が激走チェックを行った。
新型TMAX560は従来の530をベースに発展。しかし、エンジンは言うに及ばず車体各部も細部までリフレッシュ。タンデムライダーの快適性を考慮したテールまわりやエンジン冷却性に貢献するアンダーカウルの新[…]
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乗ってすぐに分かる560の爽快加速感
まずは7代目TMAXのスペックからおさらいしておこう。排気量は従来の530ccから561ccへと+31㏄アップし、馬力は2psアップの48ps。新たにユーロ5に対応しており、本来はこれがエンジンが変わった一番の理由だ。この新エンジンで私が注目したのが最大トルク。エンジンは2mmボアアップと吸気バルブの拡大により、発生回転数は同じ5250rpmながら53Nm(5.4kg-m)から56Nm(5.7kg-m)へと、実に約6%のアップとなった。エンジン以外では、見直しが行われたCVTベルトや自動変速タイミングも加速性能向上に貢献しているだろう。車体も2kg増とそんなに重くならず、サスペンション設定も見直されるなど細部まで手が入っている。
それでは走ってみよう。トラクションコントロールはTモードとSモードの2つがあるが、一般的に使うことの多いTモードでテスト。結果はデータログを見るまでもなかった。出だしからして「あぁ、これは新型が段違いで速いな」と思わせるダッシュ力だ。タイムは旧型が45.652秒。これでも十分に速い。そして新型は42秒台に迫らんとする43.058秒。筑波を走っている人なら分かると思うが、これは普通のバイクでも難しいタイム。もうスクーターの出すタイムではないね。最高速に関しても旧型109.32km/hに対して新型121.79km/hと、253mしかない筑波コース1000のホームストレートで随分と大きな差がついた。最高出力は約3.5%くらいしか変わっていないので、どちらかというとこれにはトルクとCVTによる加速性能アップが大きいと走ってて実感。どのコーナー立ち上がりでも、素早く伸びていくのが手に取るように分かる。同時に加速での爽快感も飛躍的に高まっている。
ハンドリング自体に違いは感じられないが、新旧とも驚くほどバンクするのもTMAXらしい。本来はサーキットを走るマシンではないけれど、このポテンシャルの高さは変わらぬ魅力だ。
すべてのコーナーで加速性能が光る
新旧TMAXの速さの違いは、データログを見ると一目瞭然だった。体感どおり、どのコーナーでも加速へのつながりが良いのが分かる。実際にはCVTを引っ張りだす3000rpmくらいから5000rpmくらいにかけてギューンと伸び、ちょっとしたコーナーでもすべてで効いてくる。これが、その後につながるストレートでどんどん差を広げていった大きな理由だ。上で語ったように、これは馬力アップというよりトルクアップと駆動系の改良による影響が大きい。
車体もその走りをしっかり支えてくれる。スクーターとは思えないバンク角の深さは感動的だ。寝かせすぎて車体下部を剃ってしまったが、1か所がガツンとヒットするわけでなく全体をキレイに剃っていく。随分と車体を追い込んだ設計だと感じる。ライディングポジションも旧型と違いはないが、こちらは加速が良くなったぶんバックレストが腰を支えてくれるようにもっと近くにあってほしいか。とにかく、ここまで走れる性能を作り込んだ開発者たちに感服。従来の持ち味そのままに、さらに加速感と走りの刺激をアップしたのが新型だと言えるだろう。
さらにパワフルなコンプリートカスタム
RC甲子園が手掛ける「RCKコンプリート」として従来の530でも好評だった「M」が、560でも登場。マフラーはノーマルのままだが、独自のチューニングによってさらなるパワーアップを実現した。ノーマルと比べて、なんと5psアップを果たし、全域での加速をアップ。これで価格はノーマルからチョイ上乗せ程度。YSP大阪箕面をはじめ全国13店舗のYSP「RCKコンプリート」取扱店で販売される。
●テスター:丸山 浩 ●写真:長谷川徹 ●まとめ:宮田健一 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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