’20年も国内レース・J-GP3に参戦する女性レーサー・岡崎静夏さん。今回の試乗車・ホンダCB400SUPER FOURを前に、いつになく熱く語り続ける。長い歴史を持つ”本物”の存在感が、ライダーの熱いスピリッツを刺激するようだ。インプレッションレポート前編をお届けする。
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岡崎静夏(おかざき・しずか):チャーミングな笑顔でも中身はスパルタンな「バイクフリーク」。’09〜’10年、MFJレディースロードレースで2年連続王者に。全日本はGP-MONOを経て’12年からJ-GP3に参戦中。
【ホンダ CB400 SUPER FOUR】初代発売は’92年のロングセラーモデル。スーパーフォアを略して「スーフォア」と呼ばれ愛されている。’99年登場のNC39型からハイパーVTECを搭載。以後バージョンアップを続け、最新モデルはよりきめ細やかな制御のハイパーVTEC Revoを採用。
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【’20 HONDA CB400 SUPER FOUR】主要諸元 ■全長2080 全幅745 全高1080 軸距1410 シート高755(各mm) 車重201kg ■水冷4スト直列4気筒DOHC4バルブ399cc 最高出力56ps/11000rpm 最大トルク4.0kg-m/9500rpm 6段リターン 燃料タンク容量18L ■タイヤサイズF=120/60-17 R=160/60-17 ●価格:92万8400円(アトモスフィアブルーメタリック・キャンディークロモスフィアレッド)/88万4400円(ダークネスブラックメタリック)
変わることなく貫き通す、その姿勢がカッコいい
レーシング”女子”と呼んでいただいている自分ですが、果たして本当にそれにふさわしいのかどうか、我ながらはなはだ疑問です(笑)。
年齢や姿形にも問題アリと自覚していますが、”女子”と呼ばれて最大級に引っかかるのは、中身が”オトコ”ってこと。頭の中はバイクとレースのことだらけって、イイんでしょうか?
イイんです、そんな女子がいたって(笑)。だって、バイクはカッコいいしレースは面白いですからね。こればっかりはいくら月日が経っても、経験を重ねても変わりません。
なぁんてことを改めて考えたのは、CB400スーパーフォアをお借りしていた間のこと。朝、CBを眺めるたびに「カッコいいなぁ……」と惚れ惚れしてしまったからです。
大丈夫か、自分……。
と思いつつ、昂ぶる気持ちはどうしようもありません。セルボタンを押し、「ドウン!」とエンジンに火が入ると、もうたまりません! アイドリングだけで直4サウンドに聴き入ってしまいます。最高!
大丈夫か、自分……。
丸目一灯というネイキッドの正統的デザインを踏襲しながらも、時代に合わせて常にルックスをアップデート。サイドカバーやリヤカウルのデザインを変更するなど、たゆまぬ進化を続けている。
「女性が乗ると車格はちょっと大柄に感じますが、無理のないポジションで快適と言える範囲かな。タンク後端が絞られていてスリムだから、思ったよりも足着き性がよくて安心感があります。足を下ろす時にも邪魔なものがないのでスムーズです」(岡崎さん)
バイク好きな皆さんに説明するまでもありませんが、「CB」はホンダにとって正統的な名称です。
最初にこの名が使われたのは1959年のCB92とのこと。そこからさまざまな排気量にCBを冠したバイクが登場しましたが、ヨンヒャクに限っても1974年のドリームCB400FOURが発端ですから、50年近い歴史があることになります。
自分はもちろんその当時を体験しているわけではありません。でも、今こうして最新のCB400SFを見ていると、「変わることのないバイクらしいカッコよさってあるんだなあ」としみじみ思います。
それに、「昔からあるのに、変わらずにカッコいいままでいられる」って、本当にスゴイことですよね! どんなに歴史があっても、時間が経つにつれて変な方向に行ってしまう製品が(バイクに限らず)多い中で、CBにしかないカッコよさを貫き続けているって、その存在自体がカッコいい。
と、アイドリングのままで語り続けてしまいました。さあ、走ろう!
カラーバリエーションはアトモスフィアブルーメタリック(左)、キャンディークロモスフィアレッド(中)、 ダークネスブラックメタリック(右)の3色。
CB400 SUPER FOUR のディテールをチェック
【2→4バルブの切り替わりで排気音も気持ちよく変化する】低・中回転域は吸気1・排気1の2バルブが、高回転域は吸気2・排気2の4バルブが作動する。最新バージョンのRevoでは、ギアやエンジン回転数のほかにスロットル開度も判断して制御。
(左)リヤサスペンションはアルミスイングアーム+リザーバータンク付きダンパーの組み合わせ。プリロードアジャスターは5段階調整だ。前後輪ともABSが装備されていて安心。(右)安定志向のハンドリングのCB400SF。フロントサスは無段階調整できるプリロードアジャスターを備えている。フロントディスクはφ296mmとかなり大径。
「最近はコンパクトなスクーターに乗る機会が多かったので、押し始める瞬間はさすがにグッと手応えを感じますが、タイヤが転がり出してしまえば意外にスムーズ。いいベアリングが回っているような上質なフィーリングで押し引きも楽しくなります。こういうところがさすがCB!」(岡崎さん)
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次ページでは、岡崎静夏さんがCB400 SUPER FOURに試乗。そのインプレッションをお届けする。
●まとめ:高橋 剛 ●写真:楠堂亜希 ●取材協力:ホンダモーターサイクルジャパン ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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