〈連載〉岡崎静夏がじっくり乗ってみました!

’18ホンダPCX150ABS試乗インプレッション前編【レーシングライダー岡崎静夏】

’20年も国内レース・J-GP3に参戦する女性レーサー・岡崎静夏さん。今回試乗してもらったのは、街乗りから高速走行までこなすスクーター・ホンダPCX150 ABSだ。箱根の麓までショートツーリングを楽しみながら、いつものように妄想をふくらませる…。


●まとめ:高橋 剛 ●写真:楠堂亜希 ●取材協力:ホンダモーターサイクルジャパン ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

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岡崎静夏(おかざき・しずか):チャーミングな笑顔でも中身はスパルタンな「バイクフリーク」。’09〜’10年、MFJレディースロードレースで2年連続王者に。全日本はGP-MONOを経て’12年からJ-GP3に参戦中。

【ホンダ PCX150 ABS】
125ccのPCX、125cc+モーターアシストのPCXハイブリッド、そして今回紹介する150ccエンジン搭載のPCX150。所有免許や走るステージに合わせて選べるのがPCXシリーズの強み。普通二輪免許が必要な150は高速道路が走行可能だ。

【’18 HONDA PCX150 ABS】主要諸元 ■全長1925 全幅745 全高1105 軸距1315 シート高764(各mm) 車重131kg ■水冷4スト単気筒OHC2バルブ149cc 最高出力15ps/8500rpm 最大トルク1.4kg-m/6500rpm 無段変速式(Vマチック) 燃料タンク容量8.0L ■タイヤサイズF=100/80-14 R=120/70-14 ●価格:40万2600円(ABSなし=38万600円)

ここは横浜、赤レンガ倉庫のそば。ス〜ッと止まった1台のPCX150 ABS。ヘルメットを脱ぐと、ファサッと艶やかなロングヘアが風になびきます。シート下のラゲッジボックスからバッグを取り出して颯爽と歩き始めたのは、女子高生でした……。

ものすごくいいシーンじゃないですか!? いいですよねえ!? 実はこれ、100%自分の妄想です(笑)。でもPCX150に乗っていてイメージしたのは、まさにそんなシーンでした。「女の子同士でふたり乗りしててもカッコいいだろうな〜」と妄想がふくらみます。大丈夫か? 自分……。

ただ「バイクが好き!」というよりも、オシャレにも気を使ってる女子にも似合いそうなPCX150。大きすぎず、小さすぎないサイズ感は身長158cmの私にもしっくりきます。残念ながら自分はオシャレに無頓着ですが、意識高い系の女子ライダーにこそ乗ってほしい1台です。

流れるような美しいシェイプ、伸びやかなフォルム。扱いやすいコンパクトサイズのボディに上質なデザインを施したPCX150。LEDの灯火類がシャープさと精悍さを演出し、クラスを超えたプレミアムスクーターに仕上がっている。

「両足を接地させてもかかとが少し浮くぐらいなので安定感があります。シートが広くてポジションに自由度があるのも◎。足を伸ばすラクな態勢も、ちょっとニーグリップもOK」(岡崎さん)

スタイリッシュでスマートなデザインがそう思わせるんですが、走ってもスゴイ。走りの話は自分の得意分野なので飛ばしていきますが(笑)、まず150ccエンジンがとにかく速い! 発進加速時は125ccエンジン+モーターのPCXハイブリッドに近い上質な力強さで、スルスルッと交通の流れをリードできます。

…実は、発進加速に限って言えば、PCXハイブリッドもPCX150と互角か、それ以上の押し出し感があるんです(125cc+モーター、侮れません!)。でも、さらにアクセルを開け続けると速度が上がるほどに伸びやかさを見せてくれるのが150ccエンジンならではの長所。これは気持ちいいですよ!

通勤にも結構使いましたが、ストップ&ゴーが連続する街中ではかなりキビキビと走れるので、文字通りの「通勤快速」。大きすぎない車格のおかげで混雑した道路でも持て余すことがなくて、快調そのものでした。

これで自分にもう少し乙女っぽさがあれば、冒頭の妄想のようにファサッと髪をなびかせてインスタ映えを狙うんですが、根がレーシングライダーなので……。150ccなら、高速道路を走るしかありません!

通常のカラーバリエーションは、キャンディラスターレッド(左上)・ポセイドンブラックメタリック(右上)・パールジャスミンホワイト(左下)・ブライトブロンズメタリック(右下)の4色。

【マットカラーの受注期間限定モデルが登場】ファッションからモーターシーンまで幅広く流行中のマットカラーがPCXにも登場。マットギャラクシーブラックメタリック(左)とマットイオンブルーメタリック(右)の2色は、’20年5月31日までの受注期間限定だ。STD=38万3900円/ABS=40万5900円。

PCX150ABSのディテールをチェック

【エンジン徹底見直しで実現した、低速からの加速と高速域の伸び】エアクリーナーとマフラー形状を見直して高回転域の出力を向上。さらにドライブフェイスとドリブンフェイスを大型化することで変速比の幅を拡大し、低速域の加速性と中高速域の伸びやかさの両方を高めている。

【ダブルクレードルフレームが軽快かつ安定の走りを実現】 従来型PCXのフレームはアンダーボーン構造だったが、現行モデルはダブルクレードル構造に。フレーム剛性向上と軽量化を達成することで、軽快感と安定感を両立している。

「150ccでも重さを感じさせず、ハンドリングは軽快です。乗り心地も良好で、一般道の速度域では段差も問題なくいなしてくれました。ブレーキの利きも不満はありません。ABSが装備されているので、雨の日も安心して走れました」(岡崎さん)

「PCXは車格が絶妙。150ccあっても車重は131kgで、それほど重さは感じません。押し引きは女子ライダーでも安心してこなせるレベル。ハンドルの位置もちょうどいい高さで、安心して取り回すことができます」(岡崎さん)

次ページでは、岡崎静夏さんがPCX150ABSに試乗。そのインプレッションをお届けする。

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