世界初&日本初、二輪車技術進化の歴史
時代を切り拓いた革新のエポックマシン:ヤマハFZ750【世界初・5バルブ】
- 2020/4/19
●文:沼尾宏明 ※本記事で取り上げる「初」は、公道走行可能な量産二輪市販車としての”初”を意味します。なお、その定義には諸説ある場合があります。
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’85 ヤマハFZ750〈世界初・5バルブ〉高効率吸気を達成しヤマハの代名詞に
’85年、大型4ストスポーツを持たなかったヤマハが、レースでの勝利を狙って送り出した渾身作が「FZ750」だ。’80年代に入り、ヤマハは7バルブを搭載したV型4気筒500ccの研究をスタート。その後、国内外で4スト750ccの市販車レースが開始されることを受け、4気筒5バルブの開発計画に引き継がれた。こうして世界初の5バルブを積むFZ750が誕生。吸気×3、排気×2の多バルブ化で吸気効率を高め、特に中低速トルクの増強に効能があった。また、バルブ1本あたりの質量が減るため、高回転化にも有利である。以降も5バルブは歴代のヤマハスポーツ車に受け継がれ、’00年代のモトGPマシン=YZR-M1や、旗艦YZF-R1にまで搭載。息の長い技術となり、長年ヤマハを代表するメカになった。
【’85 YAMAHA FZ750】■車重209kg(乾) 水冷4スト並列4気筒DOHC5バルブ 748cc 77ps 7.0kg-m■当時価格:79万8000円

【現代に通じる設計コンセプト】5バルブに加え、画期的な設計思想「GNESIS」(ジェネシス)を初採用。創世記を意味し、全てをトータル性能のために集約する車体レイアウトを指す。これにより前傾45度エンジン+ストレート吸気による分厚いトルクとパワー(輸出仕様は110ps)、優れた前輪荷重を実現した。

【ワークスのベースとなり、伝説のレースでも活躍】’85鈴鹿8耐に、ヤマハはデビュー間もないFZをベースにしたFZR750で参戦。ケニー・ロバーツ&平忠彦というスターがペアを組み、トップを快走するも、ラスト30分で無念のリタイヤ。翌年のデイトナではFZ+ローソンが勝利するなど潜在能力は抜群だった。
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