’20年も国内レース・J-GP3に参戦する女性レーサー・岡崎静夏さん。今回試乗してもらったのは、国民的バイクとしておなじみスーパーカブのプレミアム仕様「スーパーカブC125」だ。レース三昧の日々を過ごす彼女、C125でトコトコと走りながら、人生について思うところもあったようで…。
●まとめ:高橋 剛 ●写真:楠堂亜希 ●取材協力:ホンダモーターサイクルジャパン ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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岡崎静夏(おかざき・しずか):チャーミングな笑顔でも中身はスパルタンな「バイクフリーク」。’09〜’10年、MFJレディースロードレースで2年連続王者に。全日本はGP-MONOを経て’12年からJ-GP3に参戦中。
【ホンダ スーパーカブ C125】
レッグシールドからリヤフェンダーにかけて滑らかな曲面で構成されたシルエット。歴代のスーパーカブらしさを絶妙に残しながら、品のあるスタイリングが授けられている。扱いやすさと低燃費に配慮したエンジンを始め、各装備も充実。
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【’19 HONDA Super Cub C125】主要諸元 ■全長1915 全幅720 全高1000 軸距1245 シート高780(各mm) 車重110kg ■空冷4スト単気筒OHC2バルブ124cc 最高出力9.7ps/7500rpm 最大トルク1.0kg-m/5000rpm 4速リターン(停車時ロータリー) 燃料タンク容量3.7L ■タイヤサイズF=70/90-17 R=80/90-17 ●価格:40万7000円
私にはない落ち着きとオシャレさを持つC125
今回の「スーパーカブC125」試乗インプレッションに入る前に、私のレースの話を少々……。’20年は自分のチーム「RT YOLO! SARD&ぱわあくらふと」として、全日本ロード・J-GP3クラスに参戦します。
ライダーは私、そしてメカニックは弟の慎。姉弟で全日本優勝とチャンピオン獲得を狙います。マシンセッティングがうまく進められなかったり、「1位じゃないと意味がない」と思い込んでしまうという私の弱点を、弟の慎にフォローしてもらう作戦です。正直不安もありますが、言い訳のできない体制になるので、今まで以上に気合い入れてレースに臨みたいと思っています。
そして! 個人的な今年の目標としては、「バイクやレース以外にも興味を持てるようにならなくちゃな〜」と、このスーパーカブC125を走らせながらしみじみと考えてしまいました……。
ハンドルのデザインモチーフは、羽ばたく鳥の翼。実用車の代名詞・カブのイメージを払拭する優雅なデザインは、ディテールにもこだわり抜き、レトロモダンと呼ぶにふさわしい高品位な仕上がりだ。
カラーバリエーションは、パールカデットグレー(左)とパールニルタバブルー(右)の2色。
とにかく、このカブは本当にオシャレ! このセンス、このオシャレ感こそ、私に足りないものなんですよね…。幼い頃からレース漬けだからか、ハッキリクッキリした色ばかりに囲まれていたので。これはマズイなと(笑) だから、このバイクみたいなオトナの落ち着きを感じさせるオシャレ感には、特に憧れがあります。
私の中のスーパーカブC125のイメージは「代官山を散策する美大生」という感じ。きゃ〜、こうして書いてみるとよく分かりますが、レースしかない私の生活からは、ちょっとかけ離れた夢の世界です。
それにしても、カブがこれだけのオシャレ感を持てるって本当にすごい! 映画「三丁目の夕日」みたいなレトロ感と、代官山みたいなモダンな街並みにも似合う新しさをうまくミックスしたデザインは、ずっと見続けても飽きませんね。
個人的にはちょっとレーシングマシンっぽいイメージのあるシャープなデザインの専用アルミキャストホイールがカッコいいな、と。あ、またコッチ方面に意識が(笑)。
でも、走りも想像以上に本格的で、ついついレーシングライダーの血が騒いじゃいました。あーあ、やっぱり今年もオシャレは難しいのかなあ……。
スーパーカブC125のディテールをチェック
【ミリ単位の調整を重ねて完成した気品あふれるシルエット】乗降性のよさに配慮したステップスルー空間から、リヤタイヤのストローク軌跡に沿ったサイクルフェンダーで構成されたS字基調のシルエット。エレガントさと気品を追求した上質なスタイリングだ。
「コンパクトなように見えて、実際に座ってみると結構広々と余裕があります。大人の男性でもゆったり乗れるはず。シートはそこそこの高さがありますが、両足が着くので安心感があります」(岡崎さん)
「何しろ車重が110kgと超軽量で、取り回しに苦労することはありません。ハンドル位置が高く、タンクに邪魔されることもないので、押し引きしやすいバイクです。タイヤ径が大きく、段差も乗り越えやすいですね」(岡崎さん)
【ノイズ低減&シフトフィール向上。走りが楽しめる低燃費エンジン】エンジンは細部にわたる煮詰めにより、パワーアップを果たしている。125ccクラスの枠組みを越えた余裕のある走りだ。もちろんカブらしく燃費も良好で、カタログ値は69km/Lを誇る。また、プライマリーギアのヘリカルギア化、シフトドラムベアリング採用などにより、エンジンノイズを低減し、シフトフィールを向上。質感の高いエンジンに仕上がっている。
【専用チューニングのフレーム採用】スーパーカブ110用フレームをベースに、ヘッドパイプまわりやエンジンハンガーなどを専用チューニング。適正な剛性値を実現し、軽快かつ安定感のあるハンドリングを実現した。
ハンドルからフロントフォークまでの可動部が一体に見える「ユニットステア」構成。「前後サスともストロークが十分あって、乗り心地も快適です」(岡崎さん)。フロントディスクブレーキはしっかり効いてコントローラブルだ。
シーソーペダルがカブらしいポイント。
次ページでは、岡崎静夏さんがスーパーカブC125に試乗。そのインプレッションをお届けする。
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