’19年11月のV-ストロームミーティングにて国内初お披露目となったスズキの新型アドベンチャーツアラー「V-ストローム1050/XT」。会場でのアンベールにあたり、スズキの鈴木俊宏社長が「2020年の”季節のいいころ”には」との発売意向&時期を電撃発表したこともあり、国内リリースへの期待は高まるばかりだ。本稿では新型の開発陣4名へのインタビューから、V-ストローム1050/XT開発裏話を披露する。
●インタビュー/文:谷田貝洋暁 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
“フラットダートを走れる”オフロード性能とは?
DRビッグ風のオフロードテイストの強いデザインが与えられた、新型V-ストローム1050/XT。EICMAで配布されたプレス向け資料を読んで驚いた。なんと新型は”フラットダートを走れる”という記述があったのだ。スズキ初のトラクションコントロール採用を引っさげてモデルチェンジした時もなかったオフロード性能について、今回初めて明記されたのだ。果たしてどれほどのダート性能なのか。
YM:新型はかなりDRビッグイメージ、つまりオフロード色が強いようですが、これはいったいどういうことなのでしょう?
安井さん(以下:安):もともとV-ストロームというマシンのキャラクターは、ロングツーリング、つまり旅の道具。決してオフロードバイクではありません。我々としてもそこはデザインで明確に分けていたのですが、お客様はいろいろな使い方をされる。旅の中には道なき道を行くこともありますし、アドベンチャースタイルへの要望がものすごく強い。今回は、一度明確なデザインの線引きを取り払ってみることにしました。そこでDRビッグのデザインを作り上げた宮田さんにデザインしてもらうことになったんです。
宮田さん(以下:宮):僕はオフロードバイクしかやらないよ? というスタンスでこの仕事を引き受けました(笑)
YM:僕らからするとこれだけオフロードテイストが強いと、日本の林道、フラットダートぐらいなら走れるのかな? と思ってしまうんですけど?
安:そもそもスズキとしては、砂利道程度のフラットダートはオフロードとは呼んでおりません(笑) 駐車場レベルのダートは鼻歌まじりで走れますよ。
YM:え? つまりスズキとしてのオフロードは、飛んだり跳ねたりのモトクロス的なことであって、フラットダートはあくまで”道”であって”オフロード”ではないと?
安:はい。そのとおりです。
宮:砂利道でスタンディングしてアクセルをパカパカ開けるなんてことは十分想定してます。僕もオフ好きですし、モトクロッサーのデザインもするんですが、V-ストローム1050のデザインにあたっては、スタンディングしても違和感のないような面構成にしています。タンク形状もスタンディング時にちょっと前に動きやすくスリムにしています。
YM:ステップもいかにもやる気を感じるギザギザなものが付いていますね。
安:この鉄製のステップもこだわりのポイントです。鉄なら転んでも曲がるだけで戻せますからね。
YM:実際、幅広でダートでのステップコントロールがしやすそうですが?
小島さん(以下:小):ステップ上面の面が広くなったことで、スタンディング時の安定性もよくなっていますね。実際ダートでの安心感もあります。
YM:スタンディングしやすいポジション、安定性のいいギザギザステップ、もうフラットダートでのコントロール性は上がったと考えていいでしょうか?
安:本当に(この人)行くからなぁ(笑)。…自己責任の範疇ですが、大概のところは行けますね(笑)
YM:よしっ、行ってみよう(笑)! 一方のエンジンは、排気量を上げずに7psアップ。しかも、かなり緻密な制御が可能になったそうですが?
寺田さん:スロットルバイワイヤの採用が大きいですね。最大の功績はスロットルボアを大きくできたことによるパワーアップですが、さらに前後のシリンダーのバタフライバルブを別々に動かせることができるようになったことで制御の緻密さが増してます。
YM:よりアクセルが開けやすくなっているわけですね。資料にはタイヤも専用設計とありましたが?
小:先ほどからダート性能への質問が多いですが、実際はさらにロード性能も上げたんです。タイヤもグリップが向上しましたし、サスペンションの吸収性も柔らかくコンフォートに振っているのですが、同時に安定性も増しています。
YM:V-ストローム1000のアルミツインスパーフレームはかなり硬質な乗り味の印象があります。ですが、タイヤでグリップ確保、安定性もアップしたことで、より車体に応力をかけて、しならせて気持ちよく走れるようになったということですか?
小:フレームの硬さを活かしてより、ロード性能をアップさせています。
安:フレームには手を入れてないのですが、乗ってみると、かなり車体がしなやかになった印象を受けるはずです。
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