ユーロ5に対応しつつ出力をアップ

’20スズキV-ストローム1050/XTのスペック&装備解説【最高出力が大幅アップ】

’20スズキV-STROM1050/XT

2002年にまで遡るV-ストローム1000の系譜。現行モデルは2013年に新設計された1037㏄のエンジンにスズキ初のトラクションコントロールを積んで話題となった。そのVストローム1000が、名前も新たに「V-ストローム1050」となって’20年に新登場! 前稿のスタイリング解説に続き、本稿では主要なスペックおよび装備について紹介する。

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電子制御スロットル採用でよりエンジン制御が緻密に

排気量は変わらないものの、最高出力が100psから107psへとパワーアップしたことにより、”1050″の名前が与えられることになった新型V-ストローム。開発陣いわく、このパワーアップにおける最大の功労者は電子制御スロットルだとか。パワーアップには、スロットルボディ径の拡大による混合気の流量増が必須になるが、どうしても既存のシステムではアイドリング付近の流量が不安定になり難しかったという。つまり、この電子制御スロットルを採用したことで、より緻密な制御が行えるようになり、スロットルボアをφ45mmからφ49mmへと拡大。

加えてカムプロフィールも変更。バルブのオーバーラップを減らすことで燃費を向上させ、リフト量を増やすことでパワーアップを図った。増えた熱量を処理するために冷却能力を22.7kWから26.1kWに増やされ、水冷式オイルクーラーも追加された。

’20スズキV-STROM1050/XT
スロットルバイワイヤを採用したことで、制御の緻密化がはかれ、結果的にスロットルボアを45mmから48mmへと拡大したことで約7psパワーアップ。
’20スズキV-STROM1050/XT
触媒を大型化するなどしてユーロ5に対応しながら7㎰アップはあっぱれ! 圧縮比も11.3から11.5と若干だが高まっている。

また電子制御スロットルの採用で、アクセルワークに対するバタフライバルブの開度を変えるSDMS(スズキ・ドライブ・モード・セレクター)も新採用。A/B/Cの3種類の出力特性モードが選べ、それぞれのモードはトラクションコントロールシステムとも連動。より緻密な制御プログラムが施されたことで、より上質な走りを手に入れることができた。

サスはKYBを継続採用。タイヤは専用設計

’20スズキV-STROM1050/XT
(左)Φ43㎜のインナーチューブ径、160㎜のストロークにも変更なし。ただしセッティングは柔らかめに変更。プリロード&伸/ 圧減衰のフルアジャスタブル機構も継続採用。(右)リヤショックも当然フルアジャスタブルでアクスルトラベルは160㎜。
V-STROM1050/XT
タイヤは、専用セッティングのBSのアドベンチャーA41を採用。総じてよりグリップ性能を高めたという。
V-STROM1050/XT
多機能化したフルLCDメーターも新採用のCANバス採用の恩恵。一般的な機能、各種モード選択状況に加え、瞬間/平均燃費、燃料消費量、航続距離、冷却水/周辺温度、電圧計などを装備している。
V-STROM1050/XT
メーターパネル左側には、従来のアクセサリーソケットに変わり、USBポートが装備された。またXTはシート下に従来どおりの12Vのアクセサリーソケットを装備している。

上級モデル・XTには充実の機能装備が標準化

上級モデルのXTには、STDにはないボッシュ製6軸IMUが搭載されている。この慣性計測装置が、コーナリング中のバンク角、登坂などといった、様々な走行状況を判断。またCANバスによる大容量データの相互管理が可能になったことで、ABSやトラクションコントロールといった電子制御がより緻密に行えるようになった。その制御の具合は、既存のVストローム1000とは比べものにならないほど進化している。

V-STROM1050/XT
’20 SUZUKI V-STROME1050/XT ボッシュ製6軸IMU

(A)ヒルホールドコントロール
登り坂を感知し、停止してブレーキをかけると約30秒間リヤブレーキを作動させ、坂道発進をアシスト。システムオフも可能だ(XTのみ)。

(B)スロープディペンデントコントロール
下り坂でハードブレーキングしたときに、ジャックナイフ現象が起きないようにフロントブレーキ圧をコントロールする機構(XTのみ)。

(C)ロードディペンデントコントロール
ブレーキ減速度を変化を学習することで、ソロ/タンデム、積載の有無と、負荷条件が変わっても最適なブレーキングをアシスト(XTのみ)。

ドライブモードセレクター、トラクションコントロール、クルーズコントロールはSTDも同様に装備されている。

V-STROM1050/XT
風洞実験よってその効果を検証したうえで決定されたスクリーン形状。STDは工具による3段階の調整が可能で、XTはさらに50㎜範囲を11段階で調整できるクイックリリース機能が付加されている。
V-STROM1050/XT
ポジショントライアングルは従来どおりとのことだが(XT)、ハンドルクランプがライズし、一文字に近いアルミテーパーハンドルを採用したことで、STDで368g の軽量化を実現。XTはさらにハンドガードを装備し、ミラーも無印とは差別化されている。
V-STROM1050/XT
STDが855mmと従来から5mmアップのシート高になったのに対し、XTは従来どおりの850mmをスタンダードのシート高に設定。しかもシート下にあるスペーサーをかませることでさらに20mmシート高がアップする。このXTシートは無印への換装も可能だ。
V-STROM1050/XT
ナックルカバー、エンジンガード風のアクセサリーバー、アンダーカバー(銀色のパーツ)、センタースタンドなどもXT専用のパーツとして追加されている。
V-STROM1050/XT
灯火類も無印が電球ウインカー採用なのに対し、XTはナンバー灯を含めフルLED化などの差別化が図られる。おそらく価格的にも、XTと無印には大きな違いが出そうな予感。

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