旧車も新車もローライダー人気は不変

’20ハーレーFXLRS ローライダーS 試乗インプレ【不良ムード漂う高速クルーザー】

Harley-Davidson FXLRS

’20年モデルで登場したハーレーの最新パフォーマンスクルーザー「FXLRS ローライダーS」は、全身をブラックアウトした車体に1868ccの強力エンジン搭載!! 100km/h巡航などたやすく、トップ6速ではわずか2200rpm。そこから右手の操作だけで自在にスピードを上げていく余力タップリの心臓部はじつに頼もしくオーセンティックな仕上がりだ。


●まとめ:青木タカオ ●写真:鶴見健 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

[◯]ノンビリ走るだけじゃない。コーナーが待ち遠しい!

股ぐらの間にVツイン特有の鼓動を感じながら、タタタタっとピックアップ鋭く加速する。瞬く間に高い速度域に到達し、高速道路のランプを駆け上がったときも、もたつくことなく一気に追い越し車線へ出て行けるダッシュ力を持ち合わせている。100km/h巡航などたやすく、トップ6速ではわずか2200rpm。そこから右手の操作だけで自在にスピードを上げていく余力タップリの心臓部はじつに頼もしい。

Harley-Davidson FXLRS

【HARLEY DAVIDSON FXLRS LOWRIDER S】主要諸元 ■全長2355 全幅850 全高1160 軸距1615 シート高690(各mm) 車重308kg ■空冷4ストV型2気筒OHV4バルブ 1868cc 15.8kg-m/3000rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量18.9L ■ブレーキF=Wディスク R=ディスク ■タイヤF=110/90B19 R=180/70B16 ●価格244万900円/248万3800円 ●色:ビビッドブラック、バラクーダシルバー

Harley-Davidson FXLRS

シート高690mmと低く、カカトまでベッタリ届き、足着き性に不安なし。真っ直ぐに腕を伸ばしたところにグリップがあり、リラックスできる(身長175cm 体重62kg)。

1868ccもの排気量を持つ空冷OHVユニットは、オールドハーレーのような味わい深さを求め、腰下にあるツインカムを1本に戻し、フライホイールの重量も最適化した。低回転域のふくよかなトルクを重要視しつつ、ロングストローク設計はもちろん4バルブとツインスパークで俊敏な加速性能も両立している。

現在のハーレーに求められるのは、ハイスピードクルーザーとしての巡航力であったり快適性だったり、コーナーもエキサイティングに駆け抜けられる旋回性能だったりと多くなった。これに対するアンサーとして、オールドハーレーのスタイルを再現するだけで良かったソフテイルフレームを全面改良し、運動性能を向上するモノショックを装備。ツインショックのダイナファミリーも廃止し、統合するに至っている。

その新型ソフテイルフレームで、ローライダーSは蘇った。全身をブラックアウトするダークカスタムをそのままに、ラバーマウントだったエンジンをリジッドマウントにし、雑味のないパルス感を乗り手に伝達。

トラクション性が向上しているのはモノショック化の恩恵がもちろん大きいが、F19/R17インチだった足まわりをリヤ16インチ化し、路面追従性を向上しているのも見逃せない。スタンダードのローライダーと同じサイズだが、Sは初期旋回でスッと寝ていきハンドリングがより軽快で、応答性もダイレクトに。これはキャスターアングルを30→28度に立てた影響で、前輪の接地感も増してコーナーを待ち遠しくさせている。

Harley-Davidson FXLRS

【伝統の空冷Vツインは1カム4バルブ】ハーレー乗りがこだわるアイドリング回転数は、850rpmという極低回転を実現。4バルブ化によって高出力も達成し、味わい深さとハイパフォーマンスを両立している。フレームへの搭載はリジッド式で、ダイレクトに鼓動を乗り手に伝える。

Harley-Davidson FXLRS

並行に真っ直ぐに伸びる右2本出しのマフラーも、ブラックのヒートガードを装着。タイヤはミシュラン製スコーチャー31を履く。

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【足まわりを強力武装】ショーワ製カートリッジ式43mm倒立フォークに、ダークブロンズ仕上げのアルミキャストホイールをセット。前輪ブレーキは対向4ポットキャリパーとフローティングディスクをデュアル装備。シート下にモノショックを隠す。

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縦列配置のタンクオンデュアルメーターは初代ローライダーから続くアイコン。液晶画面にバーグラフ式燃料計も表示され、機能に不足なし。

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強烈な加速にも耐えられるように、尾てい骨を支えるバックレスト部も設けたシングルシートを採用。フューエルタンクは18.9Lを確保。H-Dのロゴグラフィックも初代ローライダーをイメージさせる。

Harley-Davidson FXLRS

LED式テール/ブレーキ灯はレンズカバーもスモーク化し、ブラックアウトした車体とコーディネイト。ヘッドライトには高速巡航を考慮しにビキニカウルをセット。クラブスタイルと呼ばれるカスタムだ。

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【初代ローライダーを彷彿するシルバー外装も】ローライダーといえば、ハーレーに興味のない人でもその名を耳にしたことがあるだろう。初代FXSは’77年に登場し、グランドツアラーのイメージを覆し、都会の不良たちにハーレーを浸透させた立役者となった。ビキニカウル付きのSは、カスタムトレンドであるクラブスタイルを踏襲しているが、シルバー外装では初代の面影を色濃く残している。

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【今やプレミア付き!? 超人気の’17 FXDLSローライダーS】1584ccユニットを積んでいた先代ローライダーにCVO用1801ccエンジンを搭載、豪快極まりない走りで多くのライダーを魅了した。販売は’16~17年の2年だけという超レア車で、中古車市場のタマ数も少なく、今も高値安定だ。

[△]攻めたくなるからこそサス調整をもっとしやすく

設定体重に20kgほど満たないためだろう。リヤショックのプリロードを抜いて初期荷重からの入りを良くしたい。そこであればいいなと思うのが、ファットボブなどが備えるハンドノブ式のアジャスター。運動性能に優れるローライダーSは攻めのドS体質だからこそ、サス調整もしたくなってしまう。少し残念。

[こんな人におすすめ]味わいも走りも兼ね備えた走りのハーレー

45度Vツインの不等間隔爆発による味わい深い鼓動を楽しみたい一方で、ハーレーでもスポーティに走りたいという欲張りな人にうってつけ。全身ブラックアウトの車体は不良ムードたっぷりで、都会の夜を駆け抜けるのがよく似合うぞ!!

Harley-Davidson FXLRS

【テスター:青木タカオ】二輪誌から一般娯楽誌まで幅広く寄稿するフリージャーナリスト。バイクの嗜好もワイドで、新創刊のハーレー専門誌「ウィズハーレー」の編集長も務める。

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