かつてCRM250Rを愛車としていた私オガP(オフロードマシンGoRIDE編集長)。しかし、乗りやすい2ストと言われたCRMも手に余り、以来、4ストしか乗ってこなかった。そこで、最新2ストエンデューロマシンであるKTM 150EXC TPIとハスクバーナTE150iの2車に試乗し、2スト嫌い克服を試みたのだが……。
2ストらしいシャープさ&リンクサスのしなやかさ! 最新の2スト エンデューロマシンとは!?
ハスラー50(スズキ)からスタートした私のオフロードバイク人生。一瞬セロー225に乗ったものの、やはりオフロードマシンは2ストだ! と思い、ホンダCRM250Rに乗り換え。次はRMX250オートリメッサ仕様だな。なんて具合に、愛車選びには2ストしかなかったのは今から20年以上前のことです……。
しかし、どうにも乗せられている感しかなく、折しも排ガス規制により2ストマシンはほぼ全滅。そして4ストオフの性能が著しく向上したこともあって、私の愛車選びも4スト一辺倒になっていたのです。というよりも、安定感のある車体、リヤタイヤをグリップさせやすいトラクション特性などが自分にぴったり合っているようで、すっかり4スト好きになっていたのです。となると、可愛さ余って憎さ100倍。4ストが好きなだけではなく、2スト嫌いになってしまったのです。
2スト嫌いのまま、世は平成から令和に。そこに令和のニューモデルがKTMとハスクバーナから登場。2スト150ccエンジンとフューエルインジェクションを組み合わせたKTM150EXC TPIとハスクバーナTE150iの2台がそれです。250クラスと同一のフレームと足まわりに、ひとまわり小さな排気量のエンジンを搭載することで、扱いやすさと高いオフロード走破性を兼ね備えているのが特徴。私のような2スト嫌いにも「乗れるのでは?」と思わせてくれるオーラが漂っています。
というわけで、長野県のワイルドクロスパークGAIAで開催されたKTM&ハスクバーナ2020オフロードモデル試乗会にて、その2台に試乗してきたのです。TPIと呼ばれるフューエルインジェクションシステムは、すでに250や300に搭載されていますが、新たに外気圧センサーが追加され、急激な高度や気圧の変化にも対応できるようになり、つねに安定した混合気を供給できるようになっているのです。これはKTMとハスクバーナで共通ですが、外装などはそれぞれオリジナルです。そして大きく異なるのがリヤサスです。KTMはリンクレス、ハスクバーナはリンク式です。
2ストらしいシャープさ! KTM 150EXC TPI
まずはKTM EXC150TPIから乗ってみました。150という排気量から、少し小ぶりなボディサイズと思い込んでいたのですが、実際はフルサイズで足着き性も片足が着く程度。しかし、またがっただけで車重の軽さを体感できるほどで、それが車体サイズをコンパクトに感じさせてくれました。その軽さはハンドリングの軽快さとしても感じられて、ワダチが深くなったウッズ路面でもヒラヒラとしたマシン挙動になっていて、私にはマシンの振られやすさとしても感じられる半面、バランス修正のしやすさとしても感じら れました。
エンジンは極低速でもエンストしにくく、アイドリングから少しアクセルを開けるだけでトコトコと走っていけます。さらにアクセルを開けていけば2ストらしいパワーを発揮してくれますが、かつての2ストのようなピーキーさはなく、とても扱いやすかったです。歩くようなスピードからモトクロスのようなアクセル全開まで、さまざまなシチュエーションで扱いやすさが感じられるエンジン特性は、まさにエンデューロマシンといった感じでした。
2020KTM エンデューロシリーズ注目モデル
リンクサスのしなやかさ! HUSQVARNA TE150i
次にハスクバーナTE150iですが、こちらのほうがKTMよりも若干パワフルに感じました。しかし、リンク式のリヤサスはストロークするまでに一瞬のタイムラグがあり、それがKTMよりもマシン挙動をマイルドに感じさせてくれました。それはハンドリングのマイルドさとしても感じられました。
2ストらしいシャープさはKTMだと思いましたが、ハスクバーナのマイルドさは私のような万年初心者には乗りやすさとして感じられました。2台ともにセル一発で始動でき、エンスト後の再始動性も問題ありませんでした。難所でスタックしても、リカバリーしやすいでしょう。
125ほどアクセルを開けなくても走ることができ、250よりも軽い乗り味になっているので、エンデューロやアタックツーリングで2ストに乗ってみたいと思っている2ストビギナーにもおすすめしたいです。分離給油で混合する手間も省け、ナンバー登録もできますからね。リンク式サスに慣れていることもあり、個人的にはハスクバーナの乗り味が好みで、2ストもいいなと思えたのが収穫でした。
この他にKTM250EXC SIXDAYS TPIとハスクバーナFE250にも乗りました。KTM250TPIはトルクフル&パワフルで、さらにアクセルを開けなくても走ることができました。少し重さは感じましたが、メリハリのある乗り味はマディ路面でもマシンコントロールしやすく、レースで高い戦闘力になるはずです。
そしてハスクバーナFE250。車体の重さがありますが、マシン挙動もマッタリしていて安定性は抜群。 トラクション性もよく、荒れた路面でもズンズン走破していけました。4ストに慣れた私には圧倒的に乗りやすかった、というオチでした……。
KTM 150EXC TPI &HUSQVARNA TE150i DATAIL比較
インジェクション装備のニューエンジン
サブフレーム
シート&外装
リヤサスペンション
スイッチボックス
デジタルメーター
スペック比較
写真をまとめて見る
あなたにおすすめの関連記事
ホンダの'20新型アフリカツイン、燃料タンク容量をノーマル(18L)から6L増量し24Lにしたツーリング仕様「アドベンチャースポーツ」もフルモデルチェンジ。通常モデルのほか、電子制御サスペンション搭載[…]
『オフロードマシン ゴー・ライド』誌のテストライダー・小林直樹さん。ゴー・ライドでは「直樹師範」としてもおなじみのトライアルデモンストレーターだ。ここ最近は雄大なモンゴルのダートを走り、そこでレッスン[…]
年に1度開催されるトライアルのワールドカップ「トライアル・デ・ナシオン」。スペインで開催されたこの大会に、2019年も男子日本代表チームが出場。世界2位という素晴らしい結果を残し、日本から応援に来てい[…]
オフロード総合誌『オフロードマシン ゴー・ライド』から、世界的ライダー・渡辺学選手がオフロードライディングのコーナーリングテクニック指南する。モトクロス、エンデューロ、ツーリングでも、さらにビギナーで[…]
オフロード専門誌『ゴー・ライド』連載中の「令和の世に放つ 愛と青春のオフロードマシン」より、バイクが熱かった時代にラインナップされた懐かしのオフロードバイクを振り返る。"迷車ソムリエ"ことムッシュ濱矢[…]