世界で活躍するライダー・渡辺学選手がアドバイス

ブレーキターン+アクセルターン=コンパクトターン【どんどん上手くなる渡辺学のスキルアップ・ラボ】

ワタナベマナブメイン

オフロード総合誌『オフロードマシン ゴー・ライド』から、世界的ライダー・渡辺学選手がオフロードライディングのコーナーリングテクニック指南する。モトクロス、エンデューロ、ツーリングでも、さらにビギナーでもベテランでもカテゴリーやスキルレベルに関係なく「重要度がきわめて高い」テク。派手なジャンプや難セクション攻略ももちろん大事だが、練習するほどスキルアップを実感できるし、レースで成績を残すにも速効性が高いのがコーナリング練習だ。

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渡辺学ツイスターレーシングを主宰する当ラボの院長。自身はJNCCで2年連続チャンピオン獲得! 同時にチーム員が参戦する全本モトクロスや地方選手権には監督として参加。普段は若手ライダーと一緒にトレーニング&ライディング指導にもあたる。11月にはポルトガルで開催のISDEに参戦。本業の餃子も随時ご注文承り中!! blog.livedoor.jp/manabuda_4

コーナリングのスキルアップ練習法

オフロードライディングと言えば、モトクロスの華麗なジャンプテクニックや、ハードエンデューロ系の丸太越え、急斜面のヒルクライムといった派手なセクションに目が行きがちだが、成績を上げたい! ラップタイムを縮めたい!! 上手く走らせたい!! というなら、コーナリングの練習は近道のひとつだろう。

「コースレイアウトにもよりますけれど、モトクロスコースで歴然と差がつくセクションはコーナーなんです。ジャンプでいくら頑張ったところでコンマ何秒か。突きつめていくほどその数秒が勝敗を左右するので重要なのですが、IBレベルまでなら全部のコーナーをミスなくコンパクトに走らせたほうがタイムを縮めやすいと思います。

仮りにひとつのコーナーでコンマ5秒縮められたら、10個のコーナーがあるコースでは5秒にもなります。周回数10周であれば50秒もの差。あくまで単純計算なのでざっくりとした目安ですが、コーナリングのスキルアップはとても重要だと思います」

その効果的なスキルアップ法がブレーキターンとアクセルターンを組み合わせたコンパクトターンの練習。マナブ先生もモトクロス現役時代から現在まで、ずっと続けているメニューだ。

「大事なのはバイクを曲がりたい方向にしっかり傾けること。ブレーキターンとアクセルターンのつなぎをスムーズに行なうこと。足を着くのは1回など。ほかにもポイントはいくつもありますが、シンプルなのに突きつめるほど奥が深いのがコンパクトターンの練習です。何度でも同じようにできるのが理想ですよ」

モトクロスコースの横にあるような空き地など、周囲の迷惑にならないフラットな場所でチャレンジしてみよう。友だちと画像や動画を撮りあい、ライディングをチェックしながら練習すると、効率よくマスターできるはずだ。

ターン図解
傾けが足りないとパワーに頼ったアクセルターンになってしまう。これだとミスが多くなりがち。不要な疲労まで生みだしてしまう。
ターンお手本1
しっかり加速して進入。シッティングのままで、座る位置はシートの中央付近。横から見ていちばんくぼんでいるあたりに。
ターンお手本2
リヤブレーキを踏んで後輪ロック。クリッピングまで踏み続ける。ロックしている間クラッチは切る。この練習ではフロントブレーキは使わない。
ターンお手本3
後輪をロックさせたままバイクを曲がる方向に傾けていく。
イン側の足を出し、クリッピング(切り替えポイント)に着く直前の状態。
ターンお手本5
クリッピングで足を着き、バイクをより深く傾ける。
ターンお手本6
イン側の足を着き、ここでブレーキターンのパートは終了。フォームはリーンアウト。
ターンお手本7
ハンドルはフルロック状態。足を地面にしっかり着けて向き換えの軸にする。この時、シートは無負荷状態。お尻がシートから多少浮いてもよい。またイン側の腕でハンドルが動かないよう固定している。クラッチはやさしくミートさせアクセルも丁寧に開けはじめる。
ターンお手本8
アクセルで後輪をスライドさせ、向きが変わるまで待つ。
ターンお手本9
ここも差が付きやすいポイント。トラクションのかけかたが雑だと、後輪がさらにアウトに膨らみやすく、ロスになる。
ターンお手本10
車体が完全に出口を向いたら次のパイロンに向かって加速していく。
ターンお手本11
立ち上がりではなるべく早い段階でステップに足を戻す。ずっと出しっ放しだとトラクションが弱まってしまい、加速力を鈍らせてしまうのだ。そこまで感じ取れたらかなり上級者。

ブレーキターンだけを練習してみよう

コンパクトターンでは、前半部分のブレーキターン区間がしっかりできることが大前提。どのくらいのスピードで、どのくらいロックさせればよいか? 条件を変えてさまざまなパターンを練習してみよう。最初のうちは60度くらいからはじめて、目標は何度トライしても90度になること。さらに角度を増やしてブレーキターンする練習もよい。大事なのは自分が狙った角度に正確にブレーキターンできることだ。

ブレーキターン
止まってしまってもよいので、ブレーキターンでどのくらい向きを変えられるかを練習してみよう。速度、ブレーキのかけはじめ、強さ、角度など、何度やっても同じになれたらアクセルターンを追加した練習に切り替える。

ブレーキペダルの外しかたはつま先を横に動かす

シッティングのままリヤブレーキを踏む時は、かかとをステップから浮かし、つま先だけでコントロールする。これが基本だ。好みの問題もあるが、マナブ先生のブレーキペダルから足を放すアクションは、踏んでいたつま先を外側に向けるだけ。真上に向かって抜くような操作法は、重いブーツを上下させるようなもの。疲労もたまりやすいので、レース後半になるほど体へのダメージも大きくなりやすい。

ブレーキペダルの外し方
ブレーキペダルはかかとを浮かせてつま先だけでコントロールしよう。左ターンでは、つま先を外側に向けてブレーキペダルをリリースする方法がオススメ。体格や筋力なども影響するが、疲労を最小限に抑えられる方法だろう。

右コーナーでも同じように走れるようにする

左コーナーに慣れてきたら、または飽きてきたら、右コーナーも練習。リヤブレーキを操作する右足がイン側になるが、操作方法は同じくかかとを浮かせたまま。リヤブレーキを放すタイミングと同時に足を着くアクションに移行させる。一連の流れも基本的には変わらないのだ。左右どちらのコンパクトターンも同じように曲がれるよう練習してみよう。

左コーナー1
進入ではブレーキターンに充分なスピードをつけて。
左コーナー2
リヤブレーキをロックさせたままバイクを傾ける。ここまではまったく同じ。
左コーナー3
ちょっと変わるのが、リヤブレーキを放した足が軸足になるため、リリースと同時にステップから離し、クリッピングに着くようにする。
左コーナー4
右腕もハンドルをロックさせたままアクセルを開ける、ふたつの仕事をすることになる。

ツイスターレーシング所属のIBライダー藤川昴選手のクイックターン

ここまでの内容を踏まえた上で、ツイスターレーシング所属の藤川選手のコンパクトターンを見てみよう。あらためて見直すことで、自分でも気づかなかった問題点が分かり、さらに安定したターンが行えるようになる。

藤川選手1
ここでは前に座り過ぎているように見える。しかもフロントブレーキも併用。本人いわく「前に座ってフォークを縮めたほうが曲がりやすい、て教えてもらったんです」とのことだが、曲がりながらのフロントブレーキの使用は転倒やバランスを崩す原因になりがち。ちなみにマナブ先生はMXコースでもほぼフロントブレーキは使わない。使う時はバイクが直立している場合に限られる。
藤川選手2&3
バイクがあまり傾いていないまま足を着く。傾きが深いほどブレーキターンでのスライド量も多くなるのだが、浅いために向きもあまり変わっていない。
藤川選手4
ブレーキターンが不充分だがアクセルターンに移行。足が一瞬地面から離れる。
藤川選手5
ブレーキターンでの向き換えが90度に達していないと、アクセルターンの仕事量を増やすしかない。このほうが難易度は高い。
藤川選手6
クラッチを一気につなぎアクセルもワイドオープン。2度目の足着きもしてしまう。
藤川選手7&8
結果、後輪のスライド量が多めに。座る位置が前になるほど滑った時のコントロール性はよくなるように感じるが、後輪の動きは速くなりがち。逆に後になるほどスライドしにくくなり、またスライドした時に体も一緒に動くため体もバイクもブレやすくなる。

藤川選手の場合、前に座りすぎ+アクセルワイドオープンが原因で、立ち上がりで挙動が不安定になってしまった。俗にいうオツリをもらった状態。修正のためにアクセルを戻すしかなく、一瞬だがロス。瞬きするほどの時間でも、加速が遅れると後続に抜かれる要因になる。ちなみにこの後、藤川選手は練習を重ね、ターンがスムーズに変化していった。次戦での走りに期待したい!

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