2019年1月23日、タイ第3位のバイクメーカー、GPXのメディア向け発表会が東京・秋葉原のUDXにて実施。デーモン150GR、レジェンド150S、ジェントルマン200の3台が披露されるとともに、日本上陸に向けた思いや販売戦略などが紹介された。
ネオクラやスーパースポーツなど3車が国内発売
当WEBや最新のヤングマシン3月号でも紹介して話題となっているGPX製のオートバイ。すでにこの1月より第1便の発売も開始されているが、メディア関係者と全国各地の契約販売店代表を一堂に集めた今回の発表会が実質的な国内上陸キックオフとなった。当日はGPX本社ジェネラルマネージャーのアピチャート・ナックノウヴァティム氏やタイ国大使館のナッティーヤ・ステンダー商務公司もゲストして来場し、並々ならぬ意欲を見せた。
今回発表された3台のマシンは、14インチフルカウルのデーモン150GR、トラッカースタイルでレジェンド150S、カフェレーサースタイルのジェントルマン200。いずれもリーズナブルな価格と初心者でも乗りやすいフレンドリーさ、それに今や国内大手メーカーで販売しているタイ生産の高いクオリティが印象的なモデルだ。GPX JAPANはバイク乗りには有名なマフラーメーカーである月木レーシングが母体となり、代表取締役を月木博康社長とその長男となる月木康人氏が務めることとなる。今回の輸入販売に際しGPX JAPANが掲げた想いは3つ。
・新たなバイクユーザーへ向けて気軽に誰もが乗って楽しめるバイクの提供。高級な乗り物ではなくカジュアルな相棒として日常の足やファッションとして楽しんでもらいたい。バイクの世界への入り口として。
・バイクを愛して止まないコアユーザーの新しい友として。カスタム素材やセカンドバイク、お子さんへ贈る最初の1台として。
・シニアライダーが長く乗り続けられる1台として。重い大型バイクからダウンサイジングで趣味継続してもらいたい。
といったものだ。その中でも特にリーズナブルな価格を武器に最初に挙げた新規ライダー層の開拓に力を入れている。このため販売網構築もユニークだ。各都道府県約1店舗の割合で契約販売店を設置。しかし、契約販売店は域内の別ショップに車両を卸すことも可能。いわゆる業者間取引をOKとしているのだ。これは国内大手メーカーが現在進めている1メーカー専売店化とは逆の流れで、国内約7000店舗あるバイクショップにはこうした流れに対応できないところも少なくなくショップ減少の一因となっている。「もっと気軽にバイクを」という理念を掲げるGPXがそのデメリットを埋めるかたちだ。
GPX JAPANでは、3機種合計で年間1000台を販売目標に掲げ、今後機会があれば様々なイベントに出展してGPX製バイクを人々の目に触れてもらいたい考えだ。現在、春の東京モーターサイクルショーへの参加が決定しており、そこでは今回の3台に加えてロケットカウルを備えた本格カフェレーサースタイルのジェントルマン200レーサーも初披露する構え。まずは、GPX製バイクの内容を簡単に紹介しよう。
新興メーカーにもかかわらず、タイで第3位に躍進するGPX
GPXは2007年に誕生したタイの新興メーカー。最初はATVを製造していたが、’09年からオートバイ製造に参入。そこから日本メーカーOBの技術指導も受けるとクオリティや生産技術が、あれよあれよという間に向上。’13年には491台だったタイ国内での販売台数は’17年には3万台を突破し。今やタイ国内ではホンダ、ヤマハに次ぐ第3位の地位を獲得するまでになっている。のみならず、ネパール、ベトナム、香港、マレーシア、カンボジア、バングラデシュと輸出販路を拡大。東南アジア地域での影響力をどんどんと強めていっているのだ。ちなみにタイ国内にある工場は拡大を続け、年間10万台の生産キャパシティを擁するというから、その成長ぶりは驚きのひとこと。
こうした成長の背景には、東南アジア製品を並べたとき、域内ではタイ製品がまず選ばれるといったように「メイド・イン・タイ」のブランド力が上がっていることもあると言う。タイにはこれまでバイク以外にも多くの日本企業が進出してきた。その技術をベースにした確かな品質管理を武器にすることで、コスト面ではライバルひしめく東南アジアの中で頭ひとつ抜けることに成功したのだ。
もっとも、タイとしてはその評価に甘んじているわけではない。実際、今回の日本進出に際してGPX本社の狙いはもうひとつある。それは目の肥えた日本のユーザーに乗ってもらうことによって、そのフィードバックをさらなるクオリティアップにつなげたいと本気で考えているのだ。実物を見てみると「タイ製品もなかなかやるな」と唸らせるGPXのマシンをぜひ一度見てもらいたい。
取材協力:GPX JAPAN
写真:鶴見健(車両置き)
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