煌びやかなドレスアップ派や夜間の視認性を高める実用派にも人気で、手軽にリプレイスできるLED系電装用品。ヘッドライトまわりからポジション灯など大小さまざまな種類のアイテムが出回っているが、ところで最近のLEDはどのように進化しているのだろうか? 従来からあるハロゲンヘッドライトとの比較テストを行うとともに、LEDヘッドライトバルブメーカー「サインハウス」に最新情報を聞いた。
まずはハロゲンとLEDの比較実験から
比較対象:LED RIBBON H4型ハイパー(サインハウス)vs ハロゲンバルブH4型
ロービームの場合
ハイビームの場合
「LEDはHID並み。ハロゲン比で3倍明るい」
LEDの花形はヘッドライトバルブということで、’13年の登場以来トップブランドとなった「LED RIBBON(エルリボン)」のサインハウスにLEDの基礎知識を聞いた。
ーーハロゲンバルブとLEDバルブではどんな違いがあるのだろうか?
「ハロゲンはすでに何十年も使われてきた実績があり、安価なのが特徴です。一方のLEDは省電力が大きなポイント。一般的なH4型のハロゲンはハイビームで60w、ロービームなら55 wのところを、弊社LEDならハイ/ローともに37w以下で済みます」
ーーLEDは長寿命の印象もあるが?
「LEDチップの耐久性は約4万時間ですのでハロゲンのフィラメントよりも圧倒的に長寿命です。しかし発光部以外の部品はその域にはないので、保証期間に準じた耐久性が目安になるでしょう。とはいえその期間を超えたからすぐに不具合が起こるわけではありませんので、ご安心ください」
ーーなるほど。チョイ古の車両にはバッテリーの負担を減らす意味でLEDの省電力化はありがたい。ところで最新のLEDバルブはどんな傾向が?
「弊社のエルリボンのなかでもH4型は、一昔人気だったHIDと同等以上の明るさを実現しました。一番明るい4500lm(37w)のタイプと小型でも明るい3000lm(25w)の2種類があり、同型ハロゲンが約1000lm、HIDだと3000lmと聞けば、どれだけ明るいか想像できますよね」
ーーあのHIDと同等で、ハロゲン比なら3倍……これは相当に明るい。
「ここで重要なのがレンズと反射鏡を含めた灯具ユニットとの組み合わせなんです。ハロゲン搭載車は灯具もハロゲンの特性で設計しており、そこから逸脱すると、性能を発揮できません」
ーー小さなLEDを軸の全周に多くつけた創成期のものは、車検に通りにくかったというがそういう理由だろうか。
「おそらく。発光点が多すぎて光が拡散しますから、明るさも配光も光軸もまとまりがなかったわけです。弊社のはハロゲンの発光部であるフィラメントの位置を研究して、極小でも高輝度なLEDチップを配置し、フィラメントの構成にできるだけ近づけました」
ーーだからエルリボンに交換してもハロゲンに近い配光になるというわけか。
「その通りです。そしてもうひとつ重要なのが冷却です。ハロゲンよりもLE Dは消費電力が低いとはいえ、100℃ 以下に保たなければLEDが劣化しますので、冷却が必要です。そこで、大型ヒートシンクを独自に開発・搭載することで冷却問題を解決しました。ファン型にしないのは耐久性への配慮です。粉塵の混入やバイクの振動は、ファンの寿命を縮めますから」
サインハウスは現在、H7とH9の新製品を開発中という。H7の試作品を見た限りではH4同様に明るい。いち早く販売されることを期待したい。
●撮影、文:飛澤 慎
※『ヤングマシン2018年10月号』掲載記事をベースに再構成