サーキット専用のR1/R6と棲み分ける!

あるぞ150万円切り?! ヤマハが「YZF-R9」を正式発表、3気筒エンジンを歴代最軽量デルタボックスフレームに搭載【海外】

ヤマハは欧州と北米でYZF-R9を発表した。欧州名はR9とし、専用にセットアップされたサスペンションやブレンボ製キャリパーを標準装備。R6を上回る空力性能を有し、クルーズコントロールやスピードリミッターなども備える。


●文:ヤングマシン編集部(ヨ)

ヤマハの3気筒スーパースポーツがついに登場!

ヤマハは欧州でR9、北米でYZF-R9を発表した。車名は仕向け地によって『YZF』を省略しているようだが、基本的には(細かな違いはあるとしても)同じマシンだ。

価格は今のところ北米でのみ発表されており、1万2499ドル(日本円換算約186万2000円)のプライスタグが付く。これは最新型のMT-09 SP(1万2299ドル)とほぼ同額であり、日本仕様は150万円切りも期待させる価格だ。

デザインは最新世代のR-DNAで設計されており、先行登場した2025年型YZF-R1よりも攻めた意匠のウイングレットはフロントスポイラーと融合した新スタイルを採用。水平基調のR-DNAデザインを新世代へと昇華している。

ツインアイのポジションライトと「M」字型エアダクトはそれぞれデザインが強調され、中央のモノアイLEDヘッドライトはR125~R7との共通性を持たされたものだ。

フロントウインカーはミラーに内蔵。灯火類はフルLEDで、中央のモノアイがメインのヘッドライト。左右のポジションライトが鋭く睨みをきかす。

YZR-M1イメージのトップブリッジを採用するのはRシリーズ共通。新作KYB製サスペンションのアジャスターは左右が別々の機能をするタイプだ。

エンジンは最新MT-09と同じく890ccの並列3気筒で、出力スペックは発生回転数を含めて踏襲。これを搭載するフレームは軽量なアルミ製デルタボックススタイルを採用しており、製造はR9専用に開発された重力鋳造としながら、低負荷と高負荷の両方でスポーツパフォーマンスを発揮できるよう剛性が最適化された。

MT-09とほぼ同スペックと思われる並列3気筒エンジン。制御マップ等は専用設定だ。

単体重量9.7kgのアルミ製デルタボックススタイルフレーム。シートレールまわりのスリムさにも注目したい。

他のCP3搭載モデル(MT-09やXSR900 GPなど)と比べてフレーム剛性はねじれ、横、縦の全てで高められているという。フレーム単体の重量は9.7kgで、ヤマハのスーパースポーツモデルに使用されたフレームの中で最軽量。これにより、ネイキッドモデルのMT-09からわずか2kg増の車重195kgを実現している。

エアロダイナミクスは徹底的な風洞試験を通じて開発され、前面投影面積が大きいR9のほうがR6よりも空気抵抗が少ないほどだという。これはフロントフェアリングの設計とウイングレットの組み合わせで空気抵抗を低減しながらダウンフォースを発生するという相反する要素を両立させたもので、ライダーにはフロントエンドの安心感を提供する。

ウイングレットは直線で前輪の揚力を6~7%低減し、フロントエンドスポイラーとの組み合わせによりその効果は約10%に達するという。

スーパースポーツのハンドリング

サスペンションは、2025年モデルのR1 GYTR(欧州)やYZF-R1(北米)と同時開発の新設計KYB製コンポーネントを採用。新しいφ43mm倒立フロントフォークは左右にリバウンドダンピングアジャスターとコンプレッションダンピングアジャスターを振り分けたセパレートファンクションタイプで、コンプレッション側は高速/低速を個別に調整できる。

ベースバルブを追加した新レイアウトにより、ダンピングレスポンスを向上、接地感を高めるとともに安定性を向上した。また、カシマコーティングによってダーク調のゴールド/ブロンズカラーとしているのも特徴だ。

リヤショックはフルアジャスタブルタイプで、こちらも内部の設計は新レイアウトとされている。

フロントブレーキにはブレンボ製Stylema(スタイルマ)モノブロックキャリパーを採用しステンレスメッシュホースとφ320mmダブルディススクを装備。マスターシリンダーもブレンボ製のラジアルタイプだ。

アウターチューブにカシマコートを施した倒立フロントフォーク。インナーチューブは通常のメッキタイプだ。

ブレンボ製Stylemaモノブロックキャリパーを奢るフロントブレーキ。

クリップオンハンドルを採用するライディングポジションは、シート高830mmながらライダーに過度な前傾を強いることはない。スリムに造られた燃料タンク容量は14Lとやや控えめだが、これはMT-09と同容量。R9では未発表だがMT-09のWMTCモード燃費は20km/L(欧州)であり、航続距離280kmを確保している。

このほか車体まわりでは、前後タイヤにブリヂストン製バトラックスハイパースポーツRS11を装着し、高レベルのグリップ性能を確保した。

新しいユーザーインターフェースとクルコンなどの電制装備

R9のスイッチギアはボタン数を最小限に抑えた新設計のもの、グローブを装着した状態でも最適な操作性を確保しているという。これにより3速以上・40km/h以上で作動するクルーズコントロールや各種電子制御の走行中の設定もしやすいはずだ。

面白いのは任意に設定できるスピードリミッターの装備だが、これは速度無制限と一般的な高速道路、そして速度の取り締まりが厳しい市街地の一般道などが混在する欧州の道路環境でも混乱なく(リスクなく)走行するためのものだろう。

6軸IMUを軸とした電子制御は、「スポーツ」「ストリート」「レイン」の3つの統合ライディングモードを備え、2つのカスタムモードと4つのトラックモードを任意に設定できる。これにより統合制御するのは、パワーデリバリー (PWR)、トラクションコントロール (TCS)、スライドコントロールシステム (SCS)、ブレーキコントロール (BC)、バックスリップレギュレーター (BSR)、エンジンブレーキマネジメント (EBM)、前輪リフトコントロール (LIF) など。このほかローンチコントロールシステムも備え、サーキットで後輪ABSをオフにすることもできるという。

クイックシフターは加速時と減速時のいずれでもシフトアップ/ダウンが可能な第3世代だ。

メーターはフルカラー5インチTFTで、表示テーマは4種類。トラックモードではラップライマーも表示可能だ。またスマートフォン接続機能を備えており、ヤマハライドコントロール(YRC)はアプリを使用することで最大40種類のモード設定を保存できるというから驚きだ。

スリムな燃料タンクとレーシーなコックピット。タンク上面のフラットさは伏せた際のフィット感を重視か。

5インチTFTディスプレイを備える。画面はコネクティビティのセッティングを表示している。

ガーミンのストリートクロスアプリを用いれば、統合されたフルナビゲーションシステムも利用可能。このほかにも電話やテキストメッセージ、天気予報など様々な情報をディスプレイに表示可能だという。

さらに、Y-TRACアプリを使えばGPSデータと連動してライディングデータを記録および解析することが可能。ラップとセクターのタイプだけでなく、バンク角やエンジン回転数、ギヤ位置、速度、スロットル位置、電子制御の介入レベルなどを記録できる。

今回の発表は欧州と北米だったが、いずれ日本仕様が登場するのは確実。続報を待とう!

YAMAHA R9[2025 EU model]

車名R1
全長×全幅×全高2070×705×1180mm
軸距1420mm
最低地上高140mm
シート高830mm
キャスター/トレール22°35′/94mm
装備重量195kg
エンジン型式水冷4ストローク並列3気筒DOHC4バルブ
総排気量890cc
内径×行程78.0×62.1mm
圧縮比11.5:1
最高出力119ps/10000rpm
最大トルク9.5kg-m/7000rpm
変速機常時噛合式6段リターン
燃料タンク容量14L
タイヤサイズ前120/70ZR17
タイヤサイズ後180/55ZR17
ブレーキ前φ320mmダブルディスク+4ポットキャリパー
ブレーキ後φ220mmディスク+1ポットキャリパー
参考価格1万2499ドル(※)
車体色青、黒
発売時期2025年3月
※諸元は欧州仕様(価格のみ北米仕様)

YAMAHA R9[2025 EU model]Icon Blue

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YAMAHA R9[2025 EU model]Tech Black

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YAMAHA YZF-R9[2025 U.S. model]

北米仕様のみ白×赤をラインナップする。

YAMAHA YZF-R9[2025 U.S. model]White/Redline

R9 写真ギャラリー(写真は欧州仕様)

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【動画】2025 Yamaha R9: a New Generation of Supersport

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