絶版となったハーレーダビッドソンのダイナファミリー、そしてツインカムエンジン。中古車市場では手頃なプライスがつけられ、ハーレーライフをスタートさせるのに、あるいは自分だけのとっておきの1台にカスタムするのに最適とも言える。ここからは、そんなダイナツインカムモデルをセンス良く完成させた先駆モデルを紹介しよう。
●文:ウィズハーレー編集部(青木タカオ) ●写真:磯部孝夫 宮下豊史 ●外部リンク:TASTE CONCEPT MOTOR CYCLE、CUSTOM WORKS ZON
FXDT1450 TASTE CONCEPT MOTOR CYCLE:ダートラレプリカにもバケけられる! XR750ではなく883R風FXDTだ!!
オレンジの車体に、スタイリッシュで軽快なシートカウル。ハーレーダビッドソンのフラットトラックレーサーXR750を彷彿とさせる…!?
いや、というより、チェッカーフラッグがあしらわれたタンクグラフィックスは、2002年式の初代XL883Rと言っていいだろう。オーバル形状のエアクリーナーケースや、ブラックで揃えたヘッドライトバイザーとデュアルメーターも、パパサンアールのそれに近い!
XLスポーツスターならオイルタンクのあるシート下に、ダイナはバッテリーを配置。ただし、2本のリヤサスペンションがトラディショナルなスタイルを決定づけムードを演出し、39mmのナローグライドフォークもまた一役買っている。
テイストコンセプトカスタムにて20年以上前に製作した車両が、今回再びペイントなどを含めてリフレッシュされた。
お馴染みの遊び心=“茶目っ気”は、タンクグラフィックスに「883」ではなく「1450」と、ツインカム88の排気量を大きく入れているところに感じる。
さらに、前後ホイールをミスミエンジニアリングのアルミビレット製ファイブスターにグレードアップし、リヤを16→18インチに大径化。オーリンズのサスペンションも奢られ、足まわりを強化するとともにエキゾーストシステムもチタン製に刷新された。バネ下を軽量化し、剛性を高めたことで飛躍的に運動性能を向上しているのは想像にたやすい。
こうなってくると、ダイナツインカムのスポーツスター化に、無限大の可能性を感じてならない。
ダイナ&ツインカムモデルのスポーツスターコスプレの重要なファクターとなるのは、外装はもちろんのこと、スポーツスター同様の細くナローなフロントエンドにもある。
ダイナ系に装着される正立式フロントフォークは、2005年までインナーチューブ径が39mmで、スポーツスターと同じ太さ。2006年式以降は49mmに太くなり、リアホイールは16→17インチ化。リヤタイヤも幅が150→160mmと広くなり、ボリュームの増した逞しい姿になる。
もちろん、ビッグツインはファイナルドライブが車体左にレイアウトされるのに対し、スポーツスターでは右側でベルト駆動されるなど、相違点は少なくない。
オイルタンクの位置だけでなく、4カムエボリューションとツインカムではロッカーアームカバーの形状も異なるし、4カムはプッシュロッドがまっすぐ。腰下はカバーもまるで違う。
ただし、今回紹介したカスタムたちはそんなことは気にせず、遊び心に満ちあふれている。そもそも、レプリカなど目指していない。TCダイナを楽しむひとつの提案であり、とても魅力的だ。
CUSTOM WORKS ZON 2006 FXDWG DYNA WIDEGLIDE:セパハン&センターアップマフラー、独創的世界観でダイナの走りを究めた!
国内外のカスタムショーで数々のアワードを受賞し続けている、カスタムワークスゾン。吉澤雄一氏と植田良和氏、高校の同級生だったコンビで、2003年に地元・滋賀県蒲生郡で創業すると、2007年にアメリカ・ラッツホールショーで優勝。アワードの常連となっていく。
日本最大級のカスタムの祭典・ヨコハマホットロッドカスタムショーでも、ベストモーターサイクルを3度獲得。唯一無二の世界観を持つそのクリエーション活動は、世界中から注目を集めている。
そんなふたりの作品は、タイミングが良ければ購入することもできる。いま販売されているのが、ツインカム88を積むダイナワイドグライドベースのカスタムだ。アルミタンクやシートカウルなど外装をはじめ、テールエンドから飛び出す後方排気マフラーなど、ワンオフで製作された手の込んだパーツたちで車体は構成され、目が釘付けになってしまう。
見逃せないのが、トップブリッジより下にセットされたセパレートハンドル。上半身が若干の前傾姿勢となるスポーティーなライディングポジションで、ライダーはこのマシンを操るのだ。
想像すれば、もうワクワクが止まらない。もちろん、見かけ倒しではない。フロントブレーキにブレンボのラジアルマスターシリンダーと4ポットキャリパーが奢られ、ストッピングパワーとコントロール性を向上。
固定ベンチュリー式のキャブレターは、加速ポンプ付きのS&SスーパーEで、絶妙な長さのアルミファンネルが組み合わされた。荒々しさと武骨さをオープンプライマリーやフェンダーレスで匂わせつつ、相反する高級感も漂うから、不思議でならない。
クリップオンのセパレートハンドルで、乗車姿勢は前傾気味に。ミニエイプバーで拳を突き上げて乗る、チョッパースタイルのダイナワイドグライドをベースにしているとは、想像もつかないアグレッシブなスタイルだ。
美しい曲線を描きつつストレッチされたフューエルタンクは、側面にクロームが施されたハイグレードな仕上がり。エグリの入った形状で、スポーティーなライディングを予感させる。ツインカム88エンジンにセットされるキャブレターはスーパーE、通称「ショーティー」で、カスタムワークスゾンのアルミ製エアファンネルを装着した。
ワンオフのエキゾーストシステムは、シート下を通ってテールカウル後端の両サイドから出てくる独創的な取り回し。センターアップマフラーとしているから驚きを隠せない。キャリパーをブレンボにしただけでなく、リヤサスペンションもグレードアップ。レバーを可倒式にするなど、細部にもスポーツマインドが感じられる。国内屈指のビルダーコンビが手かけた1台がもし愛車だったら…と想像しただけで頬が緩む。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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