
「空冷Vツインこそハーレーだ」と眉をひそめられ、受け入れられないかもしれない。そんな不安の声を押しのけ、ハーレーダビッドソンは日本市場に対し、パラレルツイン&アンダー400ccモデルの「X350」そして「X500」を導入した。禁じ手でもあったかもしれない未知なる領域へ、果敢に攻めるその背景には一体何があった!? 野田社長に話を聞いた。
●文:ウィズハーレー編集部(青木タカオ) ●写真:宮下豊史、ハーレーダビッドソンジャパン ●外部リンク:ハーレーダビッドソン
流行の発信地=原宿で発表&10/29まで展示!
東京・原宿駅のすぐ近く、明治神宮前の交差点に出現したのは、10月29日(日)まで限定オープンの「HARLEY-DAVIDSON X Café」。若者/女性/新規ユーザーの獲得を目指すハーレーダビッドソンは、ファッションやカルチャーの発信地に、「X350」および「X500」を最新アパレルとともに展示する。
原宿に10月29日(日)まで限定オープンのHARLEY-DAVIDSON X Café 。
普通二輪免許で乗れるニューモデル・X350は69万9800円、X500は83万9800円(いずれも税込車両本体価格)。10月20日(金)、ポップアップカフェの開店前にメディア向け発表会が開かれ、競合他社を強く意識した価格設定が報道陣に明かされた。
新型ハーレーダビッドソン『X350』(写真左)と『X500』。
6月に米国本社CEOが来日、X350/X500の国内投入を示唆
大きな節目となる創業120周年を迎えたハーレーダビッドソンは、6月8日に最高峰プレミアムモデル「CVOストリートグライド」と「CVOロードグライド」を発表した。
伝統のバットウイングフェアリング&シャークノーズフェアリングを全面刷新し、空冷Vツイン「ミルウォーキーエイトエンジン」は排気量をついに1977ccにまでスケールアップ。可変バルブ機構を搭載するなど、フラッグシップにふさわしい手の込んだモデルに仕上がっている。
その後、6月16日には米国本社CEO(最高経営責任者)のヨッヘン・ツァイツ氏が来日。メディアの前でCVO2機種をアンヴェールし、さらにハーレーダビッドソンの展望が語られた。
プーマに20年以上在籍し、CEOとして大胆な戦略で再生させたツァイツ氏は、2020年からハーレーダビッドソンのCEOに就いた。以来、ツァイツ氏が日本へ来るのは初めて。新型CVO2機種への意気込み、日本市場への期待、電動『LIVEWIRE(ライブワイヤー)』導入など、さまざまなことが憶測できた。
2023年6月に来日した、ハーレーダビッドソン米国本社CEO(最高経営責任者)ヨッヘン・ツァイツ氏。
衝撃のひとつは、中国市場で先行投入されるX350とX500がCEOのプレゼンテーションでスクリーンに映し出され、「日本投入を検討している」と明言されたことだった。
ハーレーダビッドソンは2019年6月、Qianjiang Motorcycle Company Limited(銭江モーターサイクル)とのコラボレーションによって、より小さく手に入れやすいハーレーの新型モーターサイクルを誕生させ、中国市場に投入することを発表している。
ツァイツ氏のプレゼンテーションにて、中国市場に先行投入したX350およびX500のビジュアルがスクリーンに写し出された。
X350が搭載するパラレルツインエンジン。
この時点で排気量338ccの新型モデルを共同開発し、先行して中国市場に投入。そしてアジア市場へと中型バイクの販路を広げ、ゆくゆくはハーレーダビッドソンの大型バイクユーザーを育てていく方針を打ち出していた。
こうした世界戦略モデルについては、当時から動向を追いかけ続けてきたが、本社CEOの初来日とX350およびX500への言及で、ついに日本導入への時が来たかと確信させたのだった。
熱き想いと覚悟がそこにある。HDJ野田社長を直撃インタビュー
ハーレーダビッドソンジャパン・野田一夫社長。快くインタビューに応じてくれた。
ここまでの経緯を振り返って教えてもらおうと、プレスカンファレンスを終えたハーレーダビッドソンジャパン(HDJ)・野田一夫社長に直球をぶつけてみた。なんと上述のCEO来日時には、X350およびX500の日本導入はまだ決定事項ではなかったとのことだ。
アメリカで両モデルを試乗し、品質などを確かめた野田社長は、本社CEOにハーレーダビッドソンジャパンでの取り扱いを直談判。「プレゼンテーションで日本の報道陣に公開し、反響を見たらどうか?」と提言したのであった。
「成功できるのならいい」とCEOから承諾を得て、今回の発売へと漕ぎ着けた野田社長。その決意とチャレンジ精神は、並々ならぬ熱き想いがあってこそだ。
普通二輪MT免許で乗れることができるX350は70万円を切り、X500も83万9800円と価格を低く抑えた。
野田社長は「これ以上はできない。やりすぎたかもしれないバーゲンプライス」と、競合他社に負けない姿勢であることを価格でも示した。
10月19日までの価格発表前の時点で、ハーレーダビッドソン正規ディーラーへの受注がおよそ150台入った。20日の価格発表で、初期生産分500台は完売するのではないかと推測される。
日本導入発表からメディア向けのローンチや試乗会など、動きも早い。野田社長は目を輝かせて言う。「もっともアツいセグメントへ挑むわけですから、ノンビリしていられませんよ!」
初めてのバイクとして、あるいはハーレー乗りの増車…、さまざまなユーザーを想定している。「まずは全国の正規ディーラーへ足を運んでいただき、実車を見てほしい」と野田社長は願っている。
発表後、HDJ正規ディーラーへの受注が順調に入るX350とX500。
実車は東京原宿でも見ることができる!
首都圏在住、または東京へ出かける用事があるなら、10月29日(日)まで限定オープンのHARLEY-DAVIDSON X Caféで、X350とX500をじっくり見ることができる。
X350とX500を間近で見て触ることのできるHARLEY-DAVIDSON X Caféは、東京原宿にて10月29日(日)まで限定オープン。
コーヒー/ラテ/レモネード/サングリアといったソフトドリンクをはじめ、カクテルなどアルコール類を提供するほか、ハーレーダビッドソンのシンボルである「バー&シールド」ロゴをあしらった数量限定のオリジナルドーナツも販売される。
また、MAX SCHAAFとNUTS ART WORKSが制作したタンクアート作品を展示。10月28日(土)にはハロウィンを祝う『HARLEY-WEEN』も行われ、仮装 or ハーレーダビッドソンのアパレルを着用していれば、カフェメニューが200円OFFとなる。
10月28日(土)はハロウィンを祝う「HARLEY-WEEN」も行われる。
さらに期間中、会場ではプレゼントアンケートを実施。回答した人はその場で抽選し、ハーレーダビッドソンのアパレルやグッズが当たるキャンペーンも用意されている。
この機会、ぜひお見逃しなく!
■HARLEY-DAVIDSON X Café
東京都渋谷区神宮前 6-35-6 jing 原宿
10月29日(日)まで
各日11:00〜21:00
■フード提供時間
10月21日(土) 11:00〜21:00
10月22日(日) 11:00〜19:30
10月23日(月)〜26日(木) 12:00〜18:00
10月27日(金) 12:00〜21:00
10月28日(土) 11:00〜21:00
10月29日(日) 11:00〜19:30
野田社長インタビュー動画はコチラ
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
ウィズハーレーの最新記事
FXLRSローライダーS:パワーユニット強化で走りはさらにアグレッシブ 許容リーンアングルが深めに設定されるなど、スピードクルーザーとして絶対的な人気を誇る「ローライダーS」 。2025年式は最高出力[…]
FLHRロードキング[2002年式] ハーレーダビッドソンが1999年に満を持してリリースしたツインカムエンジン。従来(エボリューション)までのワンカム構造を改め、カムシャフトを2本配置。伝統のOHV[…]
FXLRSTローライダーST:強力なパワーユニットを積みますます走りがスポーティー!! ローライダーSTが纏うクラブスタイルを象徴する独創的なフェアリングは、1980〜90年代半ばにラインナップされ、[…]
FXBRブレイクアウト:ロー&ロングスタイルでグラマラスなライン描く 2025モデルのブレイクアウトは、低く長い流麗でグラマラスなラインを描く車体に、新型ツーリングインテークをセットしたミルウォーキー[…]
ショベル以前からエボリューションまで国内最大級の在庫数! まるでミュージアムだ。コンディションを整えたビンテージハーレーをはじめ、エボリューションモデルに至るまで、広い店内には常時100台以上を在庫す[…]
最新の関連記事(ハーレーダビッドソン)
FXLRSローライダーS:パワーユニット強化で走りはさらにアグレッシブ 許容リーンアングルが深めに設定されるなど、スピードクルーザーとして絶対的な人気を誇る「ローライダーS」 。2025年式は最高出力[…]
FLHRロードキング[2002年式] ハーレーダビッドソンが1999年に満を持してリリースしたツインカムエンジン。従来(エボリューション)までのワンカム構造を改め、カムシャフトを2本配置。伝統のOHV[…]
FXLRSTローライダーST:強力なパワーユニットを積みますます走りがスポーティー!! ローライダーSTが纏うクラブスタイルを象徴する独創的なフェアリングは、1980〜90年代半ばにラインナップされ、[…]
FXBRブレイクアウト:ロー&ロングスタイルでグラマラスなライン描く 2025モデルのブレイクアウトは、低く長い流麗でグラマラスなラインを描く車体に、新型ツーリングインテークをセットしたミルウォーキー[…]
ショベル以前からエボリューションまで国内最大級の在庫数! まるでミュージアムだ。コンディションを整えたビンテージハーレーをはじめ、エボリューションモデルに至るまで、広い店内には常時100台以上を在庫す[…]
人気記事ランキング(全体)
昭和レトロの世界が広がる神奈川県『中古タイヤ市場 相模原店』 昭和の夏休みって、どんなでしたっけ? 朝はラジオ体操に行って、午前10時頃からは仮面ライダーやウルトラマンの再放送。昼は学校や地域のプール[…]
ミニカーとは何かがわかると登録変更のハードルもわかる まず「ミニカー」とは、法律上どのような乗り物として扱われるのか、基本的な定義から押さえておく必要がある。実はこれ、道路交通法上では「普通自動車」扱[…]
動力性能を高めるためエンジンを大幅刷新 カフェレーサー然としたスタイルばかりに注目が集まりがちだが、CB400フォアの魅力はそれだけではない。前任に当たるCB350フォアの不振を払拭するべく、動力性能[…]
並列4気筒と2気筒で基本設計/生産設備を共有 ’74年初頭からスタートしたスズキの4ストプロジェクトは、次世代の旗艦として、カワサキZを凌駕する大排気量並列4気筒車と、その車両と基本設計/生産設備を共[…]
使い方は「水を含ませる」だけ。走行風を味方につける冷却アイテム 今回紹介するデイトナの「DI-015 ウェットクールベスト」は、水と走行風を利用した気化熱式のクールベストだ。使い方はシンプルで、ただベ[…]
最新の投稿記事(全体)
15周を走った後の速さにフォーカスしているホンダ 予想通りと言えば予想通りの結果に終わった、今年の鈴鹿8耐。下馬評通りにHonda HRCが優勝し、4連覇を達成した。イケル・レクオーナが負傷により参戦[…]
使い方は「水を含ませる」だけ。走行風を味方につける冷却アイテム 今回紹介するデイトナの「DI-015 ウェットクールベスト」は、水と走行風を利用した気化熱式のクールベストだ。使い方はシンプルで、ただベ[…]
冷却ファンがフレッシュエアを背中に送り込む 「リュックを背負うと背中が蒸れる」──これはライダーのみならず、全てのリュックユーザーが抱える宿命といっても過言ではない。しかし、この「冷却ファン付きリュッ[…]
二見エリアはツーリングライダーを惹きつける場所の宝庫 二見の地に足を踏み入れれば、まず目に飛び込むのは、夫婦岩を模したユニークなJR二見浦駅舎だ。そこから二見興玉神社へと続く「夫婦岩表参道」、通称「旅[…]
並列4気筒と2気筒で基本設計/生産設備を共有 ’74年初頭からスタートしたスズキの4ストプロジェクトは、次世代の旗艦として、カワサキZを凌駕する大排気量並列4気筒車と、その車両と基本設計/生産設備を共[…]
- 1
- 2