●文/写真:ライドハイ編集部(伊藤康司)
元々はレーシングマシンの装備
多くのバイクの右ハンドルに装備されている“赤いスイッチ”。正式にはエンジンストップスイッチだが、「キルスイッチ」と言った方がピンとくるだろう。
近年はエンジンを始動するセルボタンと共用している車種も多いが、“右回転に✕印のマーク”の方に押せば、エンジンを停止させられる世界共通の機能だ。
とはいえ、バイクにはイグニッションキー(メインキー)があるし、キーをOFFにすれば当然ながらエンジンは止まる。それなのに、なぜ全車キルスイッチを装備しているのだろう?
じつはキルスイッチは、元々はレーシングマシンの装備。昔の2ストロークのレーシングマシン等は、バッテリーを持たずにエンジンの発電機能だけで走っていた。エンジン始動は“押しがけ”なので、セルスターターを装備しないし、レース専用車ならイグニッションキーも付いていない。ということは、走行終了時に“エンジンを止めるためのスイッチ”が必要になり、それがキルスイッチというワケだ。
万が一の時にエンジンを止めるのに使う
そしてレーシングマシンの場合、キルスイッチが必要な重要な理由が他にもある。転倒や事故の際に、エンジンが止まらずにタイヤが回り続ける場合があるが、そのままではライダーの救助やマシンの除去作業に支障があるし、漏れたガソリンに引火する危険もある。
そんな万一の際に、瞬時にエンジンを停止できるキルスイッチが必要とされるのだ。これは4輪のレースも同様で、ドライバーが負傷などでエンジンが停められない場合でも、コースマーシャルが外部からエンジンを停止できるように、車体の外側にもキルスイッチの装備が義務付けられている。
ともあれ、公道を走る一般車でも、万一の転倒や事故の際には、できるだけ速やかにエンジンを止めることが必須。というわけで、一般車にもキルスイッチが装備されるようになったのだ……
※本記事は2022年1月18日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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