
[Q] ツーリングで山深いエリアに入ったところ、突然砂利道に遭遇。オフロード経験はありませんが、戻るのが嫌なのでそのまま砂利に入りました。超スロー走行しているのに、路肩側にどんどん吸い込まれていくようで、怖くてしかたありませんでした。こんな時、どうすればいいのでしょう?
●ライドハイ編集部(根本健) ●写真:真弓悟史
[A] 後輪の駆動力を使ってバイクの進路を決めましょう
ツーリング先で、工事中の道路に遭遇することはありますよネ。たいていは舗装を剥がして、補修のための再舗装をしているケースが多いと思います。しかし、路面がかなり傷んだ場合には、舗装面より下の路床と呼ばれる部分まで掘り起こして、下層となる砂利を敷き詰めた状態で通行させることもあります。
こうした工事中の砂利道は、よほどキャリアがないと大型バイクで走るのは至難の業、と言えるでしょう。とくに、前傾姿勢の強いスーパースポーツ系などで、サーキット走行に向いた仕様のタイヤが装着されていると、走りにくさも半端ではありません。
こうした砂利道で、フロントブレーキを触るのはご法度です。少しでも制動がかかると、前輪は潜っていこうとするからです。そうなると、ハンドルで制御しようとしても、かえって前輪が潜ってしまい、悪くすると舵角がついたまま、ドンドン直進していくハメに陥ります。
敷き砂利が大きいほど、この傾向は強まります。そして、速度が落ちた途端に立ちゴケしかねません。
緊張してハンドルにチカラを入れてしまいがち
ブレーキをかけなくても、前輪で進路を決めようとハンドル操作をするほど、思った方向には行ってくれません。とは言っても、ゴロゴロした敷き砂利にハンドルを取られたら、どうしたってハンドルを押さえようとチカラを入れてしまいますよネ。
そんなときには、グリップを軽くホールドして、ハンドルが左右に振られるままにしておきましょう。振られるのは、敷き砂利の角などで前輪が小刻みにとられているためで、基本的にはステアリングの復元力任せで大丈夫なはずです。
【フロントブレーキはできるだけ使わずに】砂利道やダートに遭遇したら、舗装路のようにフロントブレーキを使わないように。使うと前輪が滑ったり潜ったりと、転倒の原因になりかねない。ハンドルへの入力も御法度だ。
エンジンの駆動力を上手に使うことを覚えて!
進路を決めるのは、後輪の駆動力です。とはいえ、砂利道は後輪にパワーがかかると左右に逃げてしまうほど、カンタンにスリップしがちです。これを防ぐには、エンジンをなるべく低い回転域にしておき、ギヤも2速〜4速の高めにホールドして、スロットルを開けて走ります。
スピードが出てしまうようなら、スロットルを閉じます。砂利道が長く続くのなら、この開け閉めを繰り返します。
ただ開け方にコツがあります。砂利に後輪をとられるのを警戒するあまり、怖々そうっと開けるのはナシです。駆動力が弱すぎると、砂利にとられてばかりで、進路を決めるどころではなくなるからです。
少なくとも1/4以上はジワッと素早く開けて……
※本記事は2021年7月8日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
ライドハイの最新記事
小排気量にフレームからリヤフェンダーが別体化してスーパースポーツだけの前後18インチ! 1964年、ホンダは最もポピュラーだった90ccクラスに画期的なバイクをリリースした。 その名もCS90。当時は[…]
4気筒エンジン独得のフィーリングを250ccユーザーにも届けたい! 1976年にDOHC2気筒のGS400、DOHC4気筒GS750で4ストローク化に追随したスズキは、1980年に気筒あたり4バルブ化[…]
デビュー時は2スト125で敵ナシ状態! 1982年のヤマハRZ125が生んだムーブメントは、高速道路へ入れないマイナーな125スポーツだったのを、2ストの水冷化で通勤通学だけでなくレースへ興じる層が加[…]
250cc2気筒の水冷Newエンジンだけではないテクノロジーによる軽量化! 1980年、世界中を震撼させたRZ250がリリースされた。 排気ガス規制で1970年代中盤を過ぎると軽くてシンプルな高性能と[…]
50レプリカのフルサイズからミニバイクレースを経てデフォルメフルサイズへ! VR46カラーのTZR50……実はヨーロッパで1997年から2012年まで生産されていたイタリアのミナレリ製エンジンで、現地[…]
最新の関連記事(Q&A)
オートバイって何語? バイクは二輪車全般を指す? 日本で自動二輪を指す言葉として使われるのは、「オートバイ」「バイク」「モーターサイクル」といったものがあり、少し堅い言い方なら「二輪車」もあるだろうか[…]
バイク エンジン かからない原因を症状別に解説 さあ、ツーリングに出かけよう! 荷物をシートにくくりつけ、ヘルメットとグローブを装着してキーをシリンダーに差し、セルスイッチをプッシュ……え、エンジンが[…]
バイクのパンク修理を自分でやるときに知っておきたい基本知識 どんなに注意して走っていても、路面の釘やネジなどを拾ってパンクすることは少なくありません。とくにバイクは路肩を走行する場合も多く、路肩には車[…]
バイクオイル交換とは? エンジンオイルの役割 バイクのオイル交換とは、エンジン内部の潤滑や冷却、清浄などを担うエンジンオイルを新しいものに入れ替える作業です。 エンジン(内燃機)内部は精密パーツが高速[…]
A:どちらも不具合。後ろはアフター、バックは戻ると覚えるべし 未燃焼ガスがシリンダー外で燃えるという意味では、どちらも同じ”不調”を表している。アフターファイアーはマフラー側に流れた未燃焼ガスが引火す[…]
最新の関連記事(ビギナー/初心者)
どうする? スクーターのエンジンがかからない ※これはまさに、筆者が直面した実話です。我が家のスクーター(TODAY)に乗ろうと思って、車庫から引っ張り出しました。ちょっと久しぶりですね。エンジンをか[…]
夏場は100℃超えも珍しくないけれど… いまやバイクのエンジンは“水冷”が主流。安定した冷却性能によってエンジンパワーを確実に引き出すだけでなく、排出ガス/燃費/静粛性の面でも水冷の方が空冷より有利な[…]
アクセルの握り方って意識してますか? バイクのアクセル(スロットル)の握り方や回し方を意識しているライダーの皆様って、どれぐらい居らっしゃるでしょうか? 「そんなの当たり前!」という人は、かなり意識高[…]
ツーリングの持ち物【最低限必要な基本アイテム】 オートバイ趣味のもっとも一般的な楽しみ方は、オートバイならではの機動力や爽快さを満喫しながら好きな場所へ自由に行くこと。いわゆるツーリングです。 初心者[…]
房総フラワーラインとは?バイク乗りに人気の理由 房総フラワーラインは、千葉県の房総半島南端をぐるっと周遊する約46kmのルートです。千葉県館山市下町交差点から南房総市和田町までの海沿いを巡り、上掲のG[…]
人気記事ランキング(全体)
新設計の502cc・4気筒エンジンを搭載するフルカウルスポーツ ホンダは、中国で開催された重慶モーターサイクルショーにて4気筒エンジン搭載の新型モデル「CBR500Rフォア(CBR500R FOUR)[…]
BOAフィットとfuzeGELで安定&衝撃吸収 「ウィンジョブ CP306 BOA」はダイヤル操作で締め具合を調整するBOAフィットシステムを採用し、甲まわりをムラなくホールドできます。衝撃緩衝材とし[…]
伝家の宝刀「V4」搭載のキング・オブ・クルーザー エックス ディアベルといえば、マッシブなクルーザーとして「素の」ディアベルとはひと味違った走り、満足感が得られると評判のモデルでした。 新型は、今やド[…]
裏地には90周年モデル限定カラー 1935年の創業から、絶えず革ジャンを作り続けてきた株式会社カドヤが、90周年という節目を迎える今秋、ブランドの歴史を象徴しつつ現代のライディングシーンに応える、特別[…]
ポケットに収まる高洗浄力! これがケルヒャークオリティだ 林道ツーリング後の付着しまくった泥やロングツーリングでこびりついた虫の死骸。海沿いを走った後のベタつく潮風…。バイク乗りにとって、汚れと洗車は[…]
最新の投稿記事(全体)
ヤマハが6年ぶりにファクトリー復帰! ホンダHRCが迎え撃ち、スズキCNチャレンジが挑む! 2025年8月1日~3日に開催された「”コカ·コーラ” 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第46回大会」では、4連[…]
東京ビッグサイトのような会場が熱気に包まれる 日本のお隣であり、スクーターが一大人気を誇ることでも知られる台湾にて例年開催されている「台湾モーターサイクルショー」を取材してきたのでレポートをお届けした[…]
雨も汚れも、もう怖くない! 洗えるレザーグローブ登場 バイカー向けレザーウエアなどを製造・販売するデグナーから、洗えるウインターレザーグローブ「WG-57」と「WG-58」が登場した。レザーの風合いと[…]
小排気量にフレームからリヤフェンダーが別体化してスーパースポーツだけの前後18インチ! 1964年、ホンダは最もポピュラーだった90ccクラスに画期的なバイクをリリースした。 その名もCS90。当時は[…]
2022年モデルのZ1000以来、自然吸気のフラッグシップ“Z” 2014年に「Sugimi」デザインを初めて導入したスーパーネイキッド「Z1000」が排気量を増して帰ってきた! 並列4気筒エンジンを[…]