
バイクキャリアのある仲間から、強くブレーキをかけられないのでは危険回避もできないので、まずは前のめりを怖がらずにかける練習が絶対に必要! と力説されました。正直、怖さの克服は自信がありません。前のめりの少ないブレーキとかあるのでしょうか?
●文:ライドハイ編集部(根本健)
A. 強くブレーキすれば直感的につんのめるって思いがちですよね? たしかにバイクやライダーの重さが、減速Gで前輪にのしかかります。でもそれほどカンタンにつんのめらないブレーキのかけ方はあるので、ライディングに自信をつけたり、何より安全のためにぜひ習得してください。
どうしてブレーキレバーに触った瞬間に前のめりするのか?
ビギナーでなくても、このブレーキの前のめりが苦手というか、どこか怖くて強くブレーキングできないライダーの多さは半端ありません。でも、危険回避の基本は減速。とっさの飛び出しなど、自分の身を守るために急ブレーキは必要な非常手段です。
とはいえ、かけたこともないチカラいっぱいのブレーキ操作などヤル気も起きず、運を天にまかせてそのまま衝突…。その結果、バイクは危険だからもう乗らない、そんな展開は避けたいモノ。
ということで、この機会に強くブレーキをかけられるライダーになってください。それにはまず、なぜブレーキをかけると前のめりするのか、そこからノウハウに繋げていきましょう。
オートバイにはフロントフォークとリヤサスペンションの、2つの伸び縮みするサスペンションが装着されています。これらに装着されているバネが、驚くほどの強さ、つまり硬さが違うのです。下のイラストは典型的なビッグバイクのネイキッドスポーツの例で、バネの強さはフロントがリヤの1/3か、もっと差があったりします。
なぜそれほど違うのかというと、駆動している後輪と違って、前輪は空転しているだけだから。車体を傾けて旋回するときは、前輪は後輪が曲がっていこうとする軌跡を邪魔しないよう、いわば支え棒のような役割をします。ここで大事なのは路面追従性。小さな凹凸に前輪が追従できないと、支え棒を失った車体はカンタンにスリップダウンしてしまいます。
このためフロントフォームのバネは、柔らかいスプリングをあらかじめ締めつけて車重を支える反発力を与えつつ、その柔らかさで小さな凹凸にも小刻みに上下動して前輪がスリップしないよう機能しているのです。
レバー遊びを無意識のうちに乱暴に引いていた!
そんなに柔らかいフロントフォーク、ちょっとしたきかっけですぐ沈んでしまうだけでなく、荷重で釣り合うストローク位置を瞬く間に通り越してしまいがちです。この勢いあまって深く沈んでしまうのが、前のめりの主な原因。
あなたは強くブレーキをかけるつもりもないので、やんわりと優しくブレーキレバーを握っていますよネ? でも、いきなりという感じで前のめりが始まります。これはベテランライダーも同じで、経験からハードにブレーキをかけられるので、強力なブレーキほどレバーに触った瞬間からサクッと前のめりすると思い込んでいます。
この一気に前のめりが始まる原因は、レバーの遊びが勢い良く油圧ピストンのアタマを叩き、そのショックで瞬間ブレーキが効いてしまうこと。いきなりの前のめり、勢い良く沈んでしまう現象となっているのです。ディスクに熱が残っていたりなど、厳密なコトに触れると様々あるのですが、ここは説明をわかりやすくするため、カンタンな理屈通りにハナシを進めていきます。
レバー操作をデリケートにするために支点をつくる
このレバー遊びに勢いをつけずキャンセルする入力と、デリケートなレバー操作入力のコントロールがしやすいコツから覚えていきましょう。
まずレバー操作には支点が必要です。クルマを運転される方がほとんどだと思いますが、踵をフロアから浮かしてペダルを踏んだら、キュッと強くかかってしまい途中のジワッとデリケートな入力コントロールができませんよネ?
実は大半のライダーが、意識せずに親指のつけ根を支点にしています。ここを支点に2~4本の指とで握っていると思いますが、実は親指にかかっている引くチカラは支点にできません。いわば親指と数本の指とで挟むような動きで入力管理をしようとしているのです。親指のつけ根なので動かないため支点にできそうですが、親指の先と人差し指で挟むように操作するとチカラの加減ができないのがわかると思います。
そこで手の平の外側2本、小指と薬指のつけ根を支点にグリップをホールドします。レバー操作では握るというより上からグリップラバーを押す感じだと都合が良いはず。
そしてこの外側を支点にしてレバーを引いた状態で、誰かにレバーをちょっとだけ逆へ引っ張って動きを重くしてもらってください。わし掴みの操作と外側支点の操作だと、どこからピストン入力の位置でどこが遊びかなど、わずかな手応え(指応え)に明確な違いがあるのを感じられます。
レバーを上から押し気味にして指を滑り込ませる。遊びをキャンセルした箇所からレバーを引き込む!
そしていよいよブレーキレバー操作です。まずレバーを上から少し下方向へ押し気味にして、指を滑り込ませる動きでレバーを引き込みはじめます。これで意識せずともレバー遊びが勢い良くキャンセルされることがなくなります……
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。
ライドハイの最新記事
「バケヨンカスタムご存じ?」’70年代のホンダ4発末弟はCB350Four! 1972年6月、ホンダはCB350フォアを発売した。 1969年に衝撃のデビューを果たした世界初の量産4気筒スーパースポー[…]
後輪を軸に旋回する基本通りに乗れる車体のしなやかさと従順かつ繊細なエンジン特性! 2ストロークエンジン・メーカーではなかったホンダが、’60年代に世界GP完全制覇の後に再挑戦した4ストNR500が思わ[…]
フランスヤマハのチームカラーが全世界で人気に! ヤマハファンならご存じ、フランスの煙草ブランドであるゴロワーズのブルーにペイントしたレーシングマシンやスポーツバイクたち。 その源流はワークスマシンのY[…]
輸出は250cc主体から世界GP制覇で125cc以下でも浸透をはかる! スズキは1965年、2ストローク2気筒のT20で世界進出を果たしていたホンダCB72やヤマハYDS2に続き、量産スポーツ初の6速[…]
前バンクはクランクリードバルブ、後バンクにピストンリードバルブの異なるエンジンを連結! ヤマハは1984年、2ストロークのレプリカの頂点、RZシリーズのフラッグシップとしてRZV500Rをリリースした[…]
最新の関連記事(ライディングテクニック)
シリーズ第12回は最終回特別応用偏! 白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材など、公道安全運転のお手本として白バイ流の[…]
シリーズ第11回はクイーンスターズ・スペシャルQ&A! 白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材など、公道安全運[…]
シリーズ第10回は『クイーンスターズ』に学ぶ「取り回し」だ! 白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材など、公道安全運転[…]
シリーズ第9回は『クイーンスターズ』と一緒に「引き起こし」だ! 白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材など、公道安全運[…]
シリーズ第7回は「パイロンスラローム」。リズミカルな連係操作を身に付けよう! 白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材な[…]
人気記事ランキング(全体)
最強のコスパ防寒着か? 進化した「GIGA PUFF」 まず注目したいのが、「GIGA PUFF フュージョンダウンフーディ」だ。価格は驚異の4900円。このフーディの肝は、中わたの量にある。従来製品[…]
ウインカーと統合したDRLがイカス! X-ADVは2017年モデルとして初登場し、アドベンチャーモデルとスクーターのハイブリッドという新しいコンセプトで瞬く間に人気モデルになった、ホンダ独自の大型バイ[…]
上旬発売:アライ アストロGXオルロイ アライヘルメットからは、ツーリングユースに特化したフルフェイス「アストロGX」のニューグラフィック「ORLOJ(オルロイ)」が12月上旬に登場する。この独特なネ[…]
「天然のエアコン」が汗冷えを防ぐ 厚着をしてバイクで走り出し、休憩がてら道の駅やコンビニに入った瞬間、暖房の熱気で生じる汗の不快感。そして再び走り出した直後、その汗が冷えて体温を奪っていく不安。ライダ[…]
新型「ニンジャZX-10R」は国内導入は2026年夏か まずは欧州と北米で発表されたスーパースポーツの旗艦、新型「ニンジャZX-10R/RR」の話題だ。 最大の特徴は、フロントカウルに設けられた大型の[…]
最新の投稿記事(全体)
オンロードメインで楽しむ扱いやすいツアラーモデル いい意味で、事前の想像とは大きく異なる乗り味だったのが、油冷単気筒エンジンを搭載した軽二輪アドベンチャーのVストローム250SX。このルックスから、個[…]
排気量拡大路線から4バルブヘッド開発へ 1980年代の後半はAMGにとって重要な分岐点だった気がします。もともと、彼らはメルセデスベンツが作ったエンジンをボアアップ、強固な足回りへと改造することに終始[…]
「バケヨンカスタムご存じ?」’70年代のホンダ4発末弟はCB350Four! 1972年6月、ホンダはCB350フォアを発売した。 1969年に衝撃のデビューを果たした世界初の量産4気筒スーパースポー[…]
デザイナーの“眼”は何を捉えたか? 今回紹介するのは、ただのロゴ入りTシャツではない。なんと「数々のヤマハ車を手掛けてきた車体デザイナー本人が描き下ろした」という、正真正銘のデザイナーズスケッチTシャ[…]
浅草の夜が“ロイヤルエンフィールド”に染まる! ピーシーアイ株式会社は、2025年12月20日(土)、東京・浅草の人気カフェ「ORTIGA(オルティガ)」にて、ロイヤルエンフィールド・オーナーを対象と[…]
- 1
- 2







































