![[自分だけのバイク選び] カワサキ エストレヤ ファイナルエディション(2017)〈絶版車試乗レビュー&最新相場情報〉](https://young-machine.com/main/wp-content/themes/the-thor/img/dummy.gif)
●まとめ:ヤングマシン編集部 ●レビュー:大屋雄一 ●写真:飛澤慎 ※レビュー初出記事:2018年6月公開
カワサキ エストレヤ ファイナルエディション[2017] 試乗レビュー
四半世紀売れ続けたロングセラーモデル
レーサーレプリカブーム最盛期の1989年、懐古的なスタイルのゼファー(400)をリリースし、ネイキッドブームを巻き起こしたカワサキ。その3年後の1992年、さらにクラシカルなモデルとして250㏄クラスに登場したのが「エストレヤ」だ。カワサキに吸収合併されたメグロのSG250を彷彿させるスタイルは、1960年代を知るベテランだけでなく若い女性にも支持され、結果的にロングセラーモデルとなった。
そんなエストレヤだが、2017年9月に施行された新排ガス規制により、四半世紀という長い歴史に幕を閉じた。その最後を飾るべく、2017年6月に発売されたのが「エストレヤ ファイナルエディション」だ。カワサキの往年の名車・650RSをオマージュした特別なグラフィックを身にまといながらも、価格は標準カラーの3万8880円高に抑えられた。
【2017 KAWASAKI ESTRELLA FINAL EDITION】主要諸元■全長2075×全幅755×全高1055mm 軸距1410mm シート高735mm 車重161㎏(装備) ■空冷4スト単気筒OHC2バルブ 249cc 18ps/7500rpm 1.8kg-m/5500rpm 変速機5段リターン 燃料タンク容量13L ■ブレーキF=ディスク R=ドラム ■タイヤF=90/90-18 R=110/90-17 ●発売当時価格:57万5640円
牧歌的なエンジン特性
ロングストロークの空冷4ストSOHC2バルブ単気筒は、2014年のモデルチェンジで奇しくもSG250と同じ18psへ。決してパワフルではないものの、シングルらしい明瞭な鼓動感がある。しかもバランサーを採用しているので、スロットルを開ければレッドゾーンの始まる8500rpmまでスムーズに回る。
とはいえ心地良いと感じるのは、5000rpm以下でポンポンとシフトアップしていき、トコトコと街中や峠道を流している時。肩から力を抜いて風景を楽しもうぜ、なんて語りかけてくるような出力特性なのだ。
1974年に登場したカワサキ650RS(W3-A)を彷彿させるカラーリングをまとい、2017年6月1日に発売されたファイナルエディション。キャンディアラビアンレッドと呼ばれる特別なカラーが美しい。
教習所的なハンドリング
ハンドリングは、車体の倒し込みに対して舵角が穏やかに付くという扱いやすいものだ。スロットルのオンオフに対してマシンがスムーズにピッチングし、乗り心地もなかなかいい。ハンドル切れ角が左右40度ずつと大きく、Uターンや小回りがしやすいのもポイントと言えよう。
ブレーキはフロントがφ300mmのシングルディスク、リヤはドラムだ。試乗後半、ドラムブレーキの鳴きが少々気になったが、利き自体には問題がなく、調整で解消できるはず。
【ライディングポジション】シート高は原付スクーター並みに低い735mmで、足着きは非常に優秀。コンパクトだが窮屈感はなく、ハンドル切れ角が大きいので小回りも得意。[身長175cm/体重62kg]
今後は部品供給が心配
最終型の特別カラーともなれば、プレミアムが付きやすい反面、やはり心配になるのがパーツ供給だ。ただし、エストレヤはロングセラーモデルなので、中古パーツは豊富に出回っているし、またカスタマイズしやすいというのも魅力のひとつだろう。
ここまで質感のいい軽二輪はもうラストかも
惜しまれつつも2017年限りで生産終了になったエストレヤ。昨今のグローバルモデルを見慣れていると、カバー類をバフ仕上げとしたエンジンやスチール製のサイドカバーなど、贅を尽くした質感の高さに驚くはず。バブル時代の華やかさを今に伝える、ぜひ手元に残しておきたい名車だ。
[左]前後のスチールフェンダーおよびヘッドライトを支持するフォークカバーをクロームメッキに。[右上]専用の「Kawasaki」立体エンブレム。上面にはファイナルエディションのロゴ(水転写デカール)も。[右中]ボルト留めのスチール製サイドカバーに専用エンブレムを採用。特別色とあいまって質感が高まっている。[右下]パイピングを白とした専用デザインのシートを採用。なお、このシートはキーロックにて取り外し可能だ。
デビュー以来スピードのみだったメーターは、2007年のモデルチェンジで回転計が追加され、合わせて速度計は機械式から電気式へ。アルミのトップブリッジをバフ仕上げとするなど質感は高い。デザインは懐古調ながらもウインカースイッチはプッシュキャンセル式であり、ハザードスイッチも装備。イグニッションキーにはパーキングもある。
66×73mmのロングストローク単気筒はバランサーを内蔵。2007年にFI化されたが、燃料コックはそのまま残された。2014年には出力特性が見直され、最高出力は20→18psへ。フロント18/リヤ17インチのワイヤースポークホイールを採用。ブレーキはフロントがφ300mmシングルディスク、リヤがφ160mmのドラム。マフラーはキャブトンタイプだ。
エストレヤの最新相場情報
※掲載レビュー内容は初出公開(2018年6月)時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。※車両販売情報提供元:ウェビック バイク選び
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