
●文/写真:モトメカニック編集部●外部リンク:向山鉄工
フレーム/スタンドの別体構造と自在キャスター装備で自由に移動できる
向山鉄工のオリジナル製品である「ガレージREVO」は、バイクスタンドに自在キャスターを取り付けることで、スタンドアップしたバイクを前後左右に押して移動できるのが最大の特長。ガレージ内でバイクの位置を変更する際に重宝するが、足まわりのメンテナンスにも重宝する。
その一方で“押して歩ける”ことでメンテナンスに活用できるのもガレージREVOの魅力である。バイクのスイングアームとメンテスタンドの接点に注目してみた。
①スイングアームにボルトで固定したスプールとスタンドのC型フック
②中空アクスルシャフトとスタンドの貫通シャフト
③スイングアーム底面を受けるL字または板状のプレート
上記の3パターンがある。ガレージREVOは①②に対応し、C型フックをスプールに掛けた状態でリヤタイヤを取り外すことができる。
これだけなら一般的なメンテスタンドと同じだが、ガレージREVOはリヤタイヤが外れた状態でも前後左右にバイクを押し歩くことができる。
想定外の部品交換が必要で、スタンド上で亀の子状態になったバイクは邪魔だが、そのまま移動できれば部品待ちの間もガレージを有効に活用できる。サイドスタンドしかないスポーツバイクのメンテナンスにとって、キャスター付きスタンドが強い味方となるのは間違いない。
【ガレージREVO 両持ちスイングアーム用 STDショートタイプ】リヤアクスルシャフトが中空の機種に使用できる、両持ちスイングアーム用ガレージREVO。これとは別にBMWやドゥカティの片持ちスイングアーム用もある。スタンド部分と床面に接地するフレームの構造が別体で、フレームに自在キャスターが付いているのが独創的。この画像にはないが、C型フック仕様として使用する際の部品も付属する。●価格:4万6200円
言うまでもないが、中空アクスルシャフトに貫通シャフトを通してリフトアップした場合、リヤタイヤは外せない。だが安定性はC型フックよりも上。
ガレージREVOスタンドの左右の足にシャフトを通すと、フレーム左側のキャスターは接地するが右側は前のみとなる。
その状態でスタンド後部のハンドルを押し下げると、右側フレームの後輪も接地して車体が垂直になって安定する。一般的なメンテナンススタンドよりトレッド幅が広いため、右側に傾く不安は皆無だ。
軽い力で持ち上げた後にピンロックをセットすれば、移動中にスタンドが外れることはない。
自在キャスターをロックすれば傾斜面でも安心。
フロント用スタンドは中空アクスルシャフトのみ対応
現行スーパースポーツモデルの標準仕様である17インチホイールと幅120mmタイヤに対応して設計されたフロント用ガレージREVO。押し歩きの最中に外れないよう、中空アクスルシャフト車専用なのでフロントタイヤは着脱できず、リヤ用とセットで使用する。ハンドルを切り返すことなく真横に移動できるのは新鮮な感覚だ。
【ガレージREVO フロントスタンド ショートタイプ】 ●価格:3万2120円
リヤ用のガレージREVOは足の高さを8段階に調整できるが、フロントは17インチ車専用なので高さ調整はない。また、先にリヤをセットしてからフロントを持ち上げるので、垂直状態に立った車体に貫通シャフトを通ることになる。
ガレージREVOで前後輪をリフトアップすると、車体の中心を軸にその場で360旋回できる。車体がまっすぐ立った状態なので、狭い隙間も通しやすい。
前後輪にセットすれば真横に平行移動するのも簡単。10年以上に渡る開発と改善の結果は間違いなく画期的。
リヤタイヤを外した状態でも押して移動できるのは驚き!!
ドライブチェーンの清掃と注油は駆動系メンテナンスの基本。中空アクスルシャフトに貫通シャフトを通しても、C型フックでスイングアームのスプールをリフトアップしても、リヤタイヤを回転させるメンテナンスはできる。チェーンオイルをスプレーする際は漫然と塗布するのではなく、ローラーとブッシュ、外プレートと内プレートの間のゴムシールを狙う。
C型フックを使えばリヤタイヤの着脱もできる。ガレージREVOをセットする際、最小リフト量でリヤタイヤが浮き上がるよう足の高さを調整しておけば、復元時にタイヤを高く上げなくて済む。
リヤタイヤを外した状態で“待ち”が発生した際に、ガレージREVOの真価が発揮される。前後に移動できるメンテナンススタンドもあるが、移動を目的としたガレージREVOの自由度には及ばない。
リヤタイヤを取り外すことで、スイングアーム内側やリヤショックまわりの清掃も楽にできる。もちろんリヤホイール自体も、車体に付いたままよりタイヤを外した単体にした方がくまなく清掃できる。
フロントスタンドショートタイプは中空アクスルシャフトに貫通シャフトを通すため、タイヤの着脱を支えるスタンドとしては使えない。ただタイヤは回転するので、ホイールやローター汚れの清掃には重宝する。
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