
筆者が近所のバイクショップでひと目惚れして購入した、ホンダGB250クラブマン初期型。幾度も不動状態だったのをメンテしながら乗っていたようだが、メーターはまさかの481km。キャブのOHだけで、はたして目覚めるのでしょうか?
●文/写真:宮下豊史(モトメカニック編集部) ●外部リンク:キースター(岸田精密工業) 丸中洋行
オーバーホール完了後の初期型用純正キャブレターを車体に装着。初期シリーズはツインキャブ!!
不動状態で近所のバイク屋から引き上げてきたGB250クラブマンですが、走行距離の少なさとその素性の良さを信じ、最低限のメンテナンスのみでエンジン始動できるかのチェックをすることに。まずは、常日頃からモトメカニック編集部が発信している“良い混合気、良い火花”を作ることに専念します。
良い混合気を作るために、キャブレターのオーバーホールから開始。部品の経年劣化をチェックしつつ、外装を外していきます。ゴム類やプラスチックパーツの状態は思いの外良いのですが、フレームのサビの酷さに落胆し、動態確認が取れしだい全バラをすることを決意します。
サービスマニュアルを参考にしただけではキャブレターが外せません。レギュレーターなどの電装パーツを取り外し、エアクリーナーボックスをずらし隙間を作ることで、やっとキャブレターを取り外すことができました。
フロートチャンバー内のガソリンは干からびており、ニカワ状に固着。ドライバーでなめないように丁寧にジェット類を外していきます。これらはキースター製の燃調キットに組み替えます。
スロットルバルブの固着もなく、燃調キットに含まれていないパーツは洗浄だけで再使用できそうなので、ひと安心。エアクリーナーはやや汚れていた程度ですが、新品のNTB製の規格パーツに交換しました。これで“良い混合気”はクリア。部品を車体に組み上げます。
一方で“良い火花”。プラグ/バッテリーを新品に交換し、セルボタンを押したところ、クランクは元気よく回り、火花もバッチリ飛びました。
ガソリンタンクの内部に、軽いサビを確認していたので、これは後日、花咲Gのタンククリーナーでサビ取りをすることにします。燃料はサブタンクからキャブレターに流し入れます。オーバーフローすることなくキャブレター内に収まり、すごろくで言うところの“ふりだしに戻る”にならずにホッと胸を撫で下ろします。
準備も整ったので、いよいよエンジンを始動します。チョークレバーを引き、メインキーをオンに。そして、恐る恐るセルボタンを押します。
「キュルキュル!」バッテリーを新品にしてあるだけあり、力強くセルモーターが回ります。何度もセルを回したところ、エンジンがやや甲高い音で「ブルルン」とかかりました。エンジンからも異音はありません。低走行に偽りはないようです。良い個体に出会い、大満足です。
次はタンク内のサビを取りをし、さらにフレームの粉体塗装/スポークの張り替えなどを予定。作業が進行しだい、『モトメカニック』誌とWEBにて紹介予定です。
プラグホールからオイルを少量垂らしたのち、外側からクランクを手動で回して、焼き付きやサビでクランクまわりが固着していないかのチェック中。問題はなさそう!? 良かった。
外装/エアクリーナー上部の電装部品/ワイヤー類を取り外す。エアクリーナーボックスを後ろにずらすことで、隙間を作ることができてキャブレターの取り外しが楽になる。
フロートチャンバー内には…。もともとはガソリンだったものが、ニカワ状に変質していた。その表現、わかりますか!? キャブクリーナーで漬け置きし、ブラシでこすり洗浄。
ジェット類にも汚れが堆積している様子がわかる。ジェット類はキースターの燃調キットを利用し、新品に交換。その他、再利用するパーツは取り外したのちにキャブクリーナーで洗浄。
GB250クラブマンは初期型のみツインキャブ。左右でスロットルバルブの開き具合が異なる。写真向かって右側のボディは、中速から高速域で機能するキャブ。
キースターが販売する燃調キット。ツインキャブ分をワンセットにパッケージ。左右で構成数や番手が違う。ガスケットも同梱されているので、ユーザーにはありがたいですね。
ニードルバルブ(フロートバルブ) の当たり面を綿棒とコンパウンドで清掃しておいた。ここに小さくてもゴミが堆積してしまうと、面倒なオーバーフロー原因となる。
ボディ各部を洗浄した後に、キースター製燃調キットの真鍮色が美しいジェットやニードル組み込んだ。番手は純正相当を選択。ガスケットももちろん新品に交換した。
ツインキャブをつなぐ「燃料ジョイントパイプのOリング」も燃調キットに同梱されていた。シリコングリスを薄く塗り、滑らせるように左右キャブレターを合体した。
エアクリーナーは、丸中洋行が取り扱う純正と同じ品質を誇る規格部品に交換した。新しい部品には外側の金属製のメッシュが装着されていた。GB後期がそうなのだろう。
バッテリーももちろん新品に交換した。MFバッテリーにするかを悩んだが、まずは純正と同じ開放型バッテリーをチョイス。しっかりと初期充電を行ってから、準備万端で搭載。
プラグも当然新品部品に交換。エンジンへ装着する前に、プラグキャップにセットしてセルモーターを回し、チカチカと火花が飛ぶことを確認した。点火系もバッチリ!!
ガソリンタンクは花咲Gタンククリーナーでサビ取り中。ガソリンはキャブレターからオーバーフローすることなく、フロートチャンバー内に納まってくれた。
キーをひねり、ハンドルのチョークレバーを引き、セルを回す。メンテナンス後は誰もが緊張する瞬間ですね。キュルキュルキュルという音ののち、エンジンがかかった!!
最初はアイドリングを高めにし、安定するのを見守った。エンジンから気になる異音はない。アクセルを開けるとスムーズにタコの針が回くことを確認。いよいよ本格的にレストアすることを決意。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
フレーム/スタンドの別体構造と自在キャスター装備で自由に移動できる 向山鉄工のオリジナル製品である「ガレージREVO」は、バイクスタンドに自在キャスターを取り付けることで、スタンドアップしたバイクを前[…]
レストア/整備/カスタム/販売など絶版車に関するすべての分野でサービスを提供 古いバイクを海外から輸入して販売する場合、車両によって程度の違いはあれ必ず整備が付随する。 元々のコンディション次第ではレ[…]
ポータブル電源で作動する充電器が登場! いつでも必要な時に走行できるよう、常に意識しておかなくてはならないのがバッテリーのコンディション。「そんなの面倒」と思うかもしれないが、バッテリーは時間の経過と[…]
システムキャビネットSC198:アストロプロダクツ収納アイテム史上最大サイズ。ガレージの演出にも効果的なシステムタイプ 工具や道具類の収納に便利なツールキャビネットと勝手が良いワークベンチ、さらにロッ[…]
バイクいじりの教科書として愛され続けるホンダ原付50ccモデル スーパーカブ/モンキー/ゴリラ/DAX/JAZZなど、数あるホンダ50ccモデルで多くのライダーに親しまれてきたのが「横型」と呼ばれるエ[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
フレーム/スタンドの別体構造と自在キャスター装備で自由に移動できる 向山鉄工のオリジナル製品である「ガレージREVO」は、バイクスタンドに自在キャスターを取り付けることで、スタンドアップしたバイクを前[…]
やっぱり「素手」が好き! いきなりですが、筆者はかなりの作業を素手で行っています。ていうか、素手が大好きです。ボルトを回すにしても、工具を持って締め付けるにしても、とにかく手先にダイレクトに伝わる感覚[…]
オークションで購入したシート、2~3cmの裂けたようなキズが… 筆者が某大手オークションサイトで購入した、純正コブラシート。「これでイメージチェンジするぞ! 」と思っていたのだが、購入前に気になってい[…]
ポータブル電源で作動する充電器が登場! いつでも必要な時に走行できるよう、常に意識しておかなくてはならないのがバッテリーのコンディション。「そんなの面倒」と思うかもしれないが、バッテリーは時間の経過と[…]
システムキャビネットSC198:アストロプロダクツ収納アイテム史上最大サイズ。ガレージの演出にも効果的なシステムタイプ 工具や道具類の収納に便利なツールキャビネットと勝手が良いワークベンチ、さらにロッ[…]
人気記事ランキング(全体)
従来の理念をさらに深化させた「Emotional Black Solid」 今回注目したのは、新たなステップワゴン スパーダ専用に用意された、これまた新たなアクセサリー群です。その開発コンセプトは、従[…]
ヤマハXJ400:45馬力を快適サスペンションが支える カワサキのFXで火ぶたが切られた400cc4気筒ウォーズに、2番目に参入したのはヤマハだった。 FXに遅れること約1年、1980年6月に発売され[…]
126~250ccスクーターは16歳から取得可能な“AT限定普通二輪免許”で運転できる 250ccクラス(軽二輪)のスクーターを運転できるのは「AT限定普通二輪免許」もしくは「普通二輪免許」以上だ。 […]
最短2日間で修了可能な“AT小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付を除い[…]
レストア/整備/カスタム/販売など絶版車に関するすべての分野でサービスを提供 古いバイクを海外から輸入して販売する場合、車両によって程度の違いはあれ必ず整備が付随する。 元々のコンディション次第ではレ[…]
最新の投稿記事(全体)
初の3色展開で色鮮やかなラインナップとなった 「シンプル」「コンパクト」「愛らしさ」といった歴代モンキーの不変的な魅力を踏襲しつつ、楽しさをスケールアップした原付二種のレジャーバイク・モンキー125。[…]
B+COM専用キャリングケースをプレゼント! 株式会社サイン・ハウスは、オートバイ用インカム「B+COM SB6XR/ONE」を全国の2輪用品店で購入された方にかぎり、持ち運びに便利なサイン・ハウスの[…]
なぜ大型シートバッグが必要なのか? バイクには様々な種類のバッグを取り付けることができるが、大型シートバッグには、他のバッグにはない魅力がある。 高い積載能力 大型シートバッグは、その名の通り、非常に[…]
Honda E-Clutchに興味津々 バイク漫画『トップウGP』で知られる漫画家の藤島康介さんは、さまざまなバイクを乗り継いできたライダーです。 スポーツバイクを中心にいろいろなバイクを所有していま[…]
フレーム/スタンドの別体構造と自在キャスター装備で自由に移動できる 向山鉄工のオリジナル製品である「ガレージREVO」は、バイクスタンドに自在キャスターを取り付けることで、スタンドアップしたバイクを前[…]
- 1
- 2