ハイパワー化や電子デバイスの進化が止まらない1000ccスーパースポーツで闘ってきたGSX-R1000Rが生産終了(国内および欧州モデル)。さすがのトップパフォーマーも、時代の波には抗えないのか……。新型登場の希望を託しつつ、新世紀に入ってからのGSX-Rの歩みを見てみよう!
●文:伊藤康司 ●写真:スズキ
さらばトップパフォーマー!【スズキGSX-Rを振り返る パート1】大排気量レプリカの先駆け! はこちら
1000cc時代を戦う「No.1 Sportbike」を目指す
21世紀に入り、大排気量スーパースポーツは1000cc時代に突入。大排気量レーサーレプリカの先駆けであるGSX-Rも、トップパフォーマーの誇りをかけて戦列に加わった。そして1000ccスーパースポーツは、80年代のレプリカブームを彷彿させる熾烈な争いを演じ、パワーはもちろんライダーの走りをサポートする電子デバイスの進化も激化した。
そこで今回パート2では、レースのレギュレーション改定や600・750・1000の立ち位置の変化も合わせて、2000年以降のGSX-Rシリーズの歩みを見てみよう。
※文中の最高出力は国内モデルを除き、基本的に欧州向けモデルの数値を表記するが、最高出力は仕向け地によって異なる。
新世紀もGSX-R750でスタート
1990年に自主規制の国内販売バイクの排気量上限が撤廃された。そして1995年の免許制度の改正によって教習所で大型自動二輪免許が取得できるようになり、国内の大型バイクの主軸はナナハンからリッターオーバーへと移行していった。しかしスーパーバイクレースは4気筒の上限750ccは変わらず、市販大型バイクの人気と乖離しつつあった。その影響もありGSX-R750は1998年が国内販売の最終モデルとなり、2000年からは輸出専用モデルになった。
また90年代後半頃からスーパーバイクレースは排気量や重量的に2気筒エンジン車が有利な面も多くなり、スズキも2気筒のTL1000Rをリリースする。しかしレースの主軸は4気筒に置かれ、GSX-R750の進化は止めなかった。ところが2003年にスーパーバイクレースのレギュレーション改定で、4気筒の上限が1000ccに変更。これにより、レースベースとしての役目はGSX-R1000に移行。そして2006年からは以前と逆転し、GSX-R600をベースに750を作ることになる。こうして長くレース界で活躍してきたGSX-R750は、ピュアスポーツマシンへと立ち位置を変えていった。