回転数も大事だが、「急」の付く運転を控えよう
それでは慣らし運転は、具体的にどうすれば良いのか? まずエンジンに対しては回転数の上限を抑えることだが、これは車種によって異なり具体的な回転数はハンドブック(取扱説明書)に記載されている。ドゥカティやカワサキは走行距離で段階的に上げて行き、ヤマハとスズキは1000kmまで一律、という傾向だ。ちなみにホンダは「控えめな運転をする」と具体的な回転数の指示はない……。ホンダに限らず慣らし運転の回転数が定まっていない、もしくは不明な場合は、500kmまでレッドゾーンの回転数の半分、500~1000kmまでレッドゾーンの回転数の7割くらい、という感じだろうか。
小排気量車はともかく、ミドルクラス(600cc~)以上なら、1、2速などの低いギヤで引っ張ったり、タンッタンッと続けざまにシフトダウンしたりしなければ、さほど気を使わなくても回転数の上限を大きく超えてしまうことはないだろう。もちろん「徐々に慣らす」ことが大切なので、急加速や急減速は控えよう(空ブカシもNG)。しかし、制限回転数を一瞬でも超えたらダメ、というモノではないので、極端にゆっくり加速する必要はない。周囲の交通状況に合わせて安全運転を心がけよう。
たまに時間をかけずに慣らし運転を終わらせたいがために「高速道路を1日で1000km走って終了!」といった猛者もいるが、コレはオススメできない。決められた回転数と無理のない負荷の範囲で加速/減速を行い、ギヤチェンジも相応に行わないと、エンジン各部の慣らしがキチンとできないからだ。
それにサスペンションやステム、ピボットなど車体の可動部の慣らしを考えると、路面のキレイな高速道路を巡行するより、街中やワインディングなどさまざまなシチュエーションを走ったほうがシッカリ動かすことが出来て良いだろう。
慣らし運転の回転数は、ハンドブックで確認しよう
写真はカワサキZ900RSのタコメーターだが、取扱説明書で慣らし運転は0~350kmが4000rpm、350~600kmが6000rpm、600~1000kmは控えめな運転、と指示され「慣らし運転を行うと、車の性能を維持し寿命を延ばします」と記載されている。
慣らし運転をやらないとダメ?
前述した通り、現在は機械加工の精度が非常に高くなっているので、慣らし運転をしなくても、それが原因でバイクが壊れる可能性は限りなく少ない。いきなりサーキットをエンジン全開で走っても、おそらくすぐに大きな問題にはならないだろう。
しかし、慣らし運転を行わないと、愛車が持っている本来の性能をすべて発揮することができないかもしれないし、部品の寿命が縮まって長く性能を維持できない可能性もある。
とはいえ、これらが「ほんのわずかな差」でしかないのも事実。ビックバイクなら最高出力が数馬力、最高速度が数キロ下がったところで、本格的なレースやサーキット走行でもない限り、普段乗りやツーリングでは気付かないかもしれない。また近年のスーパースポーツ系は猛烈に高性能なため「普通に走っていれば一生慣らし」と嘆く声があるくらい、高回転まで回せる機会も少ない。
なので「いまどきのバイクは慣らし運転は不要」という意見も理解はできる。しかし、慣らし運転を行うことで愛車がベストな状態を長く発揮できるのは事実なので、ここはライダー各人の判断に委ねられるところだろう。
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