黄色はハイオクと決まっている?!

【Q&A】ハイオク指定のバイクにレギュラー入れても大丈夫?【バイクトリビア001】

ガソリンの価格が高騰する昨今、愛車がハイオク指定だとフトコロに厳しい……と感じているライダーも少なくないだろう。だからといってレギュラーを入れても大丈夫なのか? そもそもハイオクは高性能なバイク向け? なんで多くの輸入バイクがハイオク指定なの? レギュラー指定のバイクにハイオクを入れたらパワーアップするの? そんなモヤモヤを解決しよう!

●文:ミリオーレ(伊藤康司) ●写真:トライアンフ

指定されたガソリンを入れよう!

最初に答えから言ってしまうと「ハイオク指定のバイクにレギュラーを入れるのはNG!」なのだが、まずはその理由を解説。

ハイオクとは、高いという意味のハイと、オクタン価を合体した造語で、「オクタン価の高いガソリン」という意味。ではオクタン価とは何か? というと『ガソリンに含まれる自己着火しにくいイソオクタンの比率』のコト。簡単に言うと、ハイオクは自己着火しにくい=燃えにくいガソリンで、レギュラーは自己着火しやすい=燃えやすいガソリンになる。

……なんとなく「燃えやすい方がパワーが出るんじゃないの?」という気がするが、これはエンジンの設計が関係する。ハイオクが指定されるのは国産車の場合、いわゆるスーパースポーツ系などの高性能バイクが多く、これらのバイクのエンジンは大きなパワーを引き出すために「高圧縮」に設計されている。ところが圧縮が高いとエンジンが吸い込んだ混合気(空気とガソリンが混ざったガス)が、高負荷や高温時には点火プラグの火花ではなく勝手に燃え始めてしまう(自己着火)ことがある。これが「ノッキング」と呼ばれる現象で、パワーダウンするだけでなくエンジンを傷める原因になる。そのため高圧縮なハイパワーエンジンは、自己着火しにくいハイオクを入れるように指定し、それに合わせて設計しているのだ。

「ハイオク」と「プレミアム」は同じもの?

給油ノズル

ガソリンスタンドでハイオクは黄色、レギュラーは赤、そして軽油は緑。これは全国統一ルールだ。 [写真タップで拡大]

少し話がそれるが、ガソリンスタンドの看板や給油機に「ハイオク」ではなく「プレミアム」と表示している場合もあって、少々ややこしい。どちらも同じモノだが、ハイオクは前述の通り造語から生まれた呼称であり、じつは国によってオクタン価の数値や算出法も異なるため、グローバルでは「プレミアム」の呼び名が一般的だ。最近はハイオクとプレミアムを併記しているスタンドや給油機も多い。

無鉛プレミアム ステッカー

国産バイクでハイオク指定の場合は、給油キャップの近くにこれらのステッカーや警告が貼られている。ちなみにレギュラーガソリン指定の場合は、とくに表示がない。現行販売車両の場合、プレミアムかレギュラーかはメーカーのホームページのスペック(仕様)の欄に記載されている場合もある(記載の無いメーカーもある)。また、車両に付属するオーナーズハンドブックには必ず記載あり [写真タップで拡大]

無鉛プレミアム ステッカー
無鉛プレミアム ステッカー

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外国製バイクはほとんどがハイオク指定。なんで?

国産は高性能なハイパワーバイクがハイオク指定で、他の多くのバイクはレギュラー仕様だ。しかし外国製バイクはスーパースポーツやハイパワー車に限らず、小~中排気量のスタンダードモデルやスクーターなどのコミューターまでハイオクに指定されている。ちょっと不思議というか、納得できない感じもあるが、これは海外と日本のガソリンの「オクタン価の違い」が要因だ。

日本のガソリンは、JIS規格によってレギュラー:オクタン価89以上、ハイオク(プレミアム):オクタン価96以上と決まっている。実際に販売されているガソリンは、レギュラーがオクタン価90で(全ブランド共通)、ハイオクはブランドによって異なるが98~100といわれる。

ところが欧州ではガソリンのオクタン価が92/95/98の3種類がある。そして北米は87/89/91の3種類で、欧州と比べるとずいぶん低い感じがする。しかしこれはオクタン価の計測方法が異なるためで、欧州と同じ計測方法に換算するとおおむね92/95/98になり、欧州と変わらない。ちなみに欧州ではもっとも低い92はマイナーで、販売していない国や地域もあるという。

というワケで欧州や北米ではオクタン価95が日本のレギュラー、オクタン価98がハイオク(プレミアム)に相当するため、多くのバイクのエンジンがオクタン価95を基準に設計されている。……というコトは、日本のレギュラーだとオクタン価が足りず、ハイオク指定になるわけだ。

ハンドブック オクタン価

外国製バイクのコーションラベルやオーナーズハンドブックに記載されたガソリンのオクタン価。こちらはトライアンフのスピードトリプルで、オクタン価95以上を指定している。ちなみにインドのロイヤルエンフィールドはオクタン価91以上だが、やはり日本のレギュラーではオクタン価が足りないため、ハイオク指定になる [写真タップで拡大]

「混ぜるな危険」では無いけれど……

さて冒頭で「ハイオク指定のバイクにレギュラーを入れるのはNG!」と記したが、本当に壊れてしまうのか? じつは現行車の中には「ノックセンサー」を備える車両もあり、点火時期などを自動調整してノッキングを防ぐ機構もある。とはいえ本来のパフォーマンスを下げて破損を回避する機能なので、レギュラーでOKという話ではない。そしてノックセンサー非装備のハイオク車はその限りでは無いので、やはりレギュラーはNGだ。

とはいえ、たとえばハイオク仕様のバイクがツーリング先でガス欠になってしまい、仲間のバイクからガソリンを分けてもらおうと思ったらレギュラーだった……みたいな場合は、近場のガソリンスタンドまで十数キロ走るくらいなら、エンジンに負荷をかけずにおとなしく走れば、まず問題はないだろう。

ちなみにガソリンは洗剤とかと違い、ハイオクとレギュラーを混ぜて使っても大丈夫。なのでタンクの中で「レギュラー4:ハイオク6」くらいの割合になれば、オクタン価95以上の外国車でも大丈夫……なハズ。ハイオクはレギュラーより10円くらい高いので、こうすれば経済的ではあるけれど、現実的にはけっこう面倒。毎日、通勤や集配業務で長距離を走るならともかく、ハイオク指定だと(バイクなら)空から満タンにするとレギュラーより200円ほど高くなるけれど、手間と愛車のコトを考えたらハイオクを入れるべきだろう。

そして最後に「レギュラー仕様のバイクにハイオクを入れても大丈夫なのか?」。コチラはまったく問題ナシで、性能が落ちたりトラブルを起こすこともない。とはいえハイオクを入れたからといって、パワーやトルクがアップするわけではないので悪しからず……。


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