
●レポート:緒方誠一 ●記事提供:モーサイ編集部
「お金も時間もありそうなのに、なぜこんな天気の良い日にツーリングにも行かず、用品店に来ているんだろう?」という疑問
都内の某大手バイク用品店の駐輪場にて。今日も「なぜ来ているのかわからない?」ようなバイク乗りたちでいっぱいだ。
バイクに乗り始めた頃の筆者にとって、バイク用品店は最高の暇つぶしスポットだった。なんといってもバイクに関係するモノがいくらでもある。新作ウエア、メッキきらめくカスタムパーツ、そして各々が自慢のバイクを停めている駐輪場。バイク好きにとって、目の保養にもってこいの要素で満たされている。
筆者の二十歳過ぎ、2010年あたりの生活ぶりといえば、余裕や豊かさとは程遠く、バイクと時間はあるが金はなかった。ツーリングなんて、高速代や燃料代が捻出できるはずもなく、ほとんど行けていない。仕方なしに休日は近くのバイク用品店に足を運び、なんとなく空虚な時間を過ごす……そんな日々を送っていたことを思い出す。
そんな筆者が無意味にたむろしていた当時の用品店には、失礼ながら自分以外にも目的なく来店していそうな方々がいた。その層は幅広く、自分のような裸一貫バイク一台といったふうな若者から、最新モデルの最上級グレードに有名メーカーのマフラーを組んでいる、暇を持て余したかのような40代くらいの方など、様々だ。
そんな彼らを見て疑問に感じていたことがある。「お金も時間もありそうなのにココで買い物もせずにいる歳上の方々は、なぜこんな天気の良い日にツーリングも行かず、用品店に来ているんだろう?」と。三十路を超えた今なら彼らの気持ちがわかるかもしれない。様々な事情があるのかもしれない。聞いてみよう、若き日の疑問を解消するために。
ケース1:タイラーさん(57歳 SUZUKI GSX-S1000GT)の場合
還暦間近とはとても思えない風貌で、駐輪場脇のブロックに腰掛けていたタイラーさん。声をかけて見ると少し面食らったような様子でしたが、快く様々な質問に答えてくださいました。
グローブを試着して購入するために来店したタイラーさん。寝過ごして遠くへのツーリングに行けなかったということもあって用品店に。
──(筆者、以下同)今日は何しにこちらへ来ましたか?
えっ!? まぁ、なんだろう……バイク用のグローブを買いに来た、ってところかな。アパレル用品はネットじゃサイズ感が分からないからね、実物を試着しに。
──目的あって来店されたんですね。今日は天気が良い土曜日ですが、ツーリングではなく、冬支度を優先されたというところでしょうか?
……いや、正直に言うとね、寝坊しちゃったんだよ(笑)。本当ならばツーリングにでも出かけようかと思っていたんだけど、昼過ぎに起きちゃって……。それで仕方なしに、目的を作って用品店に来た。
ここにはキッチンカーのホットドッグ屋さんが来ていることを知ってたから、お昼ごはんも兼ねている。今日はこれから横浜の方でもグルっと回って帰ろうかな。普段は2週間に1回くらいのペースでツーリングしているよ。こないだは九十九里浜に行ったかな。(続きは下記リンクへ)
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
モーサイの最新記事
仕事を通じてわかった、足を保護すること、足で確実に操作すること 今回は、乗車ブーツの話をします。バイクに乗る上で、重要な装備の一つとなるのが乗車ブーツです。バイクの装備といえばヘルメットやジャケット、[…]
【燃料タンク容量考察】大きければ良いってもんではないが、頻繁な給油は面倒だ 当たり前の話ではあるけれど、燃費性能とともに、バイクの航続距離(無給油で連続して走れる距離)に関係してくるのが、燃料タンクの[…]
バイクいじりで手が真っ黒、そんな時どうしてる? バイクいじりにつきものの、手の汚れ。 特に、チェーンのメンテナンスやオイル交換など、油を使った作業となるとタチが悪い。 ニトリル手袋やメカニックグローブ[…]
松戸市〜成田市を結ぶ国道464号の発展 かつて、千葉県の北総地区は高速道路のアクセスが今ひとつ芳しくなかった。 常磐自動車道・柏インターや京葉道路・原木インターからもちょっとばかり離れているため、例[…]
創業100年を迎えた青島文化教材社「草創期から異端派だった?」 中西英登さん●服飾の専門学校を卒業するも、全く畑違い(!?)の青島文化教材社に2000年に入社。現在に至るまで企画一筋。最初に手がけたの[…]
最新の関連記事(ツーリング)
芦ノ湖スカイラインとは? バイク乗りに人気の理由 富士山の麓に点在する富士五湖のひとつ、芦ノ湖は箱根の人気観光地ですが、湖の西側の尾根に沿って通じているのが芦ノ湖スカイラインです。 全長約10.7km[…]
霊山を巡る中部日本トライアングルルート 「日本三霊山ラリー」は、古来より日本の山岳信仰の対象とされてきた富士山、立山、白山の3つの頂を巡るツーリングラリーだ。このルートは「中部日本トライアングルルート[…]
多忙なライダーに送る、半日の自由を快適に! 今回発売するのは、『一日をかけてツーリングに行くことができないライダーに「半日」でも息抜きのツーリングに行っていただきたい!』をコンセプトにハーフデイツーリ[…]
地域の課題をライダーが解決 舞台となるのは、兵庫県北部の養父市と朝来市にまたがる日本遺産「鉱石の道」だ。ここは、かつて日本の近代化を力強く支えた鉱山の史跡群が点在する、歴史ロマンあふれるエリア。しかし[…]
地図上で、走りたい道にドラッグ&ドロップでルートを編集可能に 「ルートアレンジ」機能とは、スマホ向け『ツーリングサポーター by NAVITIME』にてルート検索後に、ドラッグ&ドロ[…]
最新の関連記事(モーサイ)
仕事を通じてわかった、足を保護すること、足で確実に操作すること 今回は、乗車ブーツの話をします。バイクに乗る上で、重要な装備の一つとなるのが乗車ブーツです。バイクの装備といえばヘルメットやジャケット、[…]
【燃料タンク容量考察】大きければ良いってもんではないが、頻繁な給油は面倒だ 当たり前の話ではあるけれど、燃費性能とともに、バイクの航続距離(無給油で連続して走れる距離)に関係してくるのが、燃料タンクの[…]
バイクいじりで手が真っ黒、そんな時どうしてる? バイクいじりにつきものの、手の汚れ。 特に、チェーンのメンテナンスやオイル交換など、油を使った作業となるとタチが悪い。 ニトリル手袋やメカニックグローブ[…]
松戸市〜成田市を結ぶ国道464号の発展 かつて、千葉県の北総地区は高速道路のアクセスが今ひとつ芳しくなかった。 常磐自動車道・柏インターや京葉道路・原木インターからもちょっとばかり離れているため、例[…]
創業100年を迎えた青島文化教材社「草創期から異端派だった?」 中西英登さん●服飾の専門学校を卒業するも、全く畑違い(!?)の青島文化教材社に2000年に入社。現在に至るまで企画一筋。最初に手がけたの[…]
人気記事ランキング(全体)
北米レブル300にEクラッチ仕様が登場 ホンダEクラッチが世界戦略進行中だ。欧州で人気のグローバル車・CBR650R/CB650Rを皮切りに、日本では軽二輪クラスのベストセラーであるレブル250に搭載[…]
乗ってみた! APトライク250 やっと乗るチャンスがやってきました。APトライク250を作った、株式会社カーターさんのご協力によるものです。ありがとうございます! 以前は同様にAPトライク125も体[…]
最新Z900/Z500らに共通する3眼LEDヘッドライトやファットバーを採用してデザイン刷新 カワサキは欧州で、2026年モデルとして新型車「Z650 S」を発表。つい最近、スタンダードの「Z650」[…]
世界初公開の2機種はいずれもモーターサイクル カワサキが発表したジャパンモビリティショー2025出展モデルで確定しているのは、日本初公開となる「Z1100 SE」、スーパーチャージドエンジンを搭載した[…]
新型CBは直4サウンドを響かせ復活へ! ティーザー画像から判明したTFTメーターとEクラッチ搭載の可能性 ホンダは中国がSNS『微博』にて、新たなネオクラシックネイキッドのティーザー画像を公開したのは[…]
最新の投稿記事(全体)
90年代の魂を注入! アールズギア×TSR「ネオクラシック・レベリオン」 CB1000Fコンセプトを大胆にカスタムした「Neo-Classic Rebellion CB1000F Concept Mo[…]
F1の英雄アイルトン・セナとドゥカティから続く熱い絆 セナとバイクのつながりが最初に報道されたのは、おそらく1990年のことでしょう。当時、ドゥカティのオーナーだったクラウディオ・カスティリオーニが8[…]
2023年ローンチのSmaChariシステムがさらに広がる! いつか自転車通学を楽にするものをつくりたい……。そんな想いでホンダの若手エンジニアが立ち上げた「SmaChari」は、自転車を電動アシスト[…]
防水・防寒性能も万全。オールシーズン対応のスタイリッシュパーカ:MOBLAST WP JACKET 街の景色に溶け込むことを意識した、スタイリッシュな防水パーカ。メイン生地に防水メンブレンとソフトシェ[…]
最新Z900/Z500らに共通する3眼LEDヘッドライトやファットバーを採用してデザイン刷新 カワサキは欧州で、2026年モデルとして新型車「Z650 S」を発表。つい最近、スタンダードの「Z650」[…]
- 1
- 2