![“電動原付”ホンダEM1 e:[新型レビュー] 公道試乗で、クラスを超えた走りの良さに新時代を感じた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/11/th_A7C05177.jpg)
●文:モーサイ編集部(山本晋也) ●写真:北村誠一郎 ホンダ
ホンダ EM1 e:のデザイン/装備:質感は普通の50ccスクーターよりワンクラス上
2023年5月にホンダが発表した、同社として初の一般ユーザー向け電動スクーター「EM1 e:」。楽しみにしていた公道でのテストライドをする機会に恵まれました。ホンダが推進している交換式リチウムイオンバッテリー「Hondaモバイルパワーパックe:」と、インホイールモーターによる電動パワートレインを与えられたEM1 e:の走りはどのようなものだったのか、さっそくお伝えしようと思います。
あらためてEM1 e:の外観からチェックしてみましょう。門のようにシグネチャーで囲われたヘッドライトをはじめ、灯火類にはすべてLEDを採用。シンプルなデジタルメーターは電動パーソナルモビリティらしいムードを高めています。
スタイリングのコンセプトは「シンプル&クリーン」。フレンドリーさを狙ったということですが、フロントに12インチタイヤを履き、ディスクブレーキを採用していることもあって安っぽさはありません。
EM1 e:は原付一種(いわゆる50ccクラス)の電動スクーターですが、パッと見には原付二種と思わせるほどの立派さがあります。
ホンダ初の一般ユーザー向け電動2輪車「EM1 e:」。原付一種のスクーターで、2023年8月24日発売。車体色はパールサンビームホワイト/デジタルシルバーメタリックの2色をラインアップ。
ホンダ EM1 e: 価格は29万9200円となっているが、車両本体15万6200円/バッテリー8万8000円/充電器5万5000円という構成で、個別に購入することも可能。
ホンダ EM1 e:の走行性能:ダイレクトかつレスポンスのいいスロットル反応
後ろから見ると排気系が存在しないのは当然ですが、リヤホイールがメカメカしく重量感のあるものとなっています。これはEM1 e:が駆動系としてインホイールモーターを採用しているから。ホイール自体をモーターとすることで、変速機によるエネルギーロスを減らすことができ、レスポンスを向上させられるのがメリットです。反面、ダイレクト駆動ということで、減速による駆動量のトルクアップが難しいというデメリットもあります。
そして、EM1 e:に採用されたインホイールモーター・EF16M型のスペックは、定格出力0.58kW/最高出力1.7kW/最大トルク90Nmとなっています。定格出力は原付一種の上限が0.60kWなので妥当として、最高出力は原付一種としてみても低く感じます(1.7kW=2.3ps)。最大トルクは一見すると大きく見えますが、減速比を勘案した“駆動トルク”でいうと、原付一種エンジン車でも100Nmは超えますから、やはり力強いとはいえません。
インホイールモーターで後輪を駆動。リヤサスペンションは一般的なスクーターで定番のユニットスイングではなく、スイングアーム式。
フロントタイヤは12インチ(多くの50ccスクーターは10インチ)。フロントブレーキは190mmシングルディスク。
性能数値以上に余裕のある走り!
はたして、EM1 e:の公道初走行の感想は、「すべてに余裕がある」というものでした。
モータースペック的には、エンジン車の原付スクーターと比べて見劣りするのは事実ですが、インホイールモーターによるダイレクト感と、スロットルに対する反応の適切さが、そうしたネガを完全に打ち消しています。
EM1 e:には、スタンダードとECON(イーコン)という2つのライディングモードが用意されていますが、スタンダードで走っているかぎり、原付スクーターとして加速が鈍いという感じはありません。
このように表現すると、「回り始めに最大トルクを発生できるというモーターの特性から、発進加速が鋭いだけでしょう」と思ってしまうかもしれませんが、そういう意味ではありません。
むしろ発進時はマイルドに仕上げてあって、走り出してからの中間加速にモーターらしいダイレクトさやレスポンスを感じられるのです。原付スクーターというのは、普通自動車免許でも運転できますし、初心者が乗る機会も多いモビリティです。そうしたユーザー特性を十分に意識したセッティングになっているといえるでしょう。
初心者や普段バイクに乗らない人でも扱いやすいように、リヤ(左)ブレーキ操作でフロントブレーキも作動するコンビブレーキも採用されている。
ここで誤解してほしくないのは、EM1 e:の走りは決しておとなしいわけではないことです。前方に路上駐車しているクルマが突然ドアを開けたようなシチュエーションでは、危機回避としてスラローム的な走りをすることもありますが、そうした動きをしたときの安定性は、原付スクーターとは思えないレベルとなっています。
また、急制動をかけたときの安定感も抜群。バッテリーをシート下に積んでいることやインホイールモーターを採用していることにより、後輪荷重がかかっているので、フルブレーキングでも前後輪がしっかり接地しています。この感覚は、エンジン車ではなかなか味わえない新鮮なものでした。
ECONモードを選ぶと、最高速度は30km/hに制限され、そこまでの加速も明らかに絞られた印象となりますが、住宅街などを走るのであれば、むしろ好ましいといえるフィーリングとなっています。
というわけで、公道走行の第一印象は非常によいものでしたが、実際に購入検討する上で気になるのは実用性でしょう。
右スイッチボックスに、スタンダードモードとECON(マイルドな走行感かつ省電力となるモード)の切り替えスイッチがある。
シンプルな円形のメーターユニット。液晶内には速度計/バッテリー残量を大きく表示、オド/トリップ/時計は切り替えで表示できる。液晶上部は走行モードと速度警告灯のインジケーター。
ホンダ EM1 e:の航続性能/機能性:“電費”はバッテリー10%で4kmぐらいだった
前述したように、交換型バッテリーをシート下に搭載する関係から、メットインスペースはありません。小物を入れることはできますが、ヘルメットの収納については、リヤボックスを付けるか、持ち歩くかしなさそうです。
それよりも気になるのは航続性能でしょう。カタログスペックでは30km/h定地走行で53kmとなっています。定地走行の数字が実用的な航続可能距離を示していないというのは、多くのライダーであればご存知でしょう。
ホンダの発表している参考値でいえば、欧州のWMTCクラス1モードで走ると、30kmを走行するのにバッテリーの80%を使うということです。EM1 e:はバッテリー残量が20%を切ると、最高速度などを抑えたライディングモードに切り替わる仕様となっているので、バッテリーを使い切るまで走るとトータル41.3kmの走行が可能ということになっています。
そうはいっても「カタログスペックやモード走行は参考にならないよ」と思うかもしれません。しかし、それはエンジン車の感覚であって、電動車両というのはタイヤの数にかかわらず、意外なほどWMTCモード値に近い走りが可能なものです……
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
モーサイの最新記事
車両の種別と免許の関係が複雑な「あの乗り物」 1.信号無視車両を停止させる 白バイ新隊員としてひとり立ちし、しばらく経った頃の話です。その日も私は、交通量の多い国道で交通取り締まりをしていました。交差[…]
今も勘違いが多いかも!? 「新基準原付」を詳しく解説 「新基準原付」が設けられることになった背景は 2025年4月1日から施行される新たな区分「新基準原付」が導入されるもっとも大きな理由は、新しい排ガ[…]
ライター中村(左)とカメラマン柴田(右)で現行と初代のGB350を比較 予想以上に多かったGB350の初代と2代目の相違点 「あら、エンジンフィーリングが変わった?」2025年9月、車種専門ムック「G[…]
新基準原付とホンダ「Lite」シリーズ 皆さん既にご存知のことかと思いますが、新基準原付とは2025年4月1日から新たに設けられた原付一種の区分で、排気量50cc超125cc以下、かつ最高出力が4.0[…]
十分な軽さ、しかし失っていないビッグ1的な貫禄 2025年2月28日に発売され、6月30日に受注終了となったファイナルエディションでCB1300シリーズが終止符を打った。ホンダのビッグ1シリーズ的なも[…]
最新の関連記事(新型EV/電動バイク)
兄弟車の「EM1 e:」よりも約10万円安い! ホンダは、原付一種の電動二輪パーソナルコミューター「ICON e:」を発表した。発売は2026年3月23日を予定しており、バッテリーと充電器を含めて22[…]
ホンダのバッテリーシステムを使った電動二輪車・ヤマハ「JOG E」 電動二輪車はもちろん、ポータブル電源や農業ロボット、投光器、小型建機などの使用実績がある着脱可搬バッテリー「Honda Mobile[…]
モーターは独自開発のホイールサイドタイプを採用 ホンダは、タイおよびベトナム向けにICE(内燃機関)の110ccクラスに相当する動力を備えた電動二輪パーソナルコミューター「Honda UC3」を発売す[…]
機敏なスポーツモードと安定感のある旋回性能 ʼ25年の全日本ロードレース選手権では、J-GP3クラスで自己最高のシリーズランキング3位を獲得。応援ありがとうございました!! このシーズンオフは、「奥の[…]
電化政策は失敗したが、静かに浸透するEV二輪車 かつてEICMAをあげて後押ししていた電動バイクたちは、いま会場にはない。代わりに中国ブランドやインドブランドが台頭し、かつて電動バイクブランドやそれを[…]
人気記事ランキング(全体)
簡単取り付けで手間いらず。GPS搭載でさらに便利に バイク用品、カー用品を多数リリースするMAXWINが開発したヘルメット取り付け用ドライブレーコーダー「MF-BDVR001G」は、ユーザーのニーズに[…]
型崩れを防ぐEVA素材と整理しやすい内部構造 布製のサドルバッグにおける最大の欠点は、荷物が入っていない時に形が崩れ、見た目が損なわれることにある。しかし、本製品はマットフィルムとEVAハードシェル素[…]
スーパースポーツの魂を宿した優美なる巨躯「CB1000F」 ホンダのプロダクトブランド「CB」の頂点として君臨する新型CB1000F。その最大の魅力は、なんといっても歴代CB750Fを彷彿とさせる流麗[…]
初代バットサイクルはヤマハの250バイクがベース 今回ご紹介するのは1966年に全米で放送されたバットマンのテレビドラマシリーズに登場したバイク。その名も「バットサイクル」と呼ばれる側車付きバイク、い[…]
YKKと組んだ“固定力革命”。ねじれに強いPFバックルの実力 今回のシェルシリーズ刷新で最も注目すべきは、YKKと共同開発したPF(ピボットフォージ)バックルの採用だ。従来の固定バックルは、走行中の振[…]
最新の投稿記事(全体)
伝説のヨンフォアを凌駕するX字にクロスしたエキパイが輝く最高峰のプライド! 1981年の終わりに近い11月、ホンダはCBX400FというCBに「X」を加えた新機種をリリース、その内容はまさにありったけ[…]
開幕戦タイGPを前に WRCで大活躍している勝田貴元選手と食事をしました。彼は’24年からモナコに住んでいるんですが、なかなか会う機会がなかったんです。実はMotoGPもかなり好きでチェックしていると[…]
1992年モデル:新世代のホンダロードスポーツ 滑らかな曲線と面で構成された、力強くボリューム感のある18Lの燃料タンク形状に、独立したサイドカバー、そして躍動感ある跳ね上がり気味のリアカウル。すっき[…]
色褪せない魅力で進化を続ける「CT125ハンターカブ」 スーパーカブシリーズのなかでも、ひときわ異彩を放つアウトドアマシン「CT125ハンターカブ」。2020年の登場以来、その人気は留まるところを知ら[…]
華やかなパレードの裏に隠された「究極の即応性」 皇宮警察は、天皇皇后両陛下をはじめとする皇室の護衛や、皇居などの警備を専門とする警察組織である。彼らの任務において、ひときわ異彩を放っているのが側車付き[…]
- 1
- 2


![ホンダ EM1 e:|“電動原付”ホンダEM1 e:[新型レビュー] 公道試乗で、クラスを超えた走りの良さに新時代を感じた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/11/th_A7C05060-768x512.jpg)
![ホンダ EM1 e:|“電動原付”ホンダEM1 e:[新型レビュー] 公道試乗で、クラスを超えた走りの良さに新時代を感じた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/11/th_HONDA-EM1-e_008-768x512.jpg)
![ホンダ EM1 e:|“電動原付”ホンダEM1 e:[新型レビュー] 公道試乗で、クラスを超えた走りの良さに新時代を感じた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/11/th_A7C04929-768x512.jpg)
![ホンダ EM1 e:|“電動原付”ホンダEM1 e:[新型レビュー] 公道試乗で、クラスを超えた走りの良さに新時代を感じた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/11/th_A7C04954-768x511.jpg)
![ホンダ EM1 e:|“電動原付”ホンダEM1 e:[新型レビュー] 公道試乗で、クラスを超えた走りの良さに新時代を感じた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/11/th_A7C05189-768x511.jpg)
![ホンダ EM1 e:|“電動原付”ホンダEM1 e:[新型レビュー] 公道試乗で、クラスを超えた走りの良さに新時代を感じた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/11/th_A7C04994-768x512.jpg)
![ホンダ EM1 e:|“電動原付”ホンダEM1 e:[新型レビュー] 公道試乗で、クラスを超えた走りの良さに新時代を感じた](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/11/th_A7C05272-768x512.jpg)
































