●レポート:関谷守正 ●写真:ホンダ/八重洲出版 ●記事提供:モーサイ編集部(上野茂岐)
ダックス/エルシノア/CB900FやTN360を描いた男
19歳で本田技術研究所にデザイナーとして入社した森岡實さん。当時、創業から10年を超えたばかりのホンダはまだまだ発展途上で所帯も小さく、二輪や四輪、耕運機、発電機までの全製品をたった7人のデザイナーで回していた。
しかも当時のホンダの商品デザインには、自称「デザイン係長」と言っていた社長の本田宗一郎さんが多大なる影響力を与えていたのである。1957年のC70に採用された、いわゆる「神社仏閣」と言われる角ばったデザインは本田さんによるものだ。
「初めて見たときは、とにかく四角いのは凄いなと思いましたね。でも、シルエットをよく見ると(ドイツの)NSUにも似ていて、僕にとってはC70は四角いNSUという印象でした。本田さんは何でも四角っぽいのが好きでしたね」
アメリカが要望した「大きなモンキー」が最終的にダックスとなった
そして、ダックスのあの形は入社数年、若干20代半ばの森岡さんと、造形にこだわっていた本田さんの関係から生まれてきたと言ってもいいだろう。当初、ダックスはアメリカで大ヒットしたモンキーの兄貴分として企画された。スーパーカブの前傾エンジンを使ったモンキーは、小さいながらも二輪としての基本構成を持った初めてのミニバイクだった。
それが大ヒットの理由のひとつであり、当時のアメリカでは子供へのクリスマスプレゼントとしてもウケた。そこで、もう少し大きめのモデルを出して、大人にも乗ってもらおうと考えたのだ。
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