●リポート:和田 稔 ●写真:八重洲出版 ●編集:モーサイ編集部(上野茂岐) ※当記事は『モーターサイクリスト1986年3月号』『別冊モーターサイクリスト1987年8月号』の記事を再編集したものです。
GPZベースのエンジンを搭載したアメリカン
2023年春に突如として復活を遂げたカワサキ エリミネーター(400cc)だが、エリミネーターシリーズは最初に1985年型として「エリミネーター」が登場(900cc、輸出専用車)。続いて、1986年型としてエリミネーター750、エリミネーター400が、1987年型としてエリミネーター250が国内モデルとして登場した。
それらはいずれも当時の最新スポーツモデル GPZシリーズのエンジンを低く長い車体に搭載。ドラッグマシンのようなスタイルであり、「パフォーマンスクルーザー」をコンセプトに、カワサキは新ジャンルを開拓しようとしていた。
クルーザー(その当時はアメリカンと呼ばれることが多かったが)でありながらスポーティ。GPZ400Rベースの水冷並列4気筒エンジンを搭載するエリミネーター400、同車がデビューした1986年に書かれた試乗レポートを見ると、どのような評価をすべきか、戸惑っている様子が見受けられる。それこそ、当時、エリミネーターがいかに斬新なモデルだったかの証左と言えるだろう。
というわけで、以下『モーターサイクリスト1986年3月号』に掲載された初代エリミネーター400の試乗レポートを振り返っていこう。
ゆとりあるポジション
エリミネーター400のスタイリングは、アメリカンのようでアメリカンではない。ロードスポーツとも言い切れない。あえて言えば、ドラッグレーサーの雰囲気。デザインポリシーは、低く、長く、スマートに……。そして、まったく新しい異次元のスポーツバイクを狙ったものだ。
車格は、ひと目見ただけでは、とても400ccとは思えない。それほど重厚なスタイリングをしている。大きく見せている要因は、1550mmという並のナナハン以上の超ロングホイールベースと、150/80-15という極太のリヤタイヤだ。
しかし、ポジション的には大きさを感じさせない。なにしろ足つき性がよく、両足のカカトまでべったりとつき、ひざにも余裕ができるほど。ハンドルの位置も高すぎず、低すぎず、手を伸ばすとそこにハンドルがあるといった感じ。いかにもツアラーらしい、ゆったりとしたポジションが得られる。
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