●レポート:山本晋也 ●写真:住友ゴム工業/八重洲出版 ●記事提供:モーサイ編集部
環境的にも天然ゴムをできるだけ有効活用したいから
タイヤというとバイクには欠かせない工業製品です。しかしながらタイヤは農産物ともいえます。なぜなら、その名も「ゴムの木」の樹液から取れる天然ゴムが、タイヤの素材として使われているからです。
もちろん天然ゴムをそのままタイヤのカタチに成形しているわけではなく、天然ゴムと硫黄を混ぜて熱を加えることで「弾性限界」(物体に加えた外力を取り除いたあと、もとに戻らなくなる限界)を上げるという工程は必須です。この工程のことを「加硫法」といいますが、これは19世紀にアメリカで発明された方法です。これによって強くて弾力のあるゴムが作れるようになり、現在のタイヤにつながる技術が発展してきました。
いずれにしても、天然ゴムは今でもタイヤに必須の素材となっています。さらにカーボンニュートラルのトレンドが加速していますから、石油由来の合成ゴムは使いづらくなってきています。天然ゴムをいかに有効活用するかは環境とモビリティの共存からも非常に重要です。
天然ゴムが農産物ということは、いわゆる不作といわれるような状況になる可能性があるということです。さらにゴムの木が樹液を出すようになるには4~7年ほどかかりますから、すぐに増産するということも難しいのです。タイヤのニーズに合わせて天然ゴムを安定確保することは、どのタイヤメーカーも苦心しているポイントといえます。
そんな状況に、一筋の光が差し込んでいます。
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