ゴミ同然のブレーキも丸ごとクリーンナップ! 超音波洗浄はマジ凄いんだってばよ【自分でメンテおすすめツール】
「ゴミ認定」されたブレーキ一式は復活できるのか?
超音波洗浄機の可能性を追及しています。スゴいのよ、便利なのよ、超音波洗浄機。今回のターゲットは「ブレーキ」!キャリパーもマスターシリンダーも表からは掃除できない箇所ばかりですが、これこそ超音波洗浄の得意分野なのです。
てことで、今回掃除したいブレーキがこちらです。
見た目がボロいですが、それ以上に問題なのが・・・「まったく動かない」のです。ブレーキレバーを握ってみても、まるで溶接してるかのようにまったく動かない。そして、当然のごとくキャリパーのピストンも動く気配がありません。
スライドピンなども腐食はしていたものの、幸いなことに苦戦しながらなんとか分解はできました。
マスターシリンダーの中身はこんな感じ。
ブレーキフルードなんか、とっくに化石化しちゃってミニチュアの採石場みたいな有様。ここに針穴のような小さい穴があるはずなんだけど、完全に埋没しちゃってます(マジかー)。ブレーキキャリパーもこの状態。
ピストンが動かない。特殊工具でも圧縮空気でもテコでも動かない有様。マスターシリンダーの状態から鑑みると、このキャリパーの中身も相当ひどい状態になってるのが容易に想像できます。・・・こうなったらもう、もう超音波洗浄に賭けてみるしかない!
超音波洗浄を二段階に分けてみる
内部に細い通路を持つ構造のマスターシリンダーとブレーキキャリパーは当然ながら表からの掃除は限界があるので、もう超音波洗浄機しか頼る道具はありません。マジで頼むよ!!
今回は汚れ以前に固着がひどいので超音波洗浄を2段階に分けてみました。
1回目は超音波+加温で柔らかくして固着の解除だっ!
※超音波洗浄のメカニズムについて
ここでまずは、超音波洗浄のメカニズムについて簡単におさらいしておきます。超音波洗浄の原理は、液体内で微小な気泡(超音波)を発生させて、それが瞬間的に崩壊する「キャビテーション」という現象を利用しています。この気泡の崩壊が生み出す強力なエネルギーが、物体の表面や細かな隙間に入り込んで、汚れを剥がし取ります。これが超音波洗浄で物をキレイにする原理です。
もともと超音波洗浄は汚れを分解して落とす道具ではありますが、これに加温機能がある機種ならば、固まってしまったものを熱で柔らかくして、そして超音波で分解するということが可能になります。それが今回の狙いなのですよ!
分解したブレーキの部品を超音波洗浄機に付け込んで、80度の高温に設定して30分間超音波洗浄してみます。使った洗剤は食器洗い洗剤ですが・・・30分後にはこんな状態に!
どす黒いドロドロした液体になっちゃってます
取り出したブレーキキャリパーがこちら。
洗浄前とは別物のように汚れが落ちてますね。そして気になるピストンは・・・圧縮空気で簡単に「ボンッ!」と取れました!!
簡単で外れちゃって拍子抜けするぐらい。だけど、あれだけ専用工具でグリグリ回そうとしても外れなかったピストンが一発で取れちゃいました。すごいね、効果てきめんじゃん。
温めて、柔らかくして、そして超音波のチカラで汚れを粉砕。まさかこれほどの威力があるとは・・・。
続きましてマスターシリンダーですが、こちらのプライマリーピストンもあっさり抜けました!
こうなると予想はしていても目の当たりにすると筆者もびっくり。まじか、すげーな、超音波洗浄!
第二弾は超音波+洗剤で汚れを落とす
部品が外れたことで全バラにできたブレーキキャリパーとマスターシリンダー。
やっと内部の状態を知ることができました。といっても、もうこの時点でかなり汚れが落ちてはいるものの、でもやっぱりまだまだ汚れが残ってます。
マスターシリンダーは、さっきまで積もっていた固形物は流れたものの、やはり内部の細い通路が詰まってる模様。当然ながらこのままではマスターシリンダーの機能を果たしません。
ってことでここからは第2ラウンド。部品全体に液体が行き渡るようになったはずなので本格的な洗浄作業に入ります。温度は60度、洗剤は中性洗剤を使って、タイマーを30分にセットしました。「ちーん」と鳴って洗浄終了!
2回目の洗浄なのでそんなに汚れが出ないかと思いきや、ご覧の通りの真っ黒っぷり。ていうか、まだこんなに汚れが詰まってたのね! これは結果が期待できるというもの。
仕上げ洗いとして、部品のひとつひとつを表からブラシで洗ってやります。
いくらか汚れが残っていたのですが、すでに2度にわたる超音波洗浄でかなり柔らかくなっているから、とくに力を入れることなく軽くこするだけで汚れがほとんど落ちてしまいました。超音波洗浄は基本的に放置するので、実質自分の手で洗ったのをこれだけだったのですが。
まず、ブレーキパッドはこんな状態に! 表面だけでなく溝の中の汚れも落ちたので控えめに見てもかなり新品よりの見た目になってます。
バックアップスプリングやゴム部品も綺麗になりました。形状が複雑でも汚れが落ちるのは本当にありがたい。
バンジョーボルトもご覧の通り!表面だけでなくボルトの内部の通路も綺麗になってます。残ってた汚れは圧縮エアで吹っ飛びました♪ そして・・・ブレーキキャリパーとピストンはこんなに綺麗になりました。
如何でしょう?
以前は灯油に浸け込んでスチールウールや歯ブラシ洗えるブラシを使ってゴシゴシ磨いたものですが、今回は超音波洗浄であらったあとに古歯ブラシと中性洗剤でかるく洗っただけでこの輝きっぷりですよ。
・・・以前のあの苦労は一体何だったのでしょうか?? そしてあんな悲惨な状態になっていたマスターシリンダーは御覧の通りっ!!
凄い、スゴい。怪しい通販CMのような汚れの落ちっぷりですが、これはヤラセなしのガチの結果です(筆者もマジで感激しております)。
ゴミ同然だったブレーキがこんなにキレイに!
ここまで綺麗になっちゃえば後は簡単。
カップやシール類をすべて新品交換して組み立てれば…
マスターシリンダー完成! レバーを動かしてみると、まるで新品のように滑らかに動いてくれます(これがまた気持ちイイのなんのって)。
グリスを塗ってオイルシールを組み付ければ
ブレーキキャリパー完成!!
挿入した後のピストンを動かしてみるとこちらもとても滑らかに動いてくれます(これ以上ないぐらいの出来栄えに思わず拝みたくなっちゃいます)。
超音波洗浄マジでおすすめです。
いかがでしたでしょうか? ひとつひとつの工程を解説してるので一見長く感じますが、実際の超音波洗浄の工程は、水入れて洗剤入れてあとはタイマーをセットして放置しておくだけなので、実質的な作業のほとんどは「放置」です。
手間的には少ないのですが、だけど超音波のパワーで奥の奥まで掃除してくれるので、手作業で掃除するよりも数段レベルの高い掃除ができます。マジですごいです、超音波洗浄機!
この記事を読んでくれた方が少しでも興味を持っていただけたらとても嬉しいです。これはマジで便利です。これからも、超音波洗浄の啓蒙活動を続けますよ~!
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