約5万円から楽しめる日本最果ての旅! 五島列島 福江島の魅力とオトクにツーリングするためのポイントを紹介

  • [CREATOR POST]山崎陸

最果て、端っこ、海岸線。さすらい系バイカーはこうした目的地に眼がないものです。

長崎県五島市福江島には”辞本涯の碑”と呼ばれる遣唐使にまつわる石碑が立っています。「本邦の涯を辞す」、つまり「我が国の最果てを去る」という意味で、かつて遣唐使が中国にわたるときの最後の寄港地だったことを示しています。

五島列島は釣り人の聖地ともいわれますが、その1つである福江島は最果てかつ海岸線1周をぐるっとツーリングできるちょうどいい大きさ。そう考えるとバイカーにとっても聖地なのかもしれません。

つまりアウトドアもバイクも大好きな私向けの観光地ということ。去る2024年のゴールデンウィークに行ってきたので、今回は日本の最果てツーリングスポットを紹介するとともに、費用を抑えるポイントを実体験から解説します。最果てにはセンチメンタルになる条件が整いすぎている…。

最果ての地 福江島には船か飛行機で行ける

福江島にいく方法は大きく分けて2つあります。

車両を持ち込みたい方、時間に余裕がある方は船がおすすめ

船の発着地は長崎港または博多港です。船はジェットフォイルとフェリーの2種類があり、下記のような特徴があります。

  • ジェットフォイル:速いが高価で車やバイクを乗せられない
  • フェリー:安価で車やバイクを乗せられるが遅い

ジェットフォイルはクーラーボックスをはじめとした大きな荷物が載せられないので要注意です。つまり、釣り具一式を持ち込むならフェリー一択となります。

長崎港からはフェリーで2時間30分ほど。雑魚寝ですが横になれますし、軽食もあって一息つけます。

フェリーの中はカップラーメンやパンなどの軽食の自販機しかありませんが、福江港周辺は飲食店や居酒屋もあるので、到着後すぐに島のご飯を食べられます。

五島うどんや五島牛などの名産品はもちろん、そこでしか食べられない珍味を食べてもよいですね。私はスーパーでウツボの湯引きを買って食べました。ゼラチン質で触感は豚足のようです。めちゃくちゃ好みのお味というわけではなかったですが、好奇心が満たされて大満足でした。

とにかく早く行きたい方は飛行機がおすすめ

飛行機は福岡空港か長崎空港から福江つばき空港に飛んでいます。フライト時間は福岡からだと45分弱、長崎からだと約30分。日本各地の空港からどちらかの空港に飛び、乗り換えて福江つばき空港に飛ぶというパターンもよくあるようです。

福江つばき空港も福江港と同じく島の中心地の近くにあり、レンタカー・レンタルバイク屋の無料送迎も依頼できます。

バイクを持ち込みしなくてもツーリングできるぞ

私はハイエースで名古屋から長崎港まで1000kmほど走り、そこからフェリーで福江島に行きました。

なぜそんな長距離を走ったのかといえば…

「もう考えるのはめんどくせえ!長崎港近くまで高速道路で行けるし、そしてフェリーがあるんだから車で行けるだろ!」

となっただけです。旅は計画立てるのが楽しいといいますが、私は行き当たりばったりタイプでそれほど得意じゃありません。

福江島ではレンタカー屋で50ccの原付を借りました。125ccもレンタルできますが、島をぐるっと1周150kmくらいとそれほど広くなく、急ぐ旅でもなかったので30km/hで走るくらいがちょうどよかったと感じでいます。

日本最果ての地”オレンジロード”はまさに最果ての風景だった

辞本涯の碑の近くから三井楽長崎鼻灯台の海沿いを走れる数キロはオレンジロードという名称で、福江港から少し離れた場所にあります。海側に障害物が少なく、すべての場所が風光明媚な展望スポットです。

道は車1台分の幅しかなくて歩道っぽいですが、車やバイクも問題なく走行可能です。

こんな風に障害物もない海のすぐそばを走れる場所は、日本ではあまり見かけません。だいたい柵があったり、木々が生い茂っていたり、そもそも快適に走れる道がなかったりします。

オレンジロードは北から侵入するとゴールが灯台になるという演出もニクい。灯台は船が航海するときの目印として海岸線に建てられます。端っこや海岸線を目指しがちなバイカーの生態にこれ以上ないくらいハマりますね。感傷にひたってしまう。

私は訪れた5月にはミヤコグサという黄色くてかわいらしい花が群生していました。他の季節だと違う植物が見られるだろうし、いつ来ても目を楽しませてくれそうです。

お酒が好きなら”五島つばき蒸留所”も一緒に行くといいぞ

一緒に行ける近くのおすすめスポット”五島つばき蒸留所”を紹介します。

五島つばき蒸留所は島の北東、オレンジロードから30kmほどの半泊という場所にあります。かつてキリシタン弾圧から逃れるためにやってきた移住者の半分はここに、もう半分は別の場所に移り住んだので半泊という地名になったそうです。

五島つばき蒸留所は国内でも珍しいジン専門の蒸留所。五島のジンということでGOTOGINという名前のジンを製造販売しています。福江島の名産である椿を原材料として使っていたり、ビンに椿の模様をあしらったり、福江島の物語を感じさせるジンです。

1瓶500mlで5500円と少々お高いジンですが、これには理由があります。スーパーのお求めやすいジンは複数の原材料を一度に蒸留し手間を抑えています。GOTOGINは原材料をそれぞれ適した条件で別々に蒸留し、手間暇かけて最もよい部分だけ抽出するこだわりっぷり。お値段にも納得です。

蒸留所へは狭い山道を越えていく必要があるため、大型バイクでは大変かもしれません。車で観光しに来ている方もいたので、注意しながら進めばなんとかなりそうです。蒸溜所の開店時間は月から土曜日の10時~15時。ノンアルコールは販売していないので、味見してから運転して帰ることはできません。

毎週土曜日の11時と14時から蒸溜所と半泊協会の説明ツアーをやっています。オタクを自称している元キリン社員の従業員さんが、圧倒的な熱量でGOTOGINの美味しさの秘密を化学的な知見から分かりやすく説明してくれるので必聴です。思わず聞き入ってしまいますよ。

出費は減らし、楽しみは増やそう

4/27(土)長崎港出発、5/5(日)長崎港到着の計9日間楽しんだ福江島の旅。旅費は合計で約11万5900円かかりました。内訳としてはこんな感じ。

  • フェリー往復(ハイエース+1人):4万900円
  • レンタルバイク(3日間):約9000円
  • ガソリン(レンタルバイク+車):約6000円
  • 宿(8泊):約4万円
  • 飲食:約2万円

とはいえ、これはあまり食費も宿代もケチらなかった場合の話です。振り返ってみると、次のような費用を抑えるコツが見えてきました。

1.車両を持ち込む場合、ガソリンは長崎で入れる

離島である福江島は輸送コストがかかるのか、ガソリンがレギュラーで200円/Lと高価でした。長崎本土は180円/Lくらいだったので約1割の差があります。ガソリン満タンにしてからフェリーに乗りましょう。

2.食料は長崎本土または福江港付近で買う

福江港付近に大きなスーパーがいくつかありますが、そこを離れると小さな個人商店かコンビニだけになります。コンビニだと食費がかさむため、長崎本土か福江港付近で食料を多めに買っておくとよいでしょう。

3.宿は福江港より遠いところでとる

港から少し距離のあるキャンプ場でバーベキュー、旅館でおいしい夕食、どちらも最高!

宿は福江港付近だと普通のビジネスホテルくらいの値段ですが、島の南東にあるキャンプ場だとコテージで1泊1万2000円くらいでした。私は3人で行ったこともあり、割り勘でひとり4000円と十分安価に抑えられました。コテージには風呂やトイレ、キッチン、布団など設備が充実していて、快適に過ごせました。

島の西側まで行くと旅館でも1泊2食付きで7500円という格安っぷり。海が目の前にあるので釣りにも行きやすいことも魅力です。そしてキャンツー好きなら、キャンプ場でのテント泊もオススメ。一泊630円という安さで宿泊費を抑えることができます。

1~3のポイントを押さえると約5万円~でも行けちゃう!

以上を踏まえると、バイク持ち込みで行った場合、下記程度まで安くできます。

  • フェリー往復(ハイエース+1人):4万900円→そのまま
  • レンタルバイク(3日間):約9000円→0円
  • ガソリン(レンタルバイク+車):約6000円→5400円
  • 宿(8泊):約4万円→5040円
  • 飲食:約2万円→1万5000円

8泊9日で6万6340円、1泊2日なら約5万円から福江島の旅を楽しめるというわけです。

まとめ:”バイクと最果て”これほど相性のいいものが他にあるのか!?

福江島は、最果てや海岸線1周などバイカーの大好物ばかり。福江島に限りませんが、離島はフェリーや飛行機で行く必要があるため混雑することが少ない実感があります。どこにいっても人が多い長期連休にこそ、行くべき観光地です。

さあ、バイクに乗って離島を気ままにさすらおう!

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