正規ディーラーだからこそ対応したい、伝えたい。往年の名車も販売、修理対応する光岡自動車

光岡自動車が運営するモトラッドミツオカグループは、正規ディーラーだからこそ古いモデルも対応すべきだという考えで、他店で購入した古いモデルでも修理の相談を受けている。関西/中部地区で6店舗のBMWモトラッド正規ディーラーを構えるが、その中でもモトラッドミツオカ西宮店には、BMWメカニックとしての長年の知識とテクニックを次世代に引き続くために手を動かし続けているベテランが所属。同店はこのたびメンテナンスだけでなく旧モデルの販売もスタートしたという。
●大屋雄一 ●写真:丸山淳大 ●BRAND POST提供:光岡自動車 BMW Motorrad
旧車を維持管理するために必要なのは、駆け込み寺的存在
2010年にBMWモトラッドの販売に参入して以来、15年間で6店舗を展開してきたモトラッドミツオカグループ。母体である光岡自動車は創業55年以上という老舗だが、BMWモトラッドディーラーとしての歩みは決して長くはない。
そんなモトラッドミツオカだが、正規ディーラーの看板を掲げるならば旧モデルの整備も積極的に行うべきとのポリシーを貫いている。最新モデルのストーリーライン上にはかつての名車たちが存在し、それに乗って楽しんできたユーザーがいたからこそ、BMWモトラッドの歴史が紡がれてきたというリスペクトに基づくものだ。
西日本最大級の規模を誇るモトラッドミツオカ西宮店には、BMWモトラッドの旧モデルに強いメカニックが在籍している。石本貴士さんはその筆頭だ。2輪業界歴30年以上、BMWメカニック歴25年という大ベテランで、彼を慕って整備を依頼するユーザーも多い。事実、1年半ほど前に『モトメカニック』誌で石本さんを紹介した記事を掲載したところ、全国からの問い合わせや来店が増えたのだという。
モトラッドミツオカ西宮に在籍するベテランメカニック、石本貴士さん。
「私が初めて所有したBMWはR1100RSでした。とにかく乗りやすくて驚いたのを覚えています。安定性が高く、どんな場所でも走れる万能なバイクでした。その魅力は現行モデルにも受け継がれていますね。BMWは整備性が良く、メンテナンス計画も明確に組まれているので、大きなトラブルが少なく、メカニックとしても作業しやすいんです」(石本さん)
近年は小規模店舗やネットを介した個人売買も一般的になった。ゆえに「購入店でないと整備を断られるのでは?」と不安に思う人も多いだろう。
だが、モトラッドミツオカグループではそんな心配は無用。モトラッドミツオカ西宮を含め全店舗で、他店購入や個人売買車両の整備も幅広く受け入れている(初回受け入れには条件があるため、詳しくは店舗まで問い合わせを)。
さらに旧モデルのメンテナンスやレストアをより強化し、グループ所属のベテランメカニックが各店で対応できる体制を整えていくという。その皮切りとなったのが西宮店だ。
「『旧いモデルだから』とか『ディーラー購入じゃないから』などとお悩みの方も、ぜひ気軽にご相談ください。2バルブOHVモデルはもちろん、K100シリーズの整備も可能です。とくに個人売買の車両は調子が悪いまま乗られているケースが多いですが、きちんと整備すればBMWの本当の素晴らしさを味わえます」(石本さん)
サービスを維持することも文化のひとつ。“技”の継承に重きを置く
長年の経験により、1980年代の車両から最新モデルまで幅広く手がけてきた石本さん。とくに長距離ツーリングを得意とするBMWモトラッドだけに、積算距離が10万kmを超える車両も珍しくない。それだけに、過走行車や低年式車には固有のトラブルが少なくないという。
「たとえば2バルブOHVのR100シリーズは、エンジンまわりのオイル漏れが多い。プッシュロッドの根元やヘッドカバーガスケット、あとはミッション周辺ですね。ミッションのオイル漏れはクラッチ板に影響し、クラッチ滑りの原因にもなります。4バルブのR1100やR1150シリーズでは、ファイナルギヤのベアリングによるガタやドライブシャフトのスプライン摩耗、最悪の場合はドライブシャフトの折損に至るケースも。10万km以上走っている車両であれば、ドライブトレインやクラッチまわりの点検を強くおすすめします」(石本さん)
石本さんは日々の整備業務だけでなく、自身が積み重ねてきた知識や技術を若手に伝えることにも力を注いでいる。単なる技術の継承にとどまらず、「自分が引退した後も旧モデルを安心して任せられる体制を残したい」という強い思いが背景にある。長年BMWを見続けてきたベテランならではの責任感だ。
現在、その指導を受けているのが、入社1年目の山口さん(23歳)。整備専門学校を卒業後にモトラッドミツオカに加わり、愛車には1996年式のR1100Rを選んだ。すでに30年近く前に生産された車両だが、この時代のRシリーズはすでにFI化され、診断機によるエラー解析にも対応している。キャブレターは“教科書でしか見たことがない過去の機構”かもしれない若手にとって、石本さんの豊富な経験はまさに生きた教材となっている。
石本さんの技術と、それを受け継ぐ山口さんのような新世代メカニック。このリレーがあるからこそ、旧いBMWを所有するユーザーも安心して愛車を託すことができる。熟練の経験と若さが融合することで、これからも数多くのBMWが走り続けられる。モトラッドミツオカ西宮店には、そんな頼もしさが息づいているのだ。
石本さんの豊富な経験は、実践を通じて次の世代へと継承される。
石本さんの技術をすべて受け継ごうと、山口さんの目は真剣だ。
親子ほど年の離れた二人。BMWというワードを通じて、技術を、心を通わせる。
店内の名車コーナーには歴史的なモデルがずらり
モトラッドミツオカ西宮店では以前から、BMWの歴史を物語るクラシックモデルをショールームに展示している。その狙いは、今日まで脈々と受け継がれてきたBMWモトラッドの系譜を、訪れる人々に感じてもらうことにある。なかでも象徴的なのが、ボクサーツインとシャフトドライブの組み合わせだ。R12やR18といった最新のヘリテイジシリーズを眺めれば、そのスタイリングや構造にクラシックモデルとの数多くの共通点を見いだせるだろう。
展示されている名車は、神戸市で「神戸ライダースクラブ」を主宰する千石清一さんの貴重なコレクションの一部だ。千石さんの名を聞いて、思わず反応した方もいるかもしれない。そう、1980~90年代のレーサーレプリカブームの真っただ中、鈴鹿8耐に参戦していたあのライダーであり、その挑戦をテレビで目にした人も少なくないはずだ。さらに付け加えると、彼は1983年と1984年の鈴鹿8耐にBMW R80レーサーで挑んでいる。
なおクラシックモデルは不定期に入れ替えられており、来店のたびに異なる1台に出会えるのも楽しみのひとつ。ここでは取材時(2025年9月)にショールームで輝いていた車両たちをご紹介しよう。
本来なら博物館にあっても不思議ではないミントコンディションの名車たちが、展示スペースに鎮座する光景は圧巻だ。
R69S
R69S
世界で最初にテレスコピックフォークを採用したBMWだが、1950~1960年代はモータリゼーションの過渡期であり、4輪よりも安価なサイドカーの装着を前提としたバイクが求められていた。BMWは、イギリスのアーネスト・アールズが発明した一種のリーディングリンクフォーク、通称“アールズフォーク”を1955年発売のR50とR69に採用し、これに対応したのだ。
1960年に登場したこのR69Sは、R69の言わばチューンドモデルであり、594ccという排気量はそのままに最高出力を35psから42psへと引き上げている。北米向けにはテレスコピックフォークが採用され、R69USの名で販売された。
フルスケール200km/hのスピードメーター。最高速は109mph(175.4km/h)を公称する。エンジンは594ccの空冷ボクサーツイン2バルブOHVで、最高出力は42ps。1969年の生産終了まで毎年のように改良が加えられた。
テレスコピックフォークとは異なり、ブレーキングでノーズダイブしないのがアールズフォークの特徴だ。リーディングリンクフォークの一種であり、フロントタイヤの後端よりもさらに後ろにピボットがあるのがBMW流だ。
R75
1960年代後半は日本メーカーが台頭。2輪部門の存続が危ぶまれる中、BMWは次世代ボクサーツインを新設計する。それが1969年に登場した/5(スラッシュファイブ)シリーズであり、これ以降の2バルブOHVは近代Rシリーズとも呼ばれている。後継の/6(スラッシュシックス)シリーズは、トランスミッションを4段から5段とし、フロントにディスクブレーキを採用しているのが特徴だ。このR75/6は1973年に登場。排気量746ccから最高出力50psを発揮する。各国の白バイのベース車両としても活躍した。
R75/6
キャブレターはビング製の負圧式。先代の/5シリーズから採用された。
コーナー奥に並ぶ、購入可能なOHVモデルたち
この夏から、モトラッドミツオカ西宮では新たな取り組みがスタートした。店頭で買い取った車両や他店から集まってきた2バルブOHVモデルを、ベテランメカニックの石本さんと、その技術を継承するスタッフたちの手で整備/仕上げを行い、販売するというものだ。
BMWモトラッドが展開する認定中古車のような保証こそ付かないものの、熟練メカニックの確かな目利きと腕によって“安心して乗れる状態”に仕上げられた車両だけが並ぶのが特徴だ。この年代にありがちなエンジン周辺のオイル滲みの確認や、キャブレターのセッティングといった定番の点検はもちろん、必要に応じたメンテナンスが施されている。走行距離の多少に関わらず、きちんと整備されてきた履歴のある車両であればまだまだ現役で走れるというのが石本さんの考えだ。
具体的な整備内容は、エンジンオイルやミッションオイルの交換をはじめ、ブレーキや灯火類などの保安部品の点検。さらに、バッテリーなど交換した消耗部品については、納車後3か月間のパーツ保証を付与している。車両そのものの保証はないものの、オーナーに安心して乗り出してもらえる体制が整っているのだ。
また希望があれば、有償にてサスペンションやエンジンのオーバーホールといった作業も対応可能だ。ベテランの技術と確かな仕上げがあるからこそ、クラシックBMWを手に入れたいユーザーにとっては心強い選択肢となるだろう。
こうした取り組みは、クラシックBMWファンにとって新たな出会いの場となるだけでなく、これから旧車の世界に踏み出そうとするライダーの裾野を広げる一助にもなっている。
店内入って右手奥のヘリテイジコーナーに並ぶ、往年の名車たち。R12シリーズのオマージュ元となるOHVモデルにはプライスカードが掲げられ、新たなオーナーとの出会いを待っている。
R100S
1973年に登場したR90Sは、BMWのフラッグシップであり、スーパーバイク時代の幕開けを告げる名車として今も語り継がれている。その特徴的なスタイリングが今年発売されたR12Sに受け継がれたことからも、いかにエポックメイキングなモデルであったかが分かるだろう。そんなR90Sの後継として1976年に登場したのがR100Sで、ボア径を4mm拡大して排気量を898ccから980ccへ。最高出力はR90Sの67psに対して当初は控えめの65psだったものの、1978年モデルから70psへと引き上げられている。
【1979 BMW R100S】走行距離20778km ●車両本体価格200万円(2025年9月時点の在庫/価格。最新の状況は店舗にて確認を)
R100R
1991年、アドベンチャーモデルのR100GSをベースにロードスターに仕立てたR100Rが登場。これを元にシート/テールカウル/サイドカバーなどを変更し、よりスタイリッシュに仕上げた日本専売モデルがR100Rミスティックで、1992年に登場した。排気量980cc/最高出力60psなどのスペックはR100Rと変わらないものの、フロントブレーキをシングルからダブルディスクとして制動力を強化している。
【BMW R100R Mystic】年式不明/走行距離31845km ●車両本体価格170万円(2025年9月時点の在庫/価格。最新の状況は店舗にて確認を)
R100RS
往年のファクトリーレーサーと同じRS(レンシュポルト)の名を冠した初の市販車が、1976年に登場したR100RSだ。量産モデルでは世界初となるフルフェアリングを装備し、R100Sと共通の980ccボクサーツインを搭載。アウトバーンを200km/h巡航できるという優れたクルージング性能で、世界中のマニアを虜にした。1983年に後継となる水冷4気筒のK100RSが登場したことで、一度は生産終了となるものの、ファンから復活してほしいという要望が殺到。1986年に再生産がスタートした。この車両は再生産モデル、いわゆる後期型だ。
【BMW R100RS(モノサス)】年式不明/走行距離29602km ●車両本体価格255万円(2025年9月時点の在庫/価格。最新の状況は店舗にて確認を)
R100RS
こちらもR100RSの後期型だ。1992年まで生産されたことから、年式から鑑みて最終型という稀少な固体だ。前期型とのおもな違いは、フロントホイール径(19→18インチ)をはじめ、スイングアームの形状(両持ち→モノレバー)/リヤショックの本数(2本→右本)/最高出力(70ps→60ps)などとなっている。
【1992 BMW R100RS(モノサス)】走行距離34311km ●車両本体価格245万円(2025年9月時点の在庫/価格。最新の状況は店舗にて確認を)
名車は旧車だけではない。最先端モデルを世に送り出すモトラッドミツオカ西宮店
モトラッドミツオカ西宮は、2023年4月に誕生したばかりの新しい店舗だ。ショールームのフロア面積は、西日本でも屈指の広さを誇り、広大な敷地を活かして数多くの新車や上質な中古車を豊富にストックしている。
さらに、クラシカルモデルやアパレルを展示する「ヘリテージコーナー」もゆったりと設けられており、最新モデルを求める人にも、クラシックな世界観を好む人にも居心地の良い空間となっている。納車ルーム/駐輪場/洗車スペースに加え、最大6台を収容できる駐車場も完備。試乗車は常時15台ほどが揃い、ラインナップもほぼ網羅している。しかも試乗コースは長めに設定されているため、気になるモデルの乗り味を購入前にじっくりと確かめられるのが魅力だ。
【モトラッドミツオカ西宮店】●住所:兵庫県尼崎市西昆陽2-1-37 ●電話:06-6170-1177 ●定休日:毎週火曜/第2第3水曜 ●営業時間:10:00-18:00 ●WEB:https://motorrad-mitsuoka.com/nishinomiya/
購入後のサポート体制も心強い。モトラッドミツオカグループでは、どの店舗で購入してもグループ全体でオーナーを支える体制が整っており、安心してツーリングやスポーツ走行を楽しむことができる。各店舗ではイベントやセール情報も積極的に発信しているので、最新情報はSNSをチェックしてみよう。
※本記事は光岡自動車 BMW Motorradが提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。