
モンキー125やダックス125、スーパーカブC125、CT125ハンターカブといった“クラシックウイング”と呼ばれる125シリーズを世界に先駆けて発表する場になってきたタイより、モンキー125をベースとしたビッグタンク版「ゴリラ125 プロトタイプ」の報! 現地特派員より制作者への直撃インタビューも入手した……!
●文:ヤングマシン編集部
カバーじゃない! 鉄製12Lタンクを搭載
おぉっ! モンキー125をベースにした「ゴリラ125」って多くのユーザーが欲しがってたヤツじゃん! タイの特派員より送られてきた画像には、まごうことなきゴリラ125の姿が。デカイ燃料タンクに鋲打ちシートを備えたマシンはプロトタイプとされている。その正体とは……?!
ホンダ製と言っても通用しそうなゴリラ125のプロトタイプ。
このマシンは、タイ国内のカスタムビルダー・NOTE氏の手によるもので、これまでタイ現地の多くのファンの要望にもかかわらずホンダがゴリラ125をリリースしてこないことから、「ならば作ってしまえ!」と制作したもののようだ(詳しくは後述)。
モンキー125をベースにしながらビッグタンクを制作する場合、フューエルインジェクション仕様車であることから燃料ポンプの流用が難しく、タンクカバーが作られるのが一般的だが、このゴリラ125 プロトタイプはスチール製の12Lタンクを採用している。「今回はプロトタイプということで取り付け部分は流用」だというが、今後に含みを持たせた言い方も気になるところ。
燃料タンクのサイズは長さ37cm×高さ24cm×幅27cm(それぞれ最大長 ※現地実測値)で、往年のゴリラとほぼ同じサイズが再現されている。燃料コックなどは製品化にあたって現行最新モデルに近いものに切り替わるだろう、という。
スタッズ(鋲打ち)タイプのシートもゴリラの再現には欠かせない。今回装着しているものはテスト用だといい、シート高が燃料タンク上面よりも低くなっている(実測値740mm ※モンキー125は776mm)が、これはテスト用ということで先端部分をカットして燃料タンクに沿わせる加工としたため。完成版ではモンキー125並みのシート高になると思われる。
跨ることができたプロトタイプ。ライダーの身長は173cmとのこと。
また、ステッカーによる「GORILLA」ロゴやボディカラーについては1978年の初代モデルを踏襲しているが、ベースモデルのフレーム色によって変更になるかもしれないとのこと。タンク側面に縁取りがされた1985年モデルのオマージュなんかも魅力的だが……。
コンセプト制作者のNOTE氏、そしてCUB HOUSEは──
NOTE氏はタイ国内のカスタムビルダーとしてかなりの有名人。今まで多くの車両製作に携わり、カスタムショーでの受賞歴も多数持っている。「一番、制作に時間がかかったのはフレームに対してゴリラのスタイルを崩さないことでした。燃料ポンプの位置の変更など調整も大変です。まだまだ詰めきれていない部分があるので、今後に期待してください」と話してくれた。
そして(ココ重要)今回の撮影が行われたカブハウス(CUB HOUSE)の店長であるPHATさんは、「ゴリラのスタイルを125の仕様で見られることに大変驚いています。シートの形状とタンクのバランスが取れていていですね。12Lの容量があればタイ国内でロングツーリングの世界がさらに開けると思います」とのこと。
制作者のNOTE氏(左)とカブハウス店長(右)。
単なるカスタムに終わるのか、それとも……!?
さて、なぜカブハウスで撮影されたことが重要なのかというと、“クラシックウイング”と呼ばれる125シリーズを専売するタイの正規ディーラー(兼カフェなど)がカブハウスであり、これまでも多くのモンキー125によるスペシャルエディションをリリースしてきたからだ。
いや、違和感なくない?!
ホンダはこれまでにモンキー125やダックス125、スーパーカブC125、CT125ハンターカブといったクラシックウイングシリーズをカブハウスでいち早く発表、販売してきており、同シリーズのユーザーとの接点も多い。そこにこの車両があるということは、言ってみれば半純正カスタムに近い存在ととらえることもできる。また、カブハウスのような立場でゴリラ125の制作に関わるということは、リクエストが多いにもかかわらず純正ゴリラ125を作ってくれないホンダへの強いメッセージなのではないか。
そんなゴリラ125、今後どのような形で登場するのか……単なるカスタムマシンとして展示されるのか外装キットとして販売されるのか、はたまたホンダ製ニューモデル「ゴリラ125」の登場の呼び水になるのか。それについてはまだ語られていないのが現状だ。
ただ、ヤングマシンとしてもホンダ製ニューモデル「ゴリラ125」の登場を強く望みたい。125のサイズ感ならではのツーリング需要もあるだろうし、災害時などの機動力も考えればデカタンクの魅力はかなりのもの。ここはぜひ、ホンダさんの英断を望みたい!
いずれの場合にしても、容量12Lの燃料タンクであればモンキー125の5.6Lの2倍以上ということになり、モンキー125乗りの(少なくともタイ在住の)ツーリングユーザーにとっては朗報になるはずだ。それが日本にまで広がってくれれば……。待て、続報!!!
GORILLA 125 PROTOTYPE
GORILLA 125 PROTOTYPE
余談:魔改造モンキー125、満タン無給油で5409.8kmを走破
赤い線が走ったルートだ。
オフロードバイクの樹脂タンクなどで知られるアチェルビスは、創立50周年の2023年にこれを記念してホンダ「モンキー125」を魔改造し、バイクの無給油航続距離での世界最高記録に挑戦。容量108Lの燃料タンクにバイクが埋まっているかのようなマシンはAC50と名付けられ、ホームであるイタリア北部あるビーノからノルウェー北端のノールカップまで4183.8kmを走破したのち、ターンしてアーロン湖(スウェーデン)まで走り5409.8kmを走り切った。
AC50
燃料タンク以外はモンキー125そのもの。ガーミンのサイトでライブ中継された旅は女性を含む3人のライダーが7日間を交代で走り、平均速度は70km/h前後だったという。
燃料はレプソル(スペインの石油会社)が提供した再生可能燃料を使用。前後のタンクキャップから最初の1度の給油をしただけで5000km以上を走破した。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(新型ビジネス/レジャー/ファンバイク)
嬉しい、楽しい、大好きダックス! ちょっとHondaのバイクに詳しい人なら知っていることかもしれませんが、じつは「ダックス」のペットネームを持ったバイクがはじめて誕生したのは、半世紀以上も前の1969[…]
“次”が存在するのは確実! それが何かが問題だ 2018年に発売されたモンキー125以来、スーパーカブC125、CT125ハンターカブ、そしてダックス125と、立て続けにスマッシュヒットを飛ばしている[…]
エンジン積み替えで規制対応!? なら水冷縦型しかないっ! 2023年末にタイで、続く年明け以降にはベトナムやフィリピンでも発表された、ヤマハの新型モデル「PG-1」。日本にも一部で並行輸入されたりした[…]
カフェだけじゃないバイク乗りのための空間 神奈川県座間市にある「ライダーズベース・リバティ」は、レンタルできる洗車場やピットなどを完備し、バイク用品やバイク本体(!)まで購入できるライダーズカフェだ。[…]
”デカ猿”の衝撃:ホンダ「モンキー125」【初代2018年モデル】 発売は2018年7月12日。開発コンセプトは、楽しさをスケールアップし、遊び心で自分らしさを演出する“アソビの達人”だった。原付二種[…]
最新の関連記事(新型原付二種 [51〜125cc])
嬉しい、楽しい、大好きダックス! ちょっとHondaのバイクに詳しい人なら知っていることかもしれませんが、じつは「ダックス」のペットネームを持ったバイクがはじめて誕生したのは、半世紀以上も前の1969[…]
125ccスクーターよりも力強い発進加速、街中で光る静けさ ホンダがパーソナルユース向けに国内リリースした電動スクーターの第2弾「CUV e:」は、第1段の「EM1 e:」が50cc相当の原付一種だっ[…]
原付スクーターは16歳から取得可能な“AT小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があ[…]
“次”が存在するのは確実! それが何かが問題だ 2018年に発売されたモンキー125以来、スーパーカブC125、CT125ハンターカブ、そしてダックス125と、立て続けにスマッシュヒットを飛ばしている[…]
7月上旬発売:ヒョースン「GV125Xロードスター」 ヒョースンモーター・ジャパンから、原付二種クラスに新型クルーザー「GV125Xロードスター」が投入される。発売は2025年7月上旬から日本国内向け[…]
人気記事ランキング(全体)
脇を冷やすことで全身を効率的にクールダウン 年々暑さが増している夏。冷感シャツやメッシュジャケットなど様々な冷却アイテムが普及して久しいが、半端な対策ではツーリングが快適とはいかなくなってきた。 そこ[…]
嬉しい、楽しい、大好きダックス! ちょっとHondaのバイクに詳しい人なら知っていることかもしれませんが、じつは「ダックス」のペットネームを持ったバイクがはじめて誕生したのは、半世紀以上も前の1969[…]
脇を冷やすことで全身を効率的にクールダウン 「THERMO-GEAR BELT」の最大の魅力は、なんといっても「冷暖対応デュアルペルチェ搭載」という点だ。一台で夏場の猛暑対策はもちろんのこと、冬場の厳[…]
あの頃の中型 青春名車録「2気筒の時代」(昭和51~53年) 昭和50年(1975)10月1日、免許制度が改正され401cc以上のバイクに乗るためには大型免許(=限定なしの自動二輪免許)が必要になった[…]
原付スクーターは16歳から取得可能な“AT小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があ[…]
最新の投稿記事(全体)
2024年モデル概要:赤×黒の熱いカラーリング 「エキサイティング&イージー」をコンセプトに掲げるZ900は、カワサキのフィロソフィーを体現したかのような、先鋭的な「Sugomi」デザインが特徴。エン[…]
懐かしの四角ライトに極太のブロックタイヤ 1987年に発売されたやまは「TW200」は、フロントに130/80-18、リヤには180/80-14という極太タイヤを履いたファットなオフロードスタイルで人[…]
ヤマハFZ400R:ワークスマシンと同時開発 市販レーサーと同時開発したNS250Rがリリースされた1984年5月。 400クラスにも同様の手法で開発されたマシンが、ヤマハから世に放たれた。 FZ40[…]
ヤングマシン主催“走行距離バトル” ヤングマシンがツーリングイベントを企画しました! それはズバリ、「走行距離バトル」です。 速さや巧さは関係ねえ!! とにかく走ったヤツがエライ!! そんな単純明快な[…]
50年の眠りから覚めたBSA、復活のファーストモデルがゴールドスター 世界最古クラスの英国ブランド、BSAが再び日本に上陸した。輸入を手掛けるウイングフットが「BSA ゴールドスター」を取り扱い“ほぼ[…]
- 1
- 2