
プロダクションレースのベース車としての高いポテンシャルを日常でも思い通りに操れる、ジャストサイズのスーパースポーツCBR600RR。初登場は2003年ということもあり、手頃な価格の出玉も増えている。中古車としての注目度も高いので、この機会に各年式の違いをおさえて、自分に最適な一台を選んでみよう。この記事では2020年モデルについて紹介する。
●文:ヤングマシン編集部 ●外部リンク:ホンダ
2020年モデル概要:600スーパースポーツが戦闘力を向上して復活
2016年に国内仕様の生産が一時ストップしていた、600ccクラスのスーパースポーツ「CBR600RR」が復活したのは、2020年のこと。価格は160万6000円だった。
フラッグシップであるCBR1000RR-Rが怪物的なハイパワーを見せつけているのに対し、CBR600RRは、ストレスフリーな“トータルコントロール”を追求。レースにも耐えうる高いポテンシャルを日常でも思い通りに操れる、ジャストサイズのスーパースポーツだ。
エンジンは動力性能向上のため、クランクシャフトとカムシャフト、バルブスプリングの材質変更により高回転化を実現。シリンダーヘッドのポート形状変更やバルブタイミングの変更、スロットルボア径の拡大、スロットルバイワイヤ(TBW)の採用などにより、高出力と高いコントロール性を両立していた。
この結果、最高出力は歴代最高の121ps/14000rpmを実現。当時、最大のライバルであったYZF-R6を上回る数値を記録していた。アシストスリッパークラッチも採用し、レバー操作力の低減とリヤホイールのホッピングも抑制したこともアップデートポイントだった。
車体は従来型がベースで、型番もPC40を踏襲していたが、スイングアームは形状こそ変わらないものの各部の板厚を調整し内部構造の最適化を図るなどして、150gの軽量化と剛性バランスを向上を果たした。また、フロントカウルにはダウンフォースを発生させるウイングレットを新設し、走行中のフロント荷重減少を抑制して旋回性能を高めていた。
電子制御が刷新され、スロットルバイワイヤの採用によりライディングモード(パワーセレクター、ホンダセレクタブルトルクコントロール、ウイリー挙動緩和、セレクタブルエンジンブレーキ制御)を追加。オプション設定ではあったものの、上下双方向対応のクイックシフターも採用したほか、5軸IMU付き2chABSも採用と、大幅な電脳化が施されていた。
HONDA CBR600RR[2020model]SPEC & COLOR
主要諸元■全長2030 全幅685 全高1140 軸距1375 シート高820(各mm) 車重194kg(装備)■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 599cc 121ps/14000rpm 6.5kg-m/11500rpm 変速機6段 燃料タンク容量18L■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●価格:160万6000円 ●色:赤 ●発売日:2020年9月25日
【HONDA CBR600RR[2020model]】グランプリレッド
2020年モデルの主要アップデート内容
逆スラントのカウルセンターにラムエアダクトを設け、その左右にLEDヘッドライトを配置。ロービームで外側2灯が点灯し、ハイビームで全灯照射に。1対のウイングレットは、独自の先端形状により翼端流の発生を抑え、ロールモーメントの低減を図っていた。
前後ウインカーにもLEDを採用。また、急制動を検知すると後続車にいち早く伝える“エマージェンシーストップシグナル”を採用した。マシンが急制動を判定するとハザードランプが高速点滅する仕様だった。
2020年モデルで最高出力121ps/14000rpmを達成。それまでのモデルと比べると中速域は思い切って割り切り、高回転域に振っているのがわかる。2013~2016年モデルは国内仕様で78ps/12000rpm、輸出仕様で119ps/12600rpmだったので、パワーアップを果たしたうえで国内仕様初のフルパワーということになっていた。
ライディングポジションは街乗りからサーキットまで対応する自由度を高さを実現しつつ、燃料タンクシェルターの上面を10mm低くすることで、ライダーが伏せた状態でのヘルメットの顎部分を固定しやすく、かつさらに低く構えられるようになっていた。
スイングアームは全体の剛性バランスを見直し、各部の板厚調整と内部構造を最適化することで従来型から150gの軽量化を実現した。
IMUを用いた車体姿勢推定システムを搭載。車体の角速度、加速度を検出し、車体姿勢角演算はじつに1秒間に100回。この情報をもとにABS、ホンダセレクタブルトルクコントロール(HSTC/いわゆるトラコン)の制御を実施。ABSはコーナリング時のブレーキ操作の安心感を高めるスーパースポーツモデル専用タイプだった。
MotoGPマシンのRC213Vも採用しているスロットルバイワイヤ(TBW)を搭載。アクセルグリップの操作をアクセルポジションセンサー(Aps)で検知し、従来のケーブルを不要とした。このTBWの搭載により、ライディングモードやセレクタブルエンジンブレーキ、シフトダウンも可能なクイックシフターの採用を実現していた。
HONDA CBR600RR最新相場情報
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