
ナンバーを取得して公道を走れる、2ストローク250cc車が新車で買える?! 値段は少々…どころかかなりお高いものの、そんな夢を現実にしてくれる1台がある。イギリス発の超希少スペシャルマシン「ランゲン」をナマ撮りで紹介だ!!
●文:ヤングマシン編集部(マツ) ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:モータリスト合同会社
ナンバー登録して公道を走れる2スト!
日本では20年以上前に絶滅してしまった公道用2ストローク車。それが令和の今でも新車で買える…と聞けば、ゾワゾワするマニアの方も多いのではないか。その名は「ランゲン ツーストローク」。オリジナルの車体に伊ヴィンス製の2ストローク250ccエンジンを搭載する超スペシャルマシンだ。
ランゲンはモータースポーツ向け電子制御の技術支援などを行うイギリスの会社で、創設者は英の2輪メーカー・CCMの元設計者という背景を持つ。そしてヴィンスはフェラーリ出身の技術者が興したメーカーで、ユーロ5規制をクリアし公道走行可能な2ストマシン“ドゥエチンクワンタ”を開発中。そして、このエンジンを100機、ヴィンスから供給を受ける契約を交わしたランゲンが生産するのがツーストロークというわけだ。
このマシン最大の吸引力が76hpを発揮する2ストロークのV型2気筒エンジンなのはもちろんだが、ランゲンの手によるカーボン外装+アルミ製トラスフレームの車体も凄まじい作り込みで、金属パーツもほぼすべてがアルミ削り出し。工芸品ばりの少量生産マシンだけに放つオーラは半端ないが、価格も半端ない800万円! 今、新車で買える公道用2スト車という価値を理解し、250cc車にその対価を支払える。そんな超趣味人に向けた“大人のおもちゃ”と言っていいだろう。
今回は販売代理店であるモータリストのご厚意で、日本に数台という超希少車を撮影する機会に恵まれた。おそらく本邦初となるランゲンの生撮り、存分に楽しんでほしい!
【モダン&クラシカルなネオ2スト】高級素材や品のいい色遣いなど、プレミアム感の強い外観。2ストにありがちなレーシーさは薄く、モダンさとクラシカル感が融合した“高級車”の風格を軽二輪にして漂わせる。ゴールドリムのスポークホイールもカフェレーサーらしさと上質感を併せ持つ選択だ。
2ストと言えばやっぱコレ!
2ストの見せどころ・排気チャンバーはスチール製で、右に1本、シート下に1本を取り回す。溶接による変色が艶めかしい輪切りタイプの採用も、マニアの心を掴むニクイ演出?! テールランプは超小型のLED。
【スーパースリムなトラスフレーム!】 アルミトラスのメインフレームとスイングアームに、削り出しのピボットプレートを組み合わせた車体。とてもスリムな車幅やフレーム形状のせいか、「ヤマハSDRが高級&近代化したらこんな感じ?」などの妄想が捗る(笑)。
究極のクリーン化で2ストが再び楽しめる
【エンジンは同爆2軸Vツイン76hp】搭載されるヴィンス製の2ストローク249.5cc 90度Vツインは、アプリリアの250ccレーサーに搭載されたロータックス258を手本とする、2軸クランクの360度同爆エンジン。最高出力は76hpで、クランクシャフトや6速ミッションなど構成部品のほとんどがヴィンスの内製。スロットルボディを含んで28kgという軽量設計も自慢だ。また、2気筒同爆がドライバビリティや幅広いパワーバンドに貢献しているという。
独自のFIでユーロ5排ガスに適合
【オイル消費量はかつての1/10!!】ヴィンス製エンジン最大のキモがリードバルブ上流にインジェクターを2本配し、2組のギロチン式スロットルバルブを備えた自社製フューエルインジェクション。2ストには必須のオイル給油システムも最新鋭で、4つの電子制御オイルポンプを持ち、供給量をECU制御することで、8200km/Lという脅威のオイル燃費を実現(かつての2ストの1/10程度!)。ユーロ5規制に適合し、2ストロークとしては究極のクリーン性能を実現している。
モダンさとクラシック感を融合
正立フォークはあえてブラック仕様としたオーリンズ製で、前後ブレーキはHEL製ラジアルマウントキャリパー+ブレンボ製ディスクで構築。チューブレス仕様のスポークホイールに履くのはクラシカルなトレッドが特徴のダンロップTT100GPラジアル。
【独特な配置のツインショック】フレームと同じくアルミトラスのスイングアームには、英K-TECH製のツインショックをかなり寝かせてマウント。エキセントリック式のチェーンアジャスター部も手の込んだ削り出しパーツだ。
シンプルでいて上質なコクピット
伊ドミノ製スロットルや英HEL製マスター&レバーなどの一流パーツに、削り出しパーツをふんだんに用いたハンドルまわり。メーター埋め込み型のライトケースやダイヤ目のグリップなど、クラシックな要素もバランスよく調和させるセンスがお見事。
外装類はオールカーボン製で、タンクカバーの「Langen」の文字は地のカーボン目を覗かせる演出も。スリムなシートも3種類の表皮を組み合わせ、さらに刺繍を加えた凝った仕上がりだ。
【IMPRESSION】まさにバック トゥ ザ フューチャーだ!
3000rpmはランゲンの3層パワーバンドの開始地点。6500rpmまでは濡れた路面も容易に走れるが、6500〜7000rpmで一瞬息をついた後は9000rpmまで強力に加速。そして、ここからが本当にエキサイティング! 排気バルブが開いたエンジンは超強力になり、1万3000rpmのリミットまでシリアスに前進。この瞬間はとてもスリリングで言葉がない。ユニークな体験を今日に提供してくれる、まさに『バック トゥ ザ フューチャー』だ!(アラン・カスカート)
完成車の販売は初だが、設計はお手のもの?!
【CCM STREET MOTO】ツーストロークはランゲン初のコンプリート車だが、同社の創業者は元CCM社の設計者。つまりバイクの設計技術は元々備えていたというワケ。よく見ればフレーム形態には共通性も?! ちなみにランゲンは現在、1200ccVツインの「ライトスピード」やそのターボバージョン(!)も開発中だ。
取材協力:モータリスト
今回、日本にわずか数台の希少車を撮影させてくれたモータリストの野口英康代表。同社はファンテック/ブリクストン/SYMといった2輪ブランドを取り扱い、ランゲンだけでなくヴィンスの代理店も務める。興味のある人はぜひお問い合わせを! ●住所:東京都大田区仲六郷2-41-8 ●電話:03-3731-2388 ●営業時間:10時〜18時 ●定休日:水/木/イベントのある休日 ●公式サイト:https://motorists.jp/
ランゲン ツーストローク主要諸元
■軸距1450mm 車重119kg(ガソリンなし) キャスター/トレール23度/97mm ■水冷2ストV型2気筒クランクケースリードバルブ 249.5cc ボア×ストローク54×54.5mm 76hp/–rpm 45Nm(4.59kg-m)/–rpm 変速機形式6段リターン 燃料タンク容量14L ■ブレーキF=Wディスク R=ディスク ■タイヤF=120/70-17 R=150/70-17 ■価格:800万円(本国価格2万9400ポンド)
ランゲン ツーストロークのエンジン始動動画
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(新型バイク(外国車/輸入車))
ベスパ LX 125 ■空冷4ストローク単気筒SOHC3バルブ 124cc 10.6ps/7250rpm シート高785mm 車重120kg ●価格:46万2000円 ●色:ユーフォリコライラック(新[…]
チャンピオンマシンからダイレクトにフィードバック トプラック・ラズガットリオグルの手により2024年のスーパーバイク世界選手権でチャンピオンを獲得したマシン、それがBMWモトラッド「M1000RR」だ[…]
ビモータの工房があるイタリアの都市「リミニ」をその名に冠する Ninja ZX-10RRのエンジンを搭載したビモータ製スーパーバイクが、ついに正式発表された。すでにスーパーバイク世界選手権を走っている[…]
”最高”のスピードトリプルが登場 スピードトリプル1200RXは、世界限定1200台のみ生産予定。2025年1月に発表されたスピードトリプル1200RSからさらにアップデートされており、「究極のスピー[…]
昔の日本で大型輸入車に乗れるのは非常に限られた人だけ 現在の日本では様々な輸入車が当たり前のように走っているけど、昔は世界で1番厳しいとされた認証型式の取得や車検制度という高い壁があり、日本を走る外車[…]
最新の関連記事(モータリスト)
モータリストの取り扱いブランドは多岐に及ぶ! 2020年9月に設立されたモータリスト合同会社は、「エンジン(モーター)を使い、タイヤを駆動して進む、このステキな乗り物をこよなく楽しむみなさまを、とこと[…]
バイクは楽しい。その楽しさを増やしていきたい! 内燃機関と電動という違いはあっても、バイク(2輪)で遊ぶ楽しさを大切にしているモータリスト。2024年のモーターサイクルショーでは「バイクは楽しい。その[…]
ミナレッリを介し、ヤマハとのパートナーシップ強化で誕生 2022年11月に開催されたミラノショーで、ヤマハはテネレやMT-07のパワープラントである2気筒のCP2エンジンを、ファンティックに供給するこ[…]
ブリクストン クロスファイア500:バランス超良好でデザインもマル エンジンはホンダのライセンス品とのことだが、フィーリングもそのままで非常に扱いやすい。このエンジンに、”理にかなったしっかり走れる車[…]
ライダーズカフェでバイクが買えたっていいじゃない! ツーリングの最中や、ちょっとバイクに乗って気分転換をするときなどの目的地として重宝する「ライダーズカフェ」。席からバイクが眺めることができたり、ヘル[…]
人気記事ランキング(全体)
ガチの原付二種ライバルを徹底比較! 原付二種と呼ばれる、50cc超~125cc以下のバイクはユーザーメリットが多い。任意保険は4輪車などに付帯させるファミリーバイク特約が使えるし、自動車税も90cc以[…]
情熱は昔も今も変わらず 「土日ともなると、ヘルメットとその周辺パーツだけで1日の売り上げが200万円、それに加えて革ツナギやグローブ、ブーツなどの用品関係だけで1日に500万円とか600万円とかの売り[…]
660ccの3気筒エンジンを搭載するトライアンフ「デイトナ660」 イギリスのバイクメーカー・トライアンフから新型車「デイトナ660」が発表された際、クルマ好きの中でも話題となったことをご存知でしょう[…]
日本を代表する3000m級の高峰絶景が楽しめる北アルプス山脈(飛騨山脈)。その雄大な北アルプス山脈の絶景が楽しめるのが、長野県小川村を横断する「小川アルプスライン」だ。約12kmにわたる全ルートとスポ[…]
電子の力で瞬時に冷却する「ペルチェ素子」を採用 このベスト最大の売りは、その冷却システムに「ペルチェ素子」を採用していること。これは、半導体の一種で、電気を流すと素子の片面が熱を吸収(冷却)、もう片面[…]
最新の投稿記事(全体)
バイクライフをサポートするラインアップ Pro Hondaのラインアップとして、4サイクルエンジン用オイル×5種類/2サイクルエンジン用オイル×3種類/ブレーキフルード×1種類/クッションオイル×2種[…]
2007年モデル概要:平成19年国内排出ガス規制に適合しつつ進化 二度目のフルモデルチェンジを果たしたのが、この2007年モデル。動力性能と車体の取り回しやすさの向上を目指し、それまでのモデルと比べて[…]
1位:「CBR500R FOUR」最新情報/予測まとめ 今なお復活が待たれているCB400スーパーフォアの後継モデル「新型CB400」。そのフルカウルモデルに、500cc版が登場するかもしれない。中国[…]
参加自由で無料、レッドバロンユーザーじゃなくても大歓迎! 全国に直営300店舗のバイク販売店を展開するレッドバロンのユーザー参加型イベント『FanFunミーティング』が、来たる6月21日(土)に、栃木[…]
[1996] ゼファーχ(ZR400-G1):4バルブ化でパワーアップ 1996年3月20日発売 ネイキッド人気でしのぎを削るライバル車に対抗し、カワサキの空冷4気筒で初の4バルブとなるχ(カイ)が登[…]
- 1
- 2