
カワサキは、948cc並列4気筒エンジンを搭載したスポーツネイキッド「Z900 SE」をモデルチェンジし、2025年4月12日に発売すると発表した。エンジンやフレーム、足まわりに手が入り、デザインはほぼ全面リニューアルされている。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:カワサキ
Z1、GPz900R、Ninja ZX-9Rから連なる“マジックナイン”の最新進化系
カワサキは昨秋、欧州でZ750→Z800に連なる後継車として2017年に948cc並列4気筒エンジンを搭載したスーパーネイキッド「Z900」を発表。1972年のZ1から連綿と続く900ccクラスの4気筒マシンの最新の姿を提示した。バリエーションモデルとしてオーリンズ&ブレンボで足まわりを強化した「Z900 SE」も追加。このZ900 SEの国内向けモデルが4月12日に発売される。スタンダードモデルについては発表なしだ。
新型「Z900 SE」はほぼ全身に手が入った。主要なところを挙げるだけでも、鋭い眼光の“凄みデザイン”を磨き上げ、エンジンはカムプロファイルの変更や電子制御スロットルの新採用で中速域の力強さを増し、IMU搭載など各種電子制御も最新に。フレームやエルゴノミクスも改良されたほか、カワサキとして初めて音声コマンドとターンバイターンナビゲーション表示に対応したメーターを採用している。
KAWASAKI Z900 SE[2025 model]
電子制御スロットルを採用し、電子制御拡充と燃費低減を果たしたエンジン
欧州発表値では、CO2削減が-11.3%、燃費は-16%(国内仕様よりも差が大きいのは仕様がわずかに異なる等の理由からだろう)。
エンジンは最高出力125ps→124psとわずかにパワーダウンしているが、カムシャフトのプロファイル変更と電子制御スロットルを採用したことにより低回転域のトルクを増強するとともに扱いやすさを増した。WMTCモード燃費は18.0km/L→20.5km/Lと13%以上も改善した。
また、吸排気音にこだわったエアボックスやマフラー、軽い操作感とシフトダウン時の後輪スリップを抑制するアシスト&スリッパークラッチなどは従来型から継承している。
電子制御関連ではIMU(慣性計測ユニット)を採用したことで、新たにKCMF(カワサキコーナリングマネジメントファンクション)によるエンジン&車体のトータルマネジメントを実現。KTRC(カワサキトラクションコントロール)やコーナリング対応ABS、より低回転(欧州リリースでは2500rpm→1500rpmと表記)から作動するようになった双方向KQS(カワサキクイックシフター)といった新採用の機能を一括して管理する。
このほか、クルーズコントロールも新たに搭載した。
フレームの改良と足まわりの強化
剛性バランスの最適化やシートレール形状の変更を受けた。
メインフレームはヘッドパイプ周辺のガセットを変更して剛性バランスを最適化。シートレール形状をフラットにすることでシートクッションの厚みを増しながら足着き性も確保している。
前後サスペンションは設定変更を受けたほか、フロントブレーキには新たにニッシン製ラジアルマウントキャリパーを採用。リヤブレーキはパッドの摩材とブレーキホースの素材が変更された。前後タイヤは新たにダンロップ製スポーツマックスQ5Aを採用している。
Z900 SEのハイグレードモデルとしての専用装備は、ゴールド仕様になった倒立フロントフォークにブレンボ製M4.32ラジアルマウントモノブロックキャリパー(Z H2と同スペック)を組み合わせ、ニッシン製ラジアルポンプマスターシリンダーを奢る。リヤショックはリモート式プリロードアジャスターなどを備えたオーリンズ製S46だ。
このほかにも、SE専用ボディカラーやツートーンシート、フロントカウル内のUSB-Cソケット、さらに国内モデル専用装備としてETC2.0車載器も標準装備する。
デザイン性と居住性を向上したボディワーク
エルゴノミクス(人間工学)の領域も改良を受けた。シート高は欧州仕様で830mmになっているが、日本仕様では810mmに。体重移動などがしやすい形状になったとされている。またパッセンジャーシートはクッション厚を15mmアップするとともに前後座面長も伸ばされ、快適性を向上した。
ハンドルバーはアルミ製のファットバーを採用。スイッチボックスも新しくなり、従来モデルのメーターまわりのボタンを廃止して操作系を手元に集約した。
ヘッドライトは新たにコンパクトな3眼タイプとし、ロービームで上側の2灯、ハイビームで下側中央の1灯が点灯する。よりシャープになった表情には、コンパクトなメーターカバーも貢献している。
ラジエターシュラウドは『Z』のロゴが刻まれたメタルプレートを配したのも新しい印象を与えている。燃料タンクカバーはシュラウドと分離され、ニーグリップ部分はフレームが露出するほどスリムに。シルバーのプレートが追加されたキーシリンダー周辺のデザインやシートレザーの変更、よりショートになったテールセクションのデザインも見どころだ。
ウインカーは前後ともLED。テールランプは新たにLED導光タイプとし、横長の新たなイメージを付加している。
フルデジタルの5インチTFTディスプレイを採用
RIDEOLOGY THE APP MOTORCYCLE(Turn-byTurn Navigation)
メーターは2つの表示モードを持つ5インチTFTディスプレイを新採用。背景色は周囲の明るさによって白または黒に自動的に切り替わる。表示項目は速度、エンジン回転、ギヤ段数、シフトライト、燃料残量計、オド/デュアルとリプ、瞬間/平均燃費、航続可能距離、平均速度、合計走行時間、水温計、時計、電圧計、KQS、クルーズコントロール、メンテナンス通知、ライディングモード、スマートフォン連携機能など多岐にわたる。
注目はカワサキとして初めて採用するボイスコマンド機能とターンバイターンナビゲーションの実装だ。新バージョンのライディオロジーアプリによってスマートフォンと連携することによって実現する機能で、さらにスマートフォン画面にナビゲーションマップ、メーター画面にターンバイターンを同時に表示することも可能だ。
このほか、ライディオロジーアプリによって車両情報の管理やライディングログ(GPS対応)、電話の着信通知、車両の各種設定などもできる。
なお、このモデルはカワサキケアモデルに指定されており、1か月目点検に加え、3年間の定期点検とオイル交換(オイルフィルター含む)を無償で受けることができる。
Z900 SE の車体カラーとスペック
KAWASAKI Z900 SE[2025 model]メタリックグラファイトグレー×エボニー(GN1)
| 車名 | Z900 SE |
| 型式 | 8BL-ZR900S |
| 全長×全幅×全高 | 2065×830×1110mm |
| 軸距 | 1450mm |
| 最低地上高 | 145mm |
| シート高 | 810mm |
| キャスター/トレール | 24.7°/110mm |
| 装備重量 | 215kg |
| エンジン型式 | 水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ |
| 総排気量 | 948cc |
| 内径×行程 | 73.4×56.0mm |
| 圧縮比 | 11.8:1 |
| 最高出力 | 124ps/9500rpm |
| 最大トルク | 10.0kg-m/7700rpm |
| 始動方式 | セルフ式 |
| 変速機 | 常時噛合式6段リターン |
| 燃料タンク容量 | 17L |
| WMTCモード燃費 | 20.5km/L |
| タイヤサイズ前 | 120/70ZR17 |
| タイヤサイズ後 | 180/55ZR17 |
| ブレーキ前 | φ300mmダブルディスク |
| ブレーキ後 | φ250mmディスク |
| 乗車定員 | 2名 |
| 価格 | 165万円 |
| 車体色 | 灰×黒 |
| 発売日 | 2025年4月12日 |
Z900 SE のディテール
オーリンズ製S46リヤショックとブレンボ製ブレーキコンポーネント(M4.32ラジアルマウントモノブロックキャリパー/ディスク)を採用。フロントブレーキのマスターシリンダーはニッシン製ラジアルポンプ式だ。
純正アクセサリー
KAWASAKI Z900 SE[2025 model]
KAWASAKI Z900 SE[2025 model]
KAWASAKI Z900 SE[2025 model]
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