BMWモトラッドは1月21日、1802cc空油冷水平対向2気筒エンジンを搭載するクルーザー『R18(アールエイティーン)』シリーズの2025年モデルを発表した。現在のところ国内導入時期や車両価格は未発表だ。
●文:ヤングマシン編集部(山下剛) ●外部リンク:BMWモトラッド
ユーロ5+に対応したビッグボクサーはブラッシュアップしたルックスで登場
R18は、BMWモトラッド史上最大排気量となる1802cc空油冷水平対向2気筒エンジンを搭載するクルーザーだ。2024年モデルでは、スタンダードモデルとなるR18のほか、スクリーンやパニアバッグを備えるR18クラシック、フェアリングとパニアケースを備えてバガースタイルとしたR18B、大型フェアリングとパニアケースに加えてトップケースを備えるR18トランスコンチネンタル、ミニエイプハンガーハンドルがカスタムムードを高めるR18ロクタンの5車種がある。
2025年式となる新型R18シリーズに共通するアップデート内容は、新排ガス規制対応を主軸とするマイナーチェンジとなっている。
・エンジン制御の改良によるトルク向上とユーロ5+対応
・外観デザインや利便性の向上
エンジンは新排ガス規制であるユーロ5+に対応。最高出力はそのままに、最大トルクは5Nm(0.5kg-m)増加させた163Nm(16.6kg-m)となった。また、2000~4000rpmで最大トルクの90%以上を発生するため、扱いやすさが向上している。
では、5車種が展開されるR18シリーズ、それぞれの変更点を見ていこう。
BMW R18
スタンダードとなるR18は、従来型では16インチだったリアホイール径が18インチと大径化され、新しいデザインとなる7本のダブルスポークを持つアルミ鋳造ホイールとなった。また、大径化によって装着されるタイヤのサイズは、180/65B16から180/55B18に変更。同時にリアサスペンションもリセッティングされ、従来モデルよりも快適な乗り心地を実現している。
オプションには機械加工されたアルミ鋳造ホイール(F19×R16、F21×R18)やワイヤースポークホイール(F19×R16)も用意される。
外装では、前後フェンダー、サイドカバーのデザインを刷新。フロントフォークからカバーを外してインナーチューブをむき出しにしたことで、ラフな印象を作り出している。
サイレンサーはフィッシュテールから円筒形へ変更。スポンジを10mm厚くして快適性を高めたシートは、カバー下に設けられたブッシュボタンの操作で簡単にロックを解除できる。このほか、デイタイムランニングライト(DRL)、USB-Cソケットが装備される。
オプションのコンフォートパッケージを選ぶと、クルーズコントロール、グリップヒーター、ヒルスタートコントロール、リモコンキー対応燃料タンクキャップが装備される。
BMW R18 CLASSIC
大型スクリーンとサブライト、ソフトタイプのサドルバッグを備えるのがクラシックだ。大きな変更点は、フロントホイール径が従来の16インチから19インチワイヤースポークとなったことで、タイヤサイズは130/90B16から120/70 R19になった。
フロントフェンダーはR18Bと同じ意匠のロングタイプとなり、クラシカルなルックスに磨きをかけた。DRLとUSB-Cソケットを装備する。エンジンはブラックアウト仕様を、エキゾーストにはダーククロームをオプションで選べるようになった。
オプションのコンフォートパッケージには、グリップヒーター、ヒルスタートコントロール、リモコンキー対応燃料タンクキャップが含まれる。
BMW R18 ROCTANE
新色としてツートーンドラゴンファイヤレッドメタリックの車体色が登場するほか、プッシュロッド、インテーク、サイレンサー、ヘッドライトケースがダーククローム加工される。
オプションのコンフォートパッケージには、ヒルスタートコントロール、タイヤ空気圧モニター(RDC)、リモコンキー対応燃料タンクキャップ、グリップヒーターが含まれる。
BMW R18B
右側ハンドルスイッチに、集中ロックシステムボタンに代わって、頻繁に使う機能設定画面へ素早くアクセスできるフェイバリットボタンを装備する。なお、集中ロックボタンはリモコンキーに備わる。
オプションのコンフォートパッケージには、ヒルスタートコントロール、RDC、集中ロック、リモコンキー対応燃料タンクキャップ、シートヒーターが含まれる。
BMW R18 TRANSCONTINENTAL
新しい車体色のツートーンドラゴンファイヤレッドメタリックが加わり、フェイバリットボタンを装備する。
オプションのコンフォートパッケージには、ヒルスタートコントロール、RDC、集中ロック、リモコンキー対応燃料タンクキャップ、シートヒーターが含まれる。
なお、コンフォートパッケージの内容は欧州仕様のもので、国内仕様では変更になる可能性がある。
1936年のR5をオマージュ
2020年に登場したR18は、BMWにとって2004年まで生産していたR1200Cシリーズ以来となるクルーザーだ。BMW史上最大排気量となる1802cc空油冷ボクサーエンジンを搭載する威風堂々たる車体のフォルムは、BMWが1936年に発売したR5をオマージュしている。
R5は、レーシングモデルRS 500の公道仕様として登場したモデルで、フロントサスペンションに高性能化した油圧式テレスコピックフォークを採用し、これに耐えうるべくプレスフレームからパイプフレームとしたスポーツモデルだ。ちなみに、現代では一般的となっているテレスコピック式フォークはBMWが発明したフロントサスペンションである。
リアショックを持たないリジット構造だったR5のスタイリング、燃料タンクからリアフレームへと流れる流麗なライン、OHVというバルブ開閉機構、ケースを持たずむき出しのまま回転するドライブシャフトなど、R18は往時のBMWボクサーのディテールを忠実に再現している。
伝統を継承しつつ、最新のノウハウとテクノロジーによってアメリカンクルーザーという沃野を開拓するR18は、BMWのチャレンジングスピリッツを体現したモデルである。2025年の最新R18は、エンジンの改良や電子制御デバイスの熟成などによって着実に深化している。
BMW R18 のスペックとカラーバリエーション
主要諸元■全長2440 全幅949 全高1126 軸距1731 シート高720(各mm) 車重345kg■空油冷4ストローク水平対向2気筒OHV4バルブ 1802cc 91ps/4750rpm 16.6kg-m/3000rpm 変速機6段 燃料タンク容量16L■タイヤサイズF=120/70R19 R=180/55B18 ●色:黒、灰、つや消し濃灰、緑 ●価格:未発表 ●国内発売日:未発表 ※主要諸元は欧州仕様R18
R18
R18 CLASSIC
R18 ROCTANE
R18B
R18 TRANSCONTINENTAL
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(BMWモトラッド)
「BMW R12nineT」ベースで、よりダイナミックに 新型BMW R12Sは、1970年代に数々の伝説を残した究極のレーシングマシン「R90S」を彷彿とさせるシルエットとカラーリングに加えて、BM[…]
レーシングマシン「R90S」を彷彿とさせるシルエットとオレンジカラー BMWは、BMWモトラッドのヘリテイジカフェレーサー「BMW R12S」を国内200台限定で発売すると発表。1月22日より200台[…]
時期が合えば水仙と桜の共演も 日本の三大水仙群生地と呼ばれているのが、福井県の越前海岸と、兵庫県の淡路島、そして千葉県の南房総:鋸南町である。鋸南町の水仙は12月中旬から1月下旬が見頃で、2025年も[…]
年間6000台が目前に! BMW Motorradは、2024年の新規登録台数が2010年7月の統計開始以来、史上最高を記録。BMW Motorradの登録台数は250cc市場で5,986台(対前年比[…]
BMWモトラッドにおけるヘリテイジカテゴリーとは BMWモトラッドには、Sport/M/Tour/Roadster/Heritage/Adventure/Urban Mobilityの7つのカテゴリー[…]
最新の関連記事(新型クルーザー)
6速MT仕様に加えEクラッチ仕様を設定、SエディションはEクラッチ仕様のみに 2017年4月に発売され、翌年から2024年まで7年連続で軽二輪クラスの販売台数で断トツの1位を記録し続けているレブル25[…]
プロトは国内導入を前のめりに検討中! イタリアで1911年に誕生し、現在は中国QJグループの傘下にあるベネリは、Designed in Italyの個性的なモデルをラインナップすることで知られている。[…]
様々な使い方や乗り方に応える懐の深さが魅力 2024年上半期、400ccクラスの販売台数でGB350をしのぎトップに躍り出たのがエリミネーターだ。それどころか、大型バイクを含めた車検付クラスでもZ90[…]
OHV45度Vツインの伝統を受け継ぐ史上最強エンジンは、キャラに違いあり!! 長きにわたり、ウィリーGが熱き情熱でスタイリングを手がけ、開発技術者たちとともに魂が込められ、製品化されてきたハーレーダビ[…]
トライアンフの歴史を華々しく飾った一流スタントライダーの記念碑的モデル トライアンフ・ロケット3は、2458cc水冷並列3気筒エンジンをクランク縦置きで搭載するメガクルーザーだ。このたび発表された特別[…]
人気記事ランキング(全体)
カワサキUSAが予告動画を公開!!! カワサキUSAがXで『We Heard You. #2Stroke #GoodTimes #Kawasaki』なるポストを短い動画とともに投稿した。動画は「カワサ[…]
もう走れるプロトがある! 市販化も明言だ 「内燃機関領域の新たなチャレンジと位置づけており、モーターサイクルを操る楽しさ、所有する喜びをより一層体感できることを目指している。走りだけでなく、燃費、排ガ[…]
通勤からツーリングまでマルチに使えるのが軽二輪、だからこそ低価格にもこだわりたい! 日本の道に最適なサイズで、通勤/通学だけでなくツーリングにも使えるのが軽二輪(126~250cc)のいいところ。AT[…]
根強い人気のズーマー 2000年代、若者のライフスタイルに合ったバイクを生み出すべく始まった、ホンダの『Nプロジェクト』。そんなプロジェクトから生まれた一台であるズーマーは、スクーターながら、パイプフ[…]
「日本の旗艦が世界を討つ」 今から約半世紀前の1959年は、ホンダがマン島TTレースおよび世界GPに挑戦を開始した年だ。 同年、戦後より国民の移動手段として補助エンジンや実用二輪車を製造販売してきたホ[…]
最新の投稿記事(全体)
ユーロ5+に対応したビッグボクサーはブラッシュアップしたルックスで登場 R18は、BMWモトラッド史上最大排気量となる1802cc空油冷水平対向2気筒エンジンを搭載するクルーザーだ。2024年モデルで[…]
スズキGT750 概要:対CBフォア、愛称”ウォーターバッファロー” 1969年に発売されたカワサキ マッハIIIに対抗するかのように、並列3気筒を選び、なおかつ750ccの大排気量と水冷を採用したの[…]
※記事中の画像のキーパターンは加工してあります ホコリや汚れを呼ぶ潤滑スプレー 鍵を差すときに動きが渋いなーとか、引っ掛かるなーと感じたことはありませんか? 家の鍵や自転車の鍵、倉庫の南京錠など、身の[…]
見る角度によって印象が異なるカラフルなグラフィックが特徴 MotoGPに昇格した2013年から在籍したホンダを離れ、2024年からグレシーニ・レーシング(ドゥカティ)に移籍したマルク・マルケス選手だが[…]
2ストローク初心者に知っておいて欲しいこと 日本国内では製造中止から18年経った、2ストロークエンジンのオートバイ。未だに人気が衰えないどころか、半ば伝説化していて、若いライダーの注目も集めているとか[…]
- 1
- 2