ホンダは、EICMA 2024で『new ICE concept』と名付けた新しいコンセプトモデルを発表した。搭載するエンジンは、なんと約40年ぶりのV型3気筒。しかも二輪車として世界初の電動過給機を搭載している!
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:ホンダ
プロアームはかつてのVFRを思わせるが……?
ホンダが全く新しい内燃機関のコンセプトモデルとして世界初公開したのは、『new ICE concept』と名付けられたV3エンジンだった。電動過給機付きというから恐れ入る。
“新規開発中の大型二輪車を想定した水冷75度V型3気筒エンジン”との触れ込みから、公道市販車に搭載する前提なのは間違いなく、コンセプトモデルの車体はざっくりながらロードスポーツ然としている。プロアームの採用などはかつて最新技術を最初に投入するお約束になっていたVFR750F~VFR800Fなどを思わせる。
電動コンプレッサー=過給機を採用したことにより、エンジン回転数にかかわらず任意に過給をコントロールすることができ、低回転からハイレスポンスを実現可能。加えてスリムなV3エンジンとの組み合わせにより、スペースが限られている二輪車において、マスの集中化を狙った搭載位置の自由度も高い。また、インタークラーを必要としない設計としたことで軽量化にも貢献しているという。
まだまだわからないことだらけだが、ホンダがこうした内燃機関絡みのコンセプトモデルで市販車を色濃く示唆するのは、デュアルクラッチトランスミッション=DCTを初めて搭載して2010年に発売されたVFR1200F以来かもしれない。
その後、DCTは広く普及し、現在のオートマチックトランスミッションブームの端緒になったのは、ベテランのバイクファンならよく知るところだろう。
ホンダは、この電動過給機付きV型3気筒エンジンを内燃機関領域での新たなチャレンジとして位置づけ、モーターサイクルを操る楽しさ、所有する喜びをより一層体感してもらうことを目指すとしている。
その答えがスポーツツアラーになるのか、その発展としてスーパースポーツやクロスオーバーモデルなどもあり得るのか……。楽しみに待ちたい!
電動過給機付きV型3気筒エンジン(コンセプトモデル)
搭載する電動過給機付きV型3気筒エンジンのほかには、インナーチューブにDLCコートを施した倒立フロントフォークやリンクレス式のリヤショック、プロアーム式(片持ち式)スイングアームの採用などが目を惹く。スチールパイプによるトラス(一部トレリス)フレームはコンセプトモデル用に製作されたダミーの可能性が高いが、スイングアームピボットとメインフレームを分離した、いわゆるピボットレスフレームのたぐい。もしこのまま市販車につながるなら大きなトピックになりそう? ラジアルマウント式のフロントブレーキキャリパーはトキコ製だ。
エンジン自体に目をやると、まずわかるのはDOHCを採用し、ダウンドラフト吸気になっていること。そして気になるのは右側にあるクラッチカバーのあたりだが、レリーズに相当するものが露出していないのでDCT(あるいは内蔵式のEクラッチとか?)だろうか。ただしこのカバーまわりもダミーの可能性がなくはないのでなんとも言えないところ。エンジン左側で言えば、ドライブスプロケットの取り出し軸はあるものの、シフトシャフトの存在が伺えず、こちらもDCTの採用などを想像させる。
答えが明らかになるのは……早くて2025年のEICMAだろうか。
【動画】New V3 Engine Concept | Honda Motorcycles
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(ホンダ [HONDA])
市販バージョンは750ccオーバー!? ホンダが世界に先駆けて量産直4マシン=CB750フォアを発売したのは’69年のこと。つまり、今年は直4CBの生誕30周年にあたるってわけ。そこで、提案モデルとい[…]
免許取得と同時にCBR250RRを購入 胡桃さんはお父さんのバイクの後ろに乗ってその楽しさに目覚めました。バイク屋さんで見たCBR250RRに一目惚れして購入を決意。普通二輪免許を取得してからは夢中に[…]
外装デザイン&素材ほか細部にわたり多数のアップデート ホンダは「NC750X」をマイナーチェンジ。通常の燃料タンク位置に容量23Lの収納スペースを設け、欧州では半数のユーザーが選択するというDCT仕様[…]
50ccクラスは16歳から取得可能な“原付免許”で運転できるほか、普通自動車免許でもOK バイクを運転するための免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大[…]
オンロードでも安心感ある良好なコーナリング特性 2024年4月に、従来型の400Xがモデルチェンジされ、同時に車名も変更されてデビューしたのがNX400ですが、そのスタイリングにはラリーマシンのテイス[…]
最新の関連記事(メカニズム/テクノロジー)
2スト500cc最強GPマシンを4ストで凌駕せよ! ホンダが世界GP復帰宣言後、1978年から開発していた500cc4ストロークV型4気筒のNR500。 当時の最高峰500ccクラスで覇を競っていたヤ[…]
クラッチレバー不要でギヤチェンジできる自動遠心クラッチ 今から65年前にの1958年に誕生したスーパーカブC100は、ホンダ創業者の本田宗一郎氏と専務の藤澤武夫氏が先頭に立って、欧州への視察などを通じ[…]
新エンジン、電動スポーツ、電動都市型バイク、全部やる! ホンダは新しい内燃機関と電動パワーユニットの両方で行く! そう高らかに宣言するかのような発表がミラノショー(EICMA 2024)で行われた。ひ[…]
ライダーを魅了してやまない「ハイパーVTEC」 CB400SF(スーパーフォア)に採用されていることでも有名な、バルブ制御システム「ハイパーVTEC(HYPER VTEC)」。この口コミを検索してみる[…]
レーダーを核とした6種のARAS新機能を一挙公開&テストもさせてくれた! ボッシュ(Bosch)といえばドイツの会社で、ABSをはじめ、レーダーを利用したACC(アダプティブクルーズコントロール)とい[…]
人気記事ランキング(全体)
ステップアップの階段・R7の成功が生んだR9 YZF-R9の開発者・お二人にインタビュー 編集部:まずはYZF-R9(以下R9)の企画経緯や狙いを教えてください。 兎田:他社さんを含めてスーパースポー[…]
「お金も時間もありそうなのに、なぜこんな天気の良い日にツーリングにも行かず、用品店に来ているんだろう?」という疑問 都内の某大手バイク用品店の駐輪場にて。今日も「なぜ来ているのかわからない?」ようなバ[…]
ジクサー150でワインディング 高速道路を走れる軽二輪で、約38万円で買えて、燃費もいいというウワサのロードスポーツ──スズキ ジクサー150。 まだ子どもの教育費が残っている50代家族持ちには(まさ[…]
セルが弱くなったらバッテリー交換のサイン スクーターのバッテリーが弱ってきたのか、始動性がイマイチになってきました。 そういえば、このバッテリーもずいぶんずいぶん古くなってきたので、バッテリーを買い替[…]
市販バージョンは750ccオーバー!? ホンダが世界に先駆けて量産直4マシン=CB750フォアを発売したのは’69年のこと。つまり、今年は直4CBの生誕30周年にあたるってわけ。そこで、提案モデルとい[…]
最新の投稿記事(全体)
様々なイベントで製品を伝えるサイン・ハウス サイン・ハウスは、様々なイベントに出向いてユーザー接点を多くとっている。最新モデルを直接体感してもらい、それぞれの特徴を的確にユーザーに伝える。活用方法や操[…]
YZF-R9の開発者・お二人にインタビュー スピンフォージドホイールを非採用の理由とは? (前編から続く)編集部:エンジンですが、内部部品や吸排気系も含め、基本的にはMT-09と共通です。YZF-R9[…]
1月25日(土)に東京都・埼玉県のバイク用品店3店舗にて開催! 2024年のロードレース世界選手権にて、Moto2クラスのチャンピオンを獲得した小椋 藍選手のサイン会が、2025年1月25日(土)に、[…]
250ccクラスは16歳から取得可能な“普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は全部で7種類ある。原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制[…]
市販バージョンは750ccオーバー!? ホンダが世界に先駆けて量産直4マシン=CB750フォアを発売したのは’69年のこと。つまり、今年は直4CBの生誕30周年にあたるってわけ。そこで、提案モデルとい[…]
- 1
- 2