
ホンダレーシングは、電動トライアルバイク「RTL ELECTRIC(アールティーエル・エレクトリック)」で全日本トライアル選手権の第6戦 和歌山・湯浅大会に参戦することを発表した。チームはワークスの「チームHRC」、ライダーはなんと藤波貴久だ。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:ホンダ
ヤマハ「TY-E 2.2」の牙城を崩すか
藤波貴久が選手として全日本トライアル選手権に参戦する! 2021年までトライアル世界選手権でライダーとして活躍し、2004年にはチャンピオンを獲得。2021年シーズン限りで現役を引退し、翌2022年からは絶対王者トニー・ボウ選手を擁するレプソルホンダチームの監督を務めている藤波さんは、開けっぷりのいい走りから“フジガス”の異名を持つレジェンドライダーだ。
そんな藤波“選手”が参戦するのは、全日本トライアル選手権の第6戦 和歌山・湯浅大会で、マシンは初お目見えのホンダ製電動トライアルマシン「RTLエレクトリック」。本人はSNSで「開発ライダーとしての限定参戦ですが、久しぶりに日本の ファンの皆様の前で走れることが、今からとても楽しみです🤩」と報告している。
現在の全日本トライアル選手権は、トップカテゴリーのIAスーパーにヤマハが3台の電動マシン「TY-E 2.2」を送り込み、2024年第3戦では初優勝を遂げるとともに表彰台を独占。ランキングトップには氏川政哉選手、3位に黒山健一、4位に野崎史高選手と、TY-E 2.2を駆る3選手が最高峰クラス11連覇中のホンダ小川友幸選手(ランキング2位)に対し包囲網を敷いている。
全日本トライアル選手権IASランキング
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | 氏川政哉 | Yamaha | 76 |
2 | 小川友幸 | Honda | 71 |
3 | 黒山健一 | Yamaha | 71 |
4 | 野崎史高 | Yamaha | 56 |
5 | 小川毅士 | Beta | 53 |
そんな全日本トライアル選手権に、フジガスが電動マシンで殴り込みをかけるというわけだ。「2024 MFJ全日本トライアル選手権シリーズ 第6戦 和歌山・湯浅大会」は10月13日に開催される。
フジガスの名は、フルスロットルでガス(燃料)をくれてやることに由来するが、電動でもフジガスなのか(というか“そもそもガスなのか問題”もある)注目したい。
フジガスは,電気バイクに乗っても…フジガスなの❓❓❓😳💦💦 pic.twitter.com/sopjn33Ybw
— 黒山健一 (@ken1kuroyama) September 13, 2024
RTL ELECTRIC(アールティーエル・エレクトリック)
RTL ELECTRIC
RTL ELECTRICは、前述のトニー・ボウ選手の18連覇に貢献しているワークスマシン「Montesa COTA 4RT」で培った技術やノウハウに基づいて新規に開発された、ホンダ初の競技用電動トライアルバイク。今シーズンから電動オフロードバイクの世界戦「FIM E-Xplorer World Cup」に参戦している「CR ELECTRIC PROTO」で得た知見も活かされているという。
藤波貴久さん
開発ライダーを務めたのはもちろん藤波貴久さんで、下記のようにコメントしている。
「Hondaのカーボンニュートラルへの取り組みに対し、トライアルで関わることができ、大変うれしく思っています。電動のトライアルバイクには無限の可能性があり、ライダーとしてのこれまでの経験を活かして、開発チームとともにより良いマシンに仕上げていきたいと思っています。今回は現役復帰ではないので、開発ライダーとしての限定ですが、久しぶりに日本のファンの皆様の前で走れることが、今からとても楽しみです」
また、株式会社ホンダ・レーシング(HRC)代表取締役社長 渡辺康治氏は「Hondaは今年、電動オフロードバイクレースの新しいカテゴリーであるFIM E-Xplorer World Cupの参戦を開始しましたが、この度全日本トライアル選手権にも、RTL ELECTRICで参戦することを決めました。電動二輪車で参戦するカテゴリーを増やしていくことで、技術を実戦の場で鍛え、ノウハウ・知見の蓄積、人材の育成をさらに加速させていきます。最後になりましたが、このプロジェクトに全面的に協力してくれた藤波貴久さんには、心から感謝いたします」とした。
参戦体制
参戦チーム名:Team HRC
参戦車両名:RTL ELECTRIC
参戦ライダー:藤波貴久(ふじなみ・たかひさ)
アシスタント:Carles Barneda Romans※(カルロス・バルネダ・ロマンス)
※4 現在はトニー・ボウ選手のマインダー(アシスタント)で、藤波貴久の選手時代には長く彼のマインダーを務めていた
藤波貴久さんのプロフィール
生年月日:1980年1月13日(44歳)
出身地:日本(三重県)
主な略歴
1993年 MFJ全日本トライアル選手権 国際B級に13歳で参戦
1995年 MFJ全日本トライアル選手権 国際A級 チャンピオン
1998年 FIMトライアル世界選手権 4位、MFJ全日本トライアル選手権 IAS チャンピオン
1999年 FIMトライアル世界選手権 2位、MFJ全日本トライアル選手権 IAS チャンピオン
2000年 FIMトライアル世界選手権 2位、MFJ全日本トライアル選手権 IAS チャンピオン
2001年 FIMトライアル世界選手権 2位、MFJ全日本トライアル選手権 IAS チャンピオン
2004年 FIMトライアル世界選手権 チャンピオン
2021年 26年間参戦してきたFIMトライアル世界選手権を選手として引退
FIMトライアル世界選手権 出場数:355戦、優勝回数:34勝
2022年 ワークスチーム「Repsol Honda Team」の監督に就任
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(ホンダ [HONDA])
ホンダ「CB1000F SE コンセプト」が鈴鹿8耐で世界初公開! 8月1日より予選が始まった“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第46回大会のホンダブースにて、CB1000F SE コンセプト[…]
ホンダ初の本格的電動モーターサイクルが間もなく……? 2024年秋のEICMAで世界初公開された電動二輪車のコンセプトモデル「EV Fun Concept(イーヴィー ファン コンセプト)」は、202[…]
情報量が渋滞しすぎィ! ホンダは本日、突如としてHonda×Kuromiのスペシャルサイトを公開。Kuromiとはサンリオのキャラクターで、自称マイメロディのライバルだ。サンリオの公式ページには「乱暴[…]
2025モデルの新車「GB350C」のイメージが… ネオレトロスタイルの単気筒ロードスポーツ・GB350をベースとして2024年にリリースされた「GB350C」は、前後にディープフェンダーを採用したク[…]
2ストGPマシン開発を決断、その僅か9ヶ月後にプロトは走り出した! ホンダは1967年に50cc、125cc、250cc、350cc、そして500ccクラスの5クラスでメーカータイトル全制覇の後、FI[…]
最新の関連記事(レース)
欧州仕様に準じた仕様でKYB製フロントフォーク、ウイングレット、ブレンボキャリパーなどを採用するR1 2026年シーズンをヤマハ車で戦うライダーに向け、サーキット走行専用モデルの新型「YZF-R1 レ[…]
『鈴鹿8時間耐久ロードレース選手権』を初めて観戦した模様を動画に収録 この動画では、若月さんが鈴鹿サーキットの熱気に包まれながら初めて目の当たりにするロードレースの“速さ”や“迫力”に驚き、感動する姿[…]
2ストGPマシン開発を決断、その僅か9ヶ月後にプロトは走り出した! ホンダは1967年に50cc、125cc、250cc、350cc、そして500ccクラスの5クラスでメーカータイトル全制覇の後、FI[…]
全日本ロードレース選手権・第4戦「SUPERBIKE in MOTEGI」が2025年8月23日・24日に栃木県・モビリティリゾートもてぎで行われた。 決勝日の24日、朝8時からのウォームアップ走行を[…]
タイヤの内圧規定ってなんだ? 今シーズン、MotoGPクラスでたびたび話題になっているタイヤの「内圧規定」。MotoGPをTV観戦しているファンの方なら、この言葉を耳にしたことがあるでしょう。 ときに[…]
人気記事ランキング(全体)
新たな時代の「角Z」:スタイルと操案の狭間で揺れたZ1-Rの人気 Z1からZ1000までリファインを重ねて完成度を高めた“丸Z”だが、1970年代後半にはスズキのGS750/1000のようなライバル車[…]
取り付けから録画までスマートすぎるドライブレコーダー ドライブレコーダーを取り付ける際、ネックになるのが電源確保のための配線作業だ。バイクへの取り付けともなると、専門知識や工具、あるいは高めの工賃が必[…]
2ストGPマシン開発を決断、その僅か9ヶ月後にプロトは走り出した! ホンダは1967年に50cc、125cc、250cc、350cc、そして500ccクラスの5クラスでメーカータイトル全制覇の後、FI[…]
3つの冷却プレートで最大-25℃を実現 2025年最新モデルの「ペルチェベスト」は、半導体冷却システムを採用し、背中に冷たい缶ジュースを当てたような感覚をわずか1秒で体感できる画期的なウェアです。小型[…]
フレームまで変わるモデルチェンジ、かつリヤキャリアを新装備してたったの+6600円 スズキは、グローバルで先行発表されていた新型「アドレス125」の国内導入を正式発表。基本スタイリングは継承しながら、[…]
最新の投稿記事(全体)
日本では400だが、グローバルでは500(451ccエンジン)のエリミネーター 欧州でエリミネーター500/SEに新色が登場した。日本仕様でプラザエディションとしてラインナップされる『メタリックインペ[…]
仕事を通じてわかった、足を保護すること、足で確実に操作すること 今回は、乗車ブーツの話をします。バイクに乗る上で、重要な装備の一つとなるのが乗車ブーツです。バイクの装備といえばヘルメットやジャケット、[…]
3色すべてホイールカラーも異なる カワサキは欧州でZ650RSのニューカラーを発表。カラーバリエーションの全てが新色に置き換わり、黒ボディにレッドストライプ&レッドホイールのエボニー、メタリックブルー[…]
欧州仕様に準じた仕様でKYB製フロントフォーク、ウイングレット、ブレンボキャリパーなどを採用するR1 2026年シーズンをヤマハ車で戦うライダーに向け、サーキット走行専用モデルの新型「YZF-R1 レ[…]
メーカー自体が存在しない絶版車のメンテやレストアは難しい 日本のバイクメーカーは今でこそ4社に集約されていますが、1950年代には大小含めて数十社のメーカーが林立していました。第二次世界大戦で疲弊した[…]
- 1
- 2