普段はレプソルホンダチームの監督を務めるフジガスが……!

ホンダの電動「RTLエレクトリック」で藤波貴久が全日本トライアル参戦!! 10月13日 第6戦に

ホンダレーシングは、電動トライアルバイク「RTL ELECTRIC(アールティーエル・エレクトリック)」で全日本トライアル選手権の第6戦 和歌山・湯浅大会に参戦することを発表した。チームはワークスの「チームHRC」、ライダーはなんと藤波貴久だ。


●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:ホンダ

ヤマハ「TY-E 2.2」の牙城を崩すか

藤波貴久が選手として全日本トライアル選手権に参戦する! 2021年までトライアル世界選手権でライダーとして活躍し、2004年にはチャンピオンを獲得。2021年シーズン限りで現役を引退し、翌2022年からは絶対王者トニー・ボウ選手を擁するレプソルホンダチームの監督を務めている藤波さんは、開けっぷりのいい走りから“フジガス”の異名を持つレジェンドライダーだ。

そんな藤波“選手”が参戦するのは、全日本トライアル選手権の第6戦 和歌山・湯浅大会で、マシンは初お目見えのホンダ製電動トライアルマシン「RTLエレクトリック」。本人はSNSで「開発ライダーとしての限定参戦ですが、久しぶりに日本の ファンの皆様の前で走れることが、今からとても楽しみです?」と報告している。

現在の全日本トライアル選手権は、トップカテゴリーのIAスーパーにヤマハが3台の電動マシン「TY-E 2.2」を送り込み、2024年第3戦では初優勝を遂げるとともに表彰台を独占。ランキングトップには氏川政哉選手、3位に黒山健一、4位に野崎史高選手と、TY-E 2.2を駆る3選手が最高峰クラス11連覇中のホンダ小川友幸選手(ランキング2位)に対し包囲網を敷いている。

全日本トライアル選手権IASランキング

順位ライダーマシンポイント
1氏川政哉Yamaha76
2小川友幸Honda71
3黒山健一Yamaha71
4野崎史高Yamaha56
5小川毅士Beta53
※第4戦終了時/第5戦は台風で中止

第3戦もてぎ大会では、電動トライアルバイクが国内最高峰クラスで史上初優勝と同時に表彰台独占を果たした。左から、黒山健一選手(2位)、氏川政哉選手(優勝)、野崎史高選手(3位)。

勝利したのは、bLU cRU VICTORYの氏川政哉選手。ちなみにクラス問わずで言えば電動トライアルバイクの初優勝は成田匠選手+EM(エレクトリックモーション)の組み合わせで、2024全日本トライアル選手権第2戦だった。

そんな全日本トライアル選手権に、フジガスが電動マシンで殴り込みをかけるというわけだ。「2024 MFJ全日本トライアル選手権シリーズ 第6戦 和歌山・湯浅大会」は10月13日に開催される。

フジガスの名は、フルスロットルでガス(燃料)をくれてやることに由来するが、電動でもフジガスなのか(というか“そもそもガスなのか問題”もある)注目したい。

RTL ELECTRIC(アールティーエル・エレクトリック)

RTL ELECTRIC

RTL ELECTRICは、前述のトニー・ボウ選手の18連覇に貢献しているワークスマシン「Montesa COTA 4RT」で培った技術やノウハウに基づいて新規に開発された、ホンダ初の競技用電動トライアルバイク。今シーズンから電動オフロードバイクの世界戦「FIM E-Xplorer World Cup」に参戦している「CR ELECTRIC PROTO」で得た知見も活かされているという。

藤波貴久さん

開発ライダーを務めたのはもちろん藤波貴久さんで、下記のようにコメントしている。

「Hondaのカーボンニュートラルへの取り組みに対し、トライアルで関わることができ、大変うれしく思っています。電動のトライアルバイクには無限の可能性があり、ライダーとしてのこれまでの経験を活かして、開発チームとともにより良いマシンに仕上げていきたいと思っています。今回は現役復帰ではないので、開発ライダーとしての限定ですが、久しぶりに日本のファンの皆様の前で走れることが、今からとても楽しみです」

また、株式会社ホンダ・レーシング(HRC)代表取締役社長 渡辺康治氏は「Hondaは今年、電動オフロードバイクレースの新しいカテゴリーであるFIM E-Xplorer World Cupの参戦を開始しましたが、この度全日本トライアル選手権にも、RTL ELECTRICで参戦することを決めました。電動二輪車で参戦するカテゴリーを増やしていくことで、技術を実戦の場で鍛え、ノウハウ・知見の蓄積、人材の育成をさらに加速させていきます。最後になりましたが、このプロジェクトに全面的に協力してくれた藤波貴久さんには、心から感謝いたします」とした。

参戦体制

参戦チーム名:Team HRC
参戦車両名:RTL ELECTRIC
参戦ライダー:藤波貴久(ふじなみ・たかひさ)
アシスタント:Carles Barneda Romans※(カルロス・バルネダ・ロマンス)
※4 現在はトニー・ボウ選手のマインダー(アシスタント)で、藤波貴久の選手時代には長く彼のマインダーを務めていた

藤波貴久さんのプロフィール

生年月日:1980年1月13日(44歳)
出身地:日本(三重県)

主な略歴

1993年 MFJ全日本トライアル選手権 国際B級に13歳で参戦
1995年 MFJ全日本トライアル選手権 国際A級 チャンピオン
1998年 FIMトライアル世界選手権 4位、MFJ全日本トライアル選手権 IAS チャンピオン
1999年 FIMトライアル世界選手権 2位、MFJ全日本トライアル選手権 IAS チャンピオン
2000年 FIMトライアル世界選手権 2位、MFJ全日本トライアル選手権 IAS チャンピオン
2001年 FIMトライアル世界選手権 2位、MFJ全日本トライアル選手権 IAS チャンピオン
2004年 FIMトライアル世界選手権 チャンピオン
2021年 26年間参戦してきたFIMトライアル世界選手権を選手として引退
    FIMトライアル世界選手権 出場数:355戦、優勝回数:34勝
2022年 ワークスチーム「Repsol Honda Team」の監督に就任

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