
疲労が蓄積しやすいバイクでのロングツーリング。目的地や道中の休憩でお菓子やスイーツを食べるのも楽しみのひとつですね。地方の名産品を目当てにツーリングに出かけるライダーも多いと思いますが、ご当地スイーツ等の中には少量のアルコールが含まれるものも少なくありません。
●文:ヤングマシン編集部(ピーコックブルー)
スイーツに含まれるアルコール、酒気帯び運転レベルを換算してみた
酒気帯び運転として取り締まられる基準は、呼気1L中のアルコール濃度が0.15mg以上です。
体重や体質によって個人差はありますが、ビール中瓶1本もしくは日本酒1合を飲むと、呼気中のアルコール濃度が0.15mgになるとされています。これをグラム換算すると、約20gのアルコールを体内に入れると酒気帯び運転に該当します。
アルコールが含まれるお菓子/スイーツなどは、酒税法上では酒類に該当しませんが、アルコールが含まれる以上、大量に食べると酔ってしまう可能性はゼロではありません。
では、お菓子/スイーツで20gのアルコールを摂取するには、どのぐらいの量を食べることになるのでしょうか。
アルコール度数3%のウィスキーボンボン→83粒
チョコレートのなかにお酒が封入されたお菓子・ウィスキーボンボンの多くは、アルコール度数2〜3%であることがほとんど。
1粒の重量を8gとすると、含まれるアルコールはひと粒あたり0.16〜0.24g。83〜125粒でアルコール20gに達します。
アルコール度数0.7%のラムレーズンアイス→26個
アイスクリームのなかにもアルコールが含まれるものがあります。その代表が、ラム酒漬けしたレーズンを入れたラムレーズンアイスです。
一般的な商品であればアルコール度数0.7%程度。1カップの内容量を110mlとした場合、摂取するアルコール量は0.77gです。アルコール20gは26個分に相当します。
アルコール度数3%のブランデーケーキ→1本半
ブランデーなどのお酒で風味付けした洋酒ケーキ/日本酒ケーキのアルコール度数は、多くの商品が1%前後で、高いものでは3%ほど。
1本500gのケーキと仮定して、アルコール度数1%の場合は5本分、度数3%の場合は1本半ほど食べると、アルコール20g分に達します。
アルコール度数1%のアルコールゼリー→16個
ワインや日本酒などで作ったアルコール入りゼリーには、度数1%程度のアルコールが含まれます。ゼリー1カップ125gとすると、アルコール20gは16個分に相当します。
スイーツ以外にも案外アルコールが含まれているモノあり
ちなみに、奈良漬けに代表されるお酒を使った漬物や、酒粕を使った粕汁、手製の甘酒などは、意外とアルコール量が多いため、知らずに相当量のアルコールを摂取することに。
そのほか、栄養ドリンクにも1%程度のアルコールが含まれています。医薬品として販売されている栄養ドリンクのなかには、アルコール度数1%を超える商品があるため、バイク乗車前に飲む場合は、成分表を十分に確認しておきたいところです。
さらに意外なところでは、パンも注意したい食べ物として挙げられます。
過去にはバスの運転手が仕事前に蒸しパンを食べたために、乗務前チェックで呼気中に0.11mgのアルコールが検知されて懲戒処分を受けた例もあるようです。
ただしこれは、口のなかに残ったパン酵母によるアルコール成分が、チェッカーに反応したことで起こった事例。また同様に、歯磨き粉/マウスウォッシュのメントール成分等がアルコールチェッカーに反応する場合もあります。
そもそも、アルコールの量が少なければいいという話ではない
このように、市販のお菓子やスイーツであれば、非常識なほど大量に摂取しなければ、酒気帯びに該当する血中アルコール濃度にはなりません。
とはいえ、たとえお菓子であっても、飲酒検問/交通違反取り締まりの際に口から酒の臭いがすれば、警察官からアルコールチェッカーの使用を求められます。仮にそれを拒否すると“飲酒検知拒否罪”となり、3ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金命令が下されることに。
しかしながら、そもそもの話として、“呼気1L中のアルコール濃度が0.15mg”はあくまで酒気帯び運転で罰せられる基準にすぎず、アルコールの影響が出ない基準ではないということを認識する必要があります。
アサヒビールのウェブサイトによると、呼気中のアルコール濃度がわずか0.025mgでも注意力/集中力に影響が出始め、0.1mgになると反応時間に遅れが生じるとのことです。また、アルコールの影響は体質や体調によっても変動します。
そのような一瞬の判断ミス/わずかな操作ミスが、命取りにもなりかねません。運転時には、たとえお菓子類であったとしても、アルコールが入った食品は口にしないほうがよいでしょう。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(交通/社会問題)
歩行者が消える?超危険な「蒸発現象」による事故を防ぐ方法 2024年10月、岡山県内の道路である現象が原因となる交通事故が起きました。横断歩道を渡っていた高齢の女性をクルマがはねた、という事故です。ク[…]
対策意識の希薄化に警鐘を鳴らしたい 24年前、当時、編集長をしていたBiG MACHINE誌で「盗難対策」の大特集をしました。 この特集号をきっかけに盗難対策が大きな課題に そして、この大盗難特集号は[…]
意外と複雑な一方通行の表示 一方通行規制のおもな目的は、車両の相互通行による複雑で危険な交通状況を単純化し、交通の安全と円滑を図ることにある。とくに、道幅が狭く、歩行者や自転車の通行が多い住宅地や繁華[…]
[1] 7年目の高校生講習も秩父地域からスタート 埼玉県内を6地域に分けて全8回で開催される「令和7年度 高校生の自動二輪車等の安全運転講習」が2025年も始まった。 第1回目の講習会は、6月15日に[…]
レーダーでの速度取締の現場 赤切符と青切符の違いとは? 冬から春にかけては卒業や就職をひかえて新たに運転免許を取得する人が増えてくる時期です。自動車学校・教習所で習ったとおりの運転を心がけているつもり[…]
人気記事ランキング(全体)
ファン+ペルチェでダブル冷却 山善のペルチェ ベストは、外径約100mmの大型ファン(厚み約38mm)で風を取り込み、さらに内蔵のペルチェデバイスで空気やウェア表面を冷やす仕組みを採用。保冷剤用メッシ[…]
コンパクトながら高出力のペルチェ冷暖ベスト おたふく手袋の「冷暖ペルチェベスト JW-699」は、USB PD対応の2万mAhバッテリーを標準付属。psEマーク取得のバッテリーで、最大連続使用は冷却の[…]
MotoGPライダーのポテンシャルが剝き出しになったトップ10トライアル 今年の鈴鹿8耐で注目を集めたのは、MotoGPおよびスーパーバイク世界選手権(SBK)ライダーの参戦だ。Honda HRCはM[…]
最外層にカーボンファイバーを使ったX-Fifteenの最高峰モデルが登場! 積層させた炭素繊維を樹脂で固めたカーボンファイバー(CFRP)は、軽くて強い素材だ。そのため航空機やレーシングマシンに使われ[…]
派生機種を生んだ素性の良さ GS750/Eの実質的な生産期間は約3年。とはいえ、派生機種として登場したGS750G/GL、排気量拡大版のGS850Gは’80年代半ばまで生産を継続。この点については兄貴[…]
最新の投稿記事(全体)
2009年に移籍したのに「GP8」にも乗っていた?! 2003年にホンダからモトGPにデビューしたニッキーでしたが、2009年にはドゥカティ・コルセへと移籍。2007年にケイシー・ストーナーがデスモセ[…]
901への憧れから始まった”シンガー” シンガー・ヴィークル・デザインの創業者、ロブ・ディキンソンはアーティスト(歌手)として活躍していたこともあるのでSingerという会社名にしたという説と、ポルシ[…]
ZXシリーズに連なる新ライムグリーングラフィックとマットシルバーの2色を新設定 カワサキモータースジャパンは、ミドルクラスの2気筒スポーツバイク「ニンジャ650」の2026年モデルを発表した。搭載する[…]
ニューカラー採用、スペックや“カワサキケアモデル”に変更なし カワサキがアーバンクルーザー「バルカンS」の2026年モデルを発売する。2022年モデルの発売後、コロナ禍もあって国内導入が一時中断されて[…]
新ライムグリーンのほかグレー系2色も新ラインナップ カワサキは、4気筒600ccスーパースポーツ勢に対し37ccのアドバンテージを持つ「ニンジャZX-6R」の車体色を変更し、スマートフォンアプリの新機[…]