
●文:ヤングマシン編集部(中村友彦)
型式としてはV型4気筒だが、内燃機関の歴史で唯一となる楕円ピストンを採用したNRのエンジンは、実質的にはV型8気筒に相当。その原点は、1979~1982年の世界GPを戦った500ccレーサーと、1980年代後半のルマン24時間耐久やオーストラリア・スワンシリーズに参戦した750ccレーサーだが、1992年から市販が始まったストリート仕様は、“ダイナミック&エレガンス”というコンセプトを掲げ、高級車としての質感を重視。ほとんどのパーツを手の込んだ専用設計としたため、価格は当時の2輪でもっとも高価な520万円。ハンドメイドのカーボン外装/チタンコートスクリーン/センターアップマフラー/ニカジルメッキシリンダー/16ビットのコンピュータを用いた電子制御式インジェクションなども、当時としては画期的な装備だった。
【1992 HONDA NR】■車重223kg(乾) 水冷4ストV型4気筒DOHC8バルブ 747cc 77ps 5.4kg-m ●当時価格:520万円
楕円ピストンの上部には吸気4+排気4=8本のバルブ、下部には2本のチタンコンロッドを配置。カムシャフトの駆動はギアトレイン式で、ボア×ストロークは歴代ナナハン4気筒でもっともショートストロークとなる101.2×50.6×42mm。フルパワー仕様の最高出力は130ps。
アルミフレームやプロアームは同時代のVFRに通じる構成だが、ストリート用としての最適化が図られている。フロントフォークはホンダ製ロードバイク初の倒立式。
メーターは同時代のレーサーレプリカとは一線を画する構成。速度はデジタル表示で、カーボンパネル中央には回転計、その左には油温/油圧計、右には水温/燃料計を設置。
’79 ホンダNR500
“打倒2スト”という目標を掲げて華々しいデビューを飾ったものの、革新的な機構を盛り込みすぎたため、世界GPでは苦戦が続いたNR500。1982年以降は2ストV型3気筒のNS500に、主役の座を明け渡すこととなった。
“打倒2スト”という目標を掲げて華々しいデビューを飾ったものの、革新的な機構を盛り込みすぎたため、世界GPでは苦戦が続いたNR500。1982年以降は2ストV型3気筒のNS500に、主役の座を明け渡すこととなった。
’87 ホンダNR750
戦いの舞台を耐久/4ストプロトタイプクラスに移した750cc仕様のNRは、1987年のルマン24時間で予選2位を獲得(決勝は3時間でリタイヤ)。同年秋のオーストラリア・スワンシリーズでは、第2戦で優勝を飾っている。
戦いの舞台を耐久/4ストプロトタイプクラスに移した750cc仕様のNRは、1987年のルマン24時間で予選2位を獲得(決勝は3時間でリタイヤ)。同年秋のオーストラリア・スワンシリーズでは、第2戦で優勝を飾っている。
※本記事は2020年7月13日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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