ビモータがワールドスーパーバイク選手権に復帰すると発表した。これにともない、カワサキファクトリーによるカワサキレーシングチーム(KRT)は新たなチーム『BbKRT』の礎となり、新たなフェーズへと移行する。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:bimota
ビモータ×カワサキの新たな旅が始まる……!
カワサキがワールドスーパーバイク選手権(WSBK)へのファクトリー参戦を終了し、従来のカワサキレーシングチーム(KRT)は新たなステージへと移行する──。
ショッキングとも取れるニュースだが、新たなチーム名「BbKRT」はビモータ バイ カワサキレーシングチーム(Bimota by Kawasaki Racing Team)の略。つまりカワサキレーシングチームがベースとなり、ビモータの名で、ビモータフレームのマシンを走らせるということだ。
新たな体制では、カワサキがニンジャZX-10RRのエンジンを供給し、これまでKRTを運営してきたスタッフの多くがそのままビモータブランドのチームへと移行。WSBKにおけるカワサキの足跡はそのまま生きることになり、イタリア・リミニに本拠を置くビモータと新たな相乗効果を生み出すことになる。
ビモータはレースと切り離せない歴史を持っており、1980年にWGPの350ccクラスで2気筒2ストロークのYB3を駆るジョン・エケロルドがチャンピオンを獲得し、1987年にはYB4Rを駆るヴィルジニオ・フェラーリがTT-F1世界選手権(WSBKの前身)で参戦初年度に年間タイトルを獲得。翌1988年にはじまったWSBKではダビデ・タルドッツィ(現MotoGPドゥカティファクトリーのチームマネージャー)が5勝、ステファン・メルテンスが2勝を挙げた。また、経営危機に陥る寸前の2000年にはスズキ製2気筒エンジンを搭載したSB8Rで故アンソニー・ゴバートが1勝を挙げている。
そんなビモータが2000年以来のWSBK復帰という大ニュース、しかも運営母体はほぼKRTから引き継がれる模様で、なんならビモータワークスチームでの参戦に近い状況になると言っていい。
カワサキにしても、2015年~2020年にWSBKで6連覇したジョナサン・レイが2024年はヤマハに移籍するなど、今シーズンは苦戦するかに思われたが、蓋を開けてみればアレックス・ロウズが開幕戦で2勝を挙げるなど好調だ。下記に紹介するカワサキの伊藤CEOは「WSBKに対する取り組みはこれまでと同様に強力」とコメントしており、このまま新たなプロジェクトが始まれば2025年は大きなトピックになるのは間違いないだろう。
カワサキモータース 伊藤博CEOのコメント
「この世界的に有名なブランドの進化に対する私たちのビジョンの一環として、製品開発と世界舞台でのブランド露出の両方の観点から、レースはロジカルな次のステップであると考えています。WSBKに対する私たちの取り組みはこれまでと同様に強力であり、この新しいレーシングプロジェクトがビモータとカワサキの両方のファンに活気を与えることを願っています。 レースでの成功への情熱は今も変わらず、2025年のWSBKグリッドにビモータ・バイ・カワサキ・レーシング・チームが登場することを楽しみにしています」
ビモータ ピエルルイジ・マルコーニ最高責任者(COO)のコメント
「カワサキがすでに提供しているエンジニアリング、テクノロジー、日常のビジネスサポートにより、ビモータ社はメディアや潜在的な顧客に再びしっかりと認知されてきています。今こそ私たちの進化の一歩として次の取り組みを行う時でしょう。ビモータは設立当初からレースをDNAの一部としており、欧州および世界のディーラーネットワークを拡大しながら新製品の開発と並行してWSBKに参戦することはきわめて自然なことと言えます。 既存のカワサキレーシングチームのスペシャリストによる比類のない経験に加え、日本のカワサキモータース株式会社の全面的なサポートと協力により、私たちは誇りと楽観的な気持ちで満たされます。BbKRT(Bimota by Kawasaki Racing Team)は、ビモータの物語の次章のはじまりとなるでしょう」
KRTチームマネージャー ギム・ロダ氏のコメント
「過去13年間、私とグラノリェルスのKRTワークショップのスタッフ全員がカワサキスーパーバイクプロジェクトに全身全霊を捧げ、その間に7つのWSBKライダータイトルを獲得し、さらに多くのチームタイトル、メーカータイトルも獲得しました。カワサキがスーパーバイクチャンピオンシップで40年近く戦い続けてきた今、私たちはカワサキレーシングチームによる新しいビモータのインフラを形成する新時代の一員となれることを誇りに思っています。もちろん、私たちはスーパーバイクレースにおけるカワサキの伝統を振り返り、祝うために時間を割くつもりですが、同時に、この新しいビモータとカワサキによるプロジェクトの中核となることにも興奮しています。これは、トップレベルの市販車レースへのカワサキのアプローチの進化であり、私たちはこの新しいプロジェクトで役割を果たせることを光栄に思います。私たちは成功するために必要な技術と人材を持っていると確信しており、2025年のMOTUL FIM世界SBK選手権で印象的な2ライダーチームを率いることは新鮮でエネルギッシュな経験になるでしょう」
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(ビモータ)
初日にテストライダーが走行し、2日目に本番ライダー2人が初走行! カワサキは、KRT(Kawasaki Racing Team)によるスーパーバイク世界選手権のワークス活動を2024年いっぱいで終了し[…]
火曜日からの公式テストに向けて先行発表 ビモータ・バイ・カワサキレーシングチーム=BbKRTは10月21日、スーパーバイク世界選手権の最終戦が行われたスペイン・ヘレスサーキットでのテストに向け、来シー[…]
ビモータ発の超スペシャル・ホモロゲマシン WEBヤングマシンでもすでにお伝えした、ビモータがSBKに参戦するというニュース。カワサキのファクトリーチームであるKRT(Kawasaki Racing T[…]
エンジンコンセプトより適性アライメント優先のイタリアン ドゥカティに代表されるイタリア製スーパースポーツは、不慣れなビギナーには向かない個性的な乗り味のハンドリング…といったイメージがある。たしかに、[…]
それ、同じヤツ何台もつくれるのか? 病院のベッドで決まったモーターサイクルクリエイターへの道 「もうこれ以上は仲間に迷惑。あのバイクを売って仕事に集中するんだ」 趣味のアマチュアレースで何度目かの転倒[…]
人気記事ランキング(全体)
私は冬用グローブを使うときにインナーグローブを併用しています。防寒目的もありますし、冬用グローブを清潔に保つ目的もあります。最近、長年使い続けたインナーグローブが破れてしまったこともあり、新品にしよう[…]
アクセルワイヤーが長すぎた!というトラブル ハンドルを交換して長さが合わなくなってしまったり、はたまたケーブルそのものが痛んでしまったり。こうしたアクセルワイヤー(スロットルケーブル)を交換する際、「[…]
白バイ隊員はバイクバカ⁉ 白バイに乗りたい、白バイ隊員になりたい、と白バイ隊員を目指す警察官のなかでバイクに関心のない人はいないと言い切っていいかと思います。少なくとも私が知るなかではひとりもいません[…]
2018 カワサキ ニンジャ400:250と共通設計としたことでツアラーから変貌(2018年8月30日公開記事より) 2018年型でフルモデルチェンジを敢行した際、従来の650共通ではなく250共通設[…]
高回転のバルブ往復にスプリングが追従できないとバルブがピストンに衝突してエンジンを壊すので、赤いゾーンまで回すのは絶対に厳禁! 回転計(タコメーター)の高回転域に表示されるレッドゾーン、赤くなっている[…]
最新の投稿記事(全体)
[◯] Vツインの味わい不変。Xはスタイリッシュだ 初出は1999年という非常に長い歴史を持つスズキのSV650。国内の新排ガス規制に対応した結果、最高出力は76.1→72psに、最大トルクは64→6[…]
突然の交通取り締まり! 違反をしていないときでも… 交通ルールを守って安全運転に努めているのに、とつぜん取り締まり中の警察官に止められてしまった経験がある方は多いはずです。 「え? なにか違反した?」[…]
グローバルサイトでは「e-アドレス」「アドレス125」と表記! スズキが新型バッテリーEV(BEV)スクーター「e-ACCESS(e-アクセス)」、新型スクーター「ACCESS(アクセス)」、バイオエ[…]
従来は縦2連だったメーターが横2連配置に ヤマハは、2004年に欧州で誕生し、2017年より日本を含むアジア市場へ(250として)導入されたスポーツスクーター「XMAX」の2025年モデルを欧州および[…]
時期が合えば水仙と桜の共演も 日本の三大水仙群生地と呼ばれているのが、福井県の越前海岸と、兵庫県の淡路島、そして千葉県の南房総:鋸南町である。鋸南町の水仙は12月中旬から1月下旬が見頃で、2025年も[…]