4月上旬、JAIA(日本自動車輸入組合)による輸入車の試乗会が開催されたので参加してきた。当日はさまざまな外国車をとっかえひっかえ試乗することができたので、短めではあるがインプレッションをお届けしたい。まずはロイヤルエンフィールド「ブリット350(BULLET 350)」だ。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:ロイヤルエンフィールド
クラシック350よりもモーターサイクルらしい醍醐味がある!
JAIA(日本自動車輸入組合)による試乗会が4月上旬に開催された。いわば外国車イッキ乗りのようなイベントで、プレス向けに年1回行われている。2023年からはロイヤルエンフィールドを輸入するピーシーアイもここに加わり、さまざまなモーターサイクルに試乗できる……どころか、1日ではとても乗り切れないほどの台数が集まるのだ。
そんな中、朝イチで乗ったのはロイヤルエンフィールド「ブリット350」。力強くも温かみのあるエンジン特性と、乗り手をけっしてせかさない穏やかな、それでいて軽快なハンドリングを味わうことができた。
これまでにロイヤルエンフィールドの最新世代350cc単気筒を搭載する“Jシリーズプラットフォーム”は、メテオ350、クラシック350、ハンター350が登場しており、ブリット350は4機種目ということになる。このうちハンター350は試乗経験がないので、メテオ350とクラシック350との比較を交えつつレポートしたい。
まずロイヤルエンフィールドといえば単気筒エンジンだ。カウンターバランサーを備えつつも適度に柔らかい振動を残していて、低回転の粘り強さは特筆もの。トルクは排気量なりではあるものの、急いでシフトダウンせずともスロットルを開ければ単気筒らしい鼓動で『タン!タン!タン!』と路面を蹴って加速する。このときの気持ちよさは絶品だ。
また、このエンジンなりの高回転まで回しても、ただの連続音にはならず、鼓動感が生きたまま最高出力域まで楽しむことができる。エンジンブレーキの利き方も自然で、ギヤを選ばずスロットルワークが楽しめる。
印象的だったのは車体だ。基本的にJシリーズは同じエンジンと同じメインフレームを使用しているのだが、ライディングポジションやシートの造りからか、シリーズで最も一体感が強く感じられた。
ハリスパフォーマンスによるなじみやすいフレーム&ジオメトリーもあるが、たとえばクラシック350が高級ソファのような乗り心地なのに対し、ブリット350は歴戦の古馬のよう。いや、馬に乗ったことはないのだが、ライダーの股の下で乗り手の意思に従いながらも、モーターサイクルの乗り方とは……という何かを教えてくれるような芯の強さを感じるのだ。
サーキットではないもののクローズドコースでの試乗会だったので、少しペースを上げると簡単にステップが接地してしまうのだが、乗り手を追い越さない絶妙な間をもって反応する感じや、前後タイヤの接地が一直線に並んでいるかのような車体の向きや傾きのわかりやすさ、そして下半身でホールドしやすいタンク&シート形状など、高いアベレージ速度で舗装の傷んだ道だろうが難なく駆け抜けていけそうな気配が伝わってくる。
クラシック350と同じ前19/後18インチタイヤながら、ハイアベレージでツーリングしたくなるのはこちらのほうかもしれない。
また、ブレーキやサスペンションも、このバイクが持っているリズムにピッタリ合った設定で、鋭すぎず鈍すぎず、いつでも過不足なく応答してくれた。
朝イチということでまだ身体がバイクモードになっていない状態だったが、まったく不安なく走ることができたのはロイヤルエンフィールドならではの優しさからだろう。以前は単気筒エンジンの味わいを中心に語られることが多かったが、新世代のブリット350は長時間のハイアベレージをなんなくこなすしたたかさを身につけていた。
総括すると、淡々と走ることが気持ちいいメテオ350、旧車に乗るような贅沢な時間を良好な乗り心地で楽しめるクラシック350、優しくも芯のある走りで魅了するブリット350ということになるだろうか。
ホンダからは間もなく新型モデル「GB350C」が正式発表される見込みだが、インドで生き残った英国ブランドはクラシック系350の王者として迎え撃つ。比較試乗できるときが今から楽しみだ。
ROYAL ENFIELD BULLET 350
主要諸元■全長2145 全幅785 全高1125 シート高805(各mm) 車重195kg■空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ 349cc 20.2ps/6100rpm 2.75kg-m/4000rpm 変速機5段 燃料タンク容量13L■タイヤサイズF=100/90-19 R=120/80-18 ●価格:69万4100円(スタンダードブラック、スタンダードマルーン)/70万1800円(ブラックゴールド)
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