
ホンダは欧州で、昨秋のEICMAで発表された新型モデル「CB650」「CBR650R」の価格を発表した。Eクラッチの有無で価格は異なるが、仕様による違いは英国価格で言えば日本円換算約1万9000円という驚異の設定となっている。
●文:ヤングマシン編集部
ユーロ圏では400ユーロ差、フランスではEクラッチ仕様のみ発売、英国は100ポンド差……!!
昨秋のEICMAで発表されて以来、注目の高いホンダの新しい技術「ホンダEクラッチ(Honda E-Clutch)」を搭載した新型CB650R/CBR650R。これまで同様ノーマル仕様もラインナップされるが、話題はEクラッチ仕様だろう。そんな2車の欧州価格が発表された。
Eクラッチとは、基本的にマニュアルトランスミッション(MT)機構を搭載しながら、クラッチ操作を電子制御が肩代わりし、さらにクイックシフターと協調制御することで、レバー操作不要かつスロットル操作に気を遣わずにスムーズなギヤシフトを可能にするものだ。
発進~ギヤシフト(上下)~停止までクラッチ操作不要の走りを実現するが、一方でライダーは任意のタイミングで手動操作介入でき、システムをオフにすれば完全なMTとして機能する。あくまでもオートマチックトランスミッション(AT)の一種ではなく、MT技術を拡張&洗練させるニューテクノロジーだ。
Eクラッチ採用車の第1弾/第2弾として選ばれたのは、並列4気筒エンジンを搭載する650シリーズのCB650R/CBR650R。日本でもすでに技術発表会が開催され、大阪・東京・名古屋モーターサイクルショーで展示されていることから、発売情報の正式発表もカウントダウン状態と言っていい。
発表されたCB650R/CBR650Rの欧州価格は、発売する国によって価格がやや異なるだけでなく、国によってはEクラッチ仕様のみが発売されることも。以下に代表的なサンプルを抽出してみた。
CB650R[欧州仕様]
Honda CB650R ●国内予想価格:112万円前後(写真は欧州使用)
CB650R(イタリア仕様)
Eクラッチなし 8790ユーロ(約143万9000円)
Eクラッチあり 9190ユーロ(約150万5000円)
CB650R(フランス仕様)
Eクラッチあり 価格未発表(Eクラッチ仕様のみ発売する模様)
CB650R(ドイツ仕様)
Eクラッチなし 9390ユーロ(約153万7000円)
Eクラッチあり 9790ユーロ(約160万3000円)
CB650R(イギリス仕様)
Eクラッチなし 7799ポンド(約149万2000円)
Eクラッチあり 7899ポンド(約151万2000円)
CBR650R[欧州仕様]
Honda CBR650R ●国内予想価格:119万円前後(写真は欧州使用)
CBR650R(イタリア仕様)
Eクラッチなし 9690ユーロ(約158万6000円)
Eクラッチあり 1万90ユーロ(約165万2000円)
CBR650R(フランス仕様)
Eクラッチあり 価格未発表(Eクラッチ仕様のみ発売する模様)
CBR650R(ドイツ仕様)
Eクラッチなし 1万390ユーロ(約170万1000円)
Eクラッチあり 1万790ユーロ(約176万7000円)
CBR650R(イギリス仕様)
Eクラッチなし 8599ポンド(約164万5000円)
Eクラッチあり 8699ポンド(約166万5000円)
2023年モデルの価格と併記されていたのはドイツ仕様と英国仕様。Eクラッチなしの標準仕様車で比較するなら、ドイツ仕様は2車とも2023→2024年モデルで300ユーロ値上がり、英国仕様は600ポンド値上がりとなる。
これを見ると、前年モデルからの値上がり幅は小さいがEクラッチ仕様との価格差は大きめのドイツ仕様と、前年からの値上がり幅は大きめだがEクラッチ仕様との価格差は小さい英国仕様という位置付けが見えてくる。
ただし、いずれも2023年型(Eクラッチなし)と2024年型Eクラッチ仕様では、700ユーロ/700ポンドの価格差になっているので、この対比から現実的な予想価格が算出できそうだ。
というわけで、国内においては、標準仕様車の値上がり幅はともかく、現行モデルからプラス11~13万円程度でEクラッチ仕様が手に入ると見るのが妥当だろう。現行モデルはCB650R=100万1000円/CBR650R=107万8000円なので、2024年モデル国内仕様の予想価格はCB650R Eクラッチ仕様が112万円前後、CBR650R Eクラッチ仕様は119万円前後だ。
ユーザーに利便性を提供する革新的な技術ながら、価格上昇を最小限に抑えているところにホンダの意気込み、普及への覚悟が見えた気がした。
なお、CB650R/CBR650Rに続く採用車については下記の関連記事を参照していただきたい。
イージーさに輪をかけて、エントリー層を根こそぎイタダキ! ということでEクラッチの次の一手は、エントリー層やビギナーに向けて訴求できる車両が選ばれることになるだろう。となれば誰もが想起するのは、軽二輪[…]
EICMAで取材したCB650R/CBR650Rのディテールを解説
2024年型のCB650R/CBR650Rは、従来型をベースにフェイスリフトを含む外観の変更、そしてEクラッチを採用したのが主なトピック。Eクラッチは有段式MTの電子クラッチとしてバイクでは世界初の新機構だ。従来のレバー操作を伴うマニュアルクラッチ操作から、クラッチレスに早変わりするとともにシステムのON/OFFによって普通のMT車と全く同じ操作感にもなる。
2024年モデルの変更点はこれらのほか、メーターを従来のモノクロLCDからフルカラーTFTに刷新し、シート下にはUSB電源ソケットを設置している(欧州仕様)。尻上がりのフォルムが強調され、シート形状変更、灯火類の新設計など見所は多い。下記は現地の跨りレポートとディテール解説だ。
CBはネイキッドとしては低めのバーハンを採用し、上体がやや前傾。ストリートファイター的なライポジだ。※身長170cm/体重71kg
セパハンのCBRはさらに低いが、前傾は浅く、ツーリングも問題ない。ともにステップ位置はやや後ろ寄り。足着きは両足の腹がしっかり着く。※身長170cm/体重71kg
2車共通でテールカウル&ライトが新形状に。ややロングテールになって、かつ尻上がりに伸び上がるスタイルになった。シート形状はライダ-/パッセンジャー側ともに見直され、欧州仕様ではシート下にUSB電源ソケットも新設された(日本仕様は未発表)。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(メカニズム/テクノロジー)
いまや攻めにも安全にも効く! かつてはABS(アンチロックブレーキシステム)といえば「安全装備」、トラクションコントロールといえば「スポーツ装備」というイメージを持っただろう。もちろん概念的にはその通[…]
油圧ディスクブレーキだけど、“油(オイル)”じゃない いまや原付のスクーターからビッグバイクまで、ブレーキ(少なくともフロントブレーキ)はすべて油圧式ディスクブレーキを装備している。 厳密な構造はとも[…]
[A] 前後左右のピッチングの動きを最小限に抑えられるからです たしかに最新のスーパースポーツは、エンジン下から斜め横へサイレンサーが顔を出すスタイルが主流になっていますよネ。 20年ほど前はシートカ[…]
ミリ波レーダーと各種電制の賜物! 本当に”使えるクルコン” ロングツーリングや高速道路の巡航に便利なクルーズコントロール機能。…と思いきや、従来型のクルコンだと前方のクルマに追いついたり他車に割り込ま[…]
3気筒と変わらない幅を実現した5気筒エンジンは単体重量60kg未満! MVアグスタはEICMAでいくつかの2026年モデルを発表したが、何の予告もなく新型5気筒エンジンを電撃発表した。その名も「クアド[…]
最新の関連記事(ホンダ [HONDA])
戦闘力を高めるヘッドギア「ダインギア ヘッドアーマー」 クロスカブ110の個性をさらに際立たせ、カスタムの方向性を決定づけるほどの高いデザイン性を持つパーツが登場した。それがダイバディプロダクションが[…]
ハイエンドユーザーに向けたスーパーフラッグシップは何と乗りやすく調教済み! 1980年代に入ると、ホンダが切り札としていたV型4気筒は世界のレースで圧倒的な強みを発揮、それまでの主流だった並列(インラ[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]
CB復権! 新型CB1000F/CB1000F SE 名車CB1300シリーズの後を継ぐHonda CBの新しいフラッグシップモデル・CB1000Fシリーズがついに正式発表となりました! CBの持つ歴[…]
BMWの牙城を崩そうとドイツの開発チームと熟成をはかる! ホンダはスーパースポーツで世界を制覇、その勢いはフラッグシップで呼ばれる豪華ツアラーモデルでもリーダーを目指し、水平対向4気筒のGLゴールドウ[…]
人気記事ランキング(全体)
インカムが使えない状況は突然やって来る!ハンドサインは現代でも有効 走行中は基本的に1人きりになるバイク。たとえ複数人でのマスツーリングだとしても、運転中は他のライダーと会話ができないため、何か伝えた[…]
寒暖差が大きくても着替えずに対応できる! ワークマンのヒーターウエア『WindCore(ウインドコア)』シリーズは、電熱ヒーターを内蔵する防寒アイテム。別売りのバッテリー(4900円)は必要だが、もの[…]
お待たせしました経過報告です 前回のラバゲイン記事、おかげさまで大反響をいただきました。ありがとうございます! そして同時に、「続編が知りたい!」「その後どうなったの?」「どれぐらい持つの?」「いつま[…]
昔ながらの構成で爆発的な人気を獲得 ゼファーはレーサーレプリカ時代に終止符を打ち、以後のネイキッドの基盤を構築したモデルで、近年のネオクラシックブームの原点と言えなくもない存在。改めて振り返ると、’8[…]
BLESS CREATIONのカーボン外装をまとう カーボン外装メーカー・ブレスクリエイションの高い質感と造形の美しさのX350専用外装に惚れ、編集部号にも装着することにした。フロントフェンダー/ラジ[…]
最新の投稿記事(全体)
バニャイアにとって「新しいモノはいいモノ」じゃなかった MotoGPマシンがあまりにも速くなりすぎたこともあって、再来年にはレギュレーションが大きく改定されることになった。 エンジンは850ccに、空[…]
戦闘力を高めるヘッドギア「ダインギア ヘッドアーマー」 クロスカブ110の個性をさらに際立たせ、カスタムの方向性を決定づけるほどの高いデザイン性を持つパーツが登場した。それがダイバディプロダクションが[…]
粘り強い100mmボアビッグシングルと23Lタンク KLR650の心臓部は、水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒エンジンだ。排気量は652ccで、ボア径はなんと100mmにも達する超ビッグシングルと[…]
きっかけは編集部内でのたわいのない会話から 「ところで、バイクってパーキングメーターに停めていいの?」 「バイクが停まっているところは見たことがないなぁ。ってことはダメなんじゃない?」 私用はもちろん[…]
ワールド経験者と全日本ホープが加入! FIM世界耐久選手権(EWC)を戦っているTeam Étoile(チーム・エトワール)が2026年のライダーラインナップを12月12日(金)に発表しました。 2[…]
- 1
- 2





















































