
2024年3月5日に閣議決定された道交法改正案では、電動モーターで走るペダル付きバイク「モペッド」について、モーターを止めた状態で走っても原付一種に該当することが明確化している。この改正の成立~施行を前に、4月より電動キックボードも含め、取り締まりが大幅に強化されるのではないかという。
●文:ヤングマシン編集部
電動アシスト自転車の基準に適合しない『モペッド』
2024年3月5日に閣議決定された道交法改正案では、電動モーターで走るペダル付きバイク「モペッド」について、モーターを停めた状態で走っても原付一種に該当することが明確化した。
この「電動モーターで走るペダルバイク」には、基準を超えてアシスト機能が働く電動アシスト自転車も含まれる。
電動アシスト自転車の基準とは、搭乗者がペダルを漕がないと走行しない構造であることや、24km/hに達するとアシスト機能が停止すること、また24km/h以下であっても人がペタルを踏む力とモーターによる補助力の比(アシスト比率)が
・10km/h未満の速度では最大で1:2
・10km/h以上24km/h未満の速度の場合では走行速度が上がるほどアシスト比率が徐々に減少
・24km/h以上の速度では補助力が0
になることと定められている(道路交通法施行規則第1条の3)。
この基準を逸脱するものは全て違法な電動アシスト自転車であり、本来であれば原動機付自転車(原付バイク)に相当するものだ。
さらに、人がペタルを漕がなくても走行できるモペッドも電動アシスト自転車と称して販売され、見た目には通常の電動アシスト自転車と同じつくりであることから判別が難しくなっている。
ただ都内では、バイクが24km/hを明らかに超えて走行しているのに、ペダルを軽く漕ぎながら並走する電動自転車や、ペダルを全く漕がないで走行する電動自転車の姿を見かけることも少なくない。
こうした違法な電動自転車を明確に「モペッド」として定義付け、原動機付自転車として運用していないものは取り締まりの対象とする、というのがこのたびの道交法改正案である。
昨年7月1日に施行された『特定小型原動機付自転車』は半年で7000件超の検挙
警察庁が今年1月23日に発表したところによれば、昨年7月1日の改正道交法の施行により「16歳以上であれば運転免許なしで運転できる」ことになった電動キックボードで、交通違反の検挙が施行からの半年間で計7130件になった。12月には7月の約5倍の1879件となり、警察庁は利用者増加と取り締まり強化で検挙数が増えたと見ている。
この改正道交法では、最高速度20km/h以下などの要件を満たす車体を「特定小型原動機付自転車」に区分し、上記のように16歳以上ならば運転免許不要、車道左側や自転車レーンを走ることができ、最高速度を6km/h以下に制限するモードに切り替えれば歩道も走行できる。ヘルメット着用は努力義務だ。
こうした特定原付に属する電動キックボードはレンタルを中心に利用者が増加し、都内では信号無視や6km/hを超えての歩道走行を見かけることも日常になってしまった。
都内を中心に普及していることから、交通違反の検挙は警視庁によるものが9割超を占めているのも特徴だ。特定原付による違反の種類は通行区分違反、信号無視が多く、中には酒気帯び運転も。人身事故は85件あり、うち単独事故が34件。けが人は86人で、重傷者は5人いた。
このたびの道交法改正案では、電動キックボードについて言及はされていないが、同じく交通違反が急増していることから、いわゆるモペッドと合わせて2024年4月より取り締まり強化(厳格化)が行われる模様だ。交通ルールの遵守と正しい交通マナーの実戦を普及させる「春の交通安全運動」は2024年4月6日(土)から4月15日(月)の10日間だが、これに歩調を合わせての取り締まり強化となる。
都内で電動キックボードを輸入・販売する業者によれば、「電動キックボードやモペッドを輸入している中には“知らなかった”という体でグレーなものを売っている業者もいます。そういったところに取り締まり強化という情報が流れてきていますので、グレーなものを扱っている業者は一斉に手を引くのでは」という。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(交通/社会問題)
地域活性化ツーリングを開催、移動課題改善への提言も 2024年9月29日に開催された地域活性化・ライダー誘致イベント“伊豆ライダー誘致ツーリング”。 主催は若年層を中心に構成。バイクやクルマ、特定原付[…]
バイク駐車場の拡充に取り組む千葉市 千葉市内には6区で50の鉄道駅がある。中でも千葉駅は千葉県の中心駅として、JR東日本の在来線6線と京成電鉄、さらに千葉都市モノレールが乗り入れている。 都心や成田空[…]
「危険なら道路を改善しないの?」との疑問を感じるが…… 市中の道路を走っていると「事故多発交差点」と書いた立て看板を見かけることがあります。 その交差点で交通事故が多発しているので気を付けて運転してほ[…]
情熱は昔も今も変わらず 「土日ともなると、ヘルメットとその周辺パーツだけで1日の売り上げが200万円、それに加えて革ツナギやグローブ、ブーツなどの用品関係だけで1日に500万円とか600万円とかの売り[…]
EVは脱炭素社会実現と移動課題の改善に寄与するか 「バイクラブフォーラムin南国みやざき」で実施されたパネルディスカッション、「電動二輪車利活用による社会課題(脆弱な二次交通)解決」において、次のトー[…]
最新の関連記事(ニュース&トピックス)
ニッポン旧車烈伝 昭和のジャパン・ビンテージ・バイク 323選 1960年代から1990年代に発表された数々の銘車たち……そのうち300台以上を厳選、年式変遷や派生モデルを含め紹介。 大型やマルチはも[…]
1960~70年代を象徴する2つのCB 1974年に登場したホンダCB400FOUR、通称「ヨンフォア」は、日本のバイク史において今なお特別な輝きを放つ一台である。その流れるように美しいスタイルと当時[…]
スズキは、同社の直営店「スズキワールド」が提供するレンタルバイクサービスを、スズキワールド葛飾店に続きスズキワールド多摩店でも開始したことを発表した。このサービスは、話題のスズキのオートバイを試したい[…]
18時間耐久の優勝で「ヨシムラ」は全国区に 加えて、ホンダから市販車ベースのレース車両の開発依頼もあったものですから、ヨシムラは1965年に東京の福生に移転しました。私は高校1年生でしたので、卒業まで[…]
簡単取り付けで、強い日差しから愛車を強力ガード 「MotoBrella」の最大の特徴は、保護カバーとしての機能性と、気軽に持ち歩くことができる携帯性のバランスが優れていること。 シートの生地は、UVカ[…]
人気記事ランキング(全体)
最新モデルはペルチェデバイスが3個から5個へ 電極の入れ替えによって冷却と温熱の両機能を有するペルチェ素子。これを利用した冷暖房アイテムが人気を博している。ワークマンは2023年に初代となる「ウィンド[…]
アウトローなムードが人気を呼んだフルフェイスがついに復活! 6月3日付けでお伝えしたSHOEIの新製品『WYVERN(ワイバーン)』の詳細と発売日が正式に発表された。 1997年に登場したワイバーンは[…]
バイクツーリングにおすすめの都道府県ティア表 バイクツーリングの魅力は、ただ目的地に行くだけでなく、そこへ至る道中のすべてを楽しめる点にある。雄大な自然が織りなす絶景、心地よいカーブが続くワインディン[…]
水冷Vツイン・ベルトドライブの385ccクルーザー! 自社製エンジンを製造し、ベネリなどのブランドを傘下に収める中国のバイクメーカー・QJMOTOR。その輸入元であるQJMOTORジャパンが、新種のオ[…]
東洋の文化を西洋風にアレンジした“オリガミ”のグラフィック第2弾登場 このたびZ-8に加わるグラフィックモデル『ORIGAMI 2』は、2023年1月に発売された『ORIGAMI』の第2世代だ。前作同[…]
最新の投稿記事(全体)
ホンダの大排気量並列4気筒エンジンをジェントルかつスポーティーに TSRは鈴鹿のマフラーメーカー「アールズ・ギア」とともに世界耐久選手権(EWC)を戦い、リプレイス用のマフラーも同社と共同開発していま[…]
0.1ps刻みのスペック競争 日本史上最大のバイクブームが巻き起こった1980年代は、世界最速を謳う大型フラッグシップや最新鋭レーサーレプリカが次々と市場投入され、国産メーカー間の争いは激化の一途を辿[…]
365GTB/4 デイトナ:275GTB/4を引き継ぎつつ大幅にアップデート 1968年のパリ・モーターショーでデビューした365GTB/4は、それまでのフラッグシップモデル、275GTB/4を引き継[…]
250ccを思わせる車格と水冷2スト最強パワーに前後18インチの本モノ感! 1979年、ホンダはライバルの2ストメーカーに奇襲ともいえる2スト50ccの、まだレプリカとは言われてなかったもののレーシー[…]
日本語表記では「前部霧灯」。本来、濃霧の際に視界を確保するための装備 四輪車ではクロスオーバーSUVのブーム、二輪車においてもアドベンチャー系モデルが増えていることで、「フォグランプ」の装着率が高まっ[…]